ビタミンDシリーズ 第3回「妊活成功の秘訣は!?食事と日光浴からつくる『ビタミンD』」

妊活時に重要だといわれている「ビタミンD」。食事や日光浴で摂ることができると話題です。大切な赤ちゃんとママの健康を助けるビタミンDについて、「よしかた産婦人科」の善方 裕美先生に聞きました。

妊活時の食事と生活に必須!健康を支える「ビタミンD」

ビタミンDが、広く健康維持に関係*1
することや、骨への影響が大きい*2
ことは以前の記事でもお話しました。

しかし、ビタミンDの作用で忘れてはならないのは、妊活への影響です。

「ずばり、ビタミンDは、妊娠のしやすさに影響します。妊娠前から適切な量のビタミンDを摂り、妊娠中はもちろん、産後の授乳期もビタミンD量をキープすることにより、お母さんはもちろん、大切な赤ちゃんの健康を守ることができるのです」と善方先生は話します。

*1 ビタミンDシリーズ 第1回記事 参照

*2 ビタミンDシリーズ 第2回記事 参照

妊活をする場合、ビタミンDが足りないとどうなる?

具体的にビタミンDが足りないと、妊娠を希望する女性にどのような影響があるのでしょうか?

「ビタミンDの欠乏は、さまざまな妊娠中の病気、トラブルに影響しています。冒頭の不妊症から早産、胎児発育不全、妊娠糖尿病など。それらに伴い、帝王切開率も上がると考えられます。胎児が生まれてからも、小児くる病や、喘息、1型糖尿病の発症にも関連性があるという研究も」と善方先生。

最近では、妊娠中や出産後の女性の骨折の問題にも注目が集まっています。

「ビタミンDは骨への影響も大きい栄養素。妊娠出産の前後で欠乏すると、正常な骨の生成サイクルができなくなり、骨折してしまうこともあります」

妊活ではなくても、生きる上で不可欠なビタミンD

また、妊娠とは別に、以下のような疾患との関係性も注視されています。

【ビタミンD欠乏に関係する疾患、リスク】

感染症
発がんリスク
心血管系疾患
乾癬(かんせん:皮膚の疾患)
糖尿病
喘息 など

善方先生も、「ビタミンDは、妊娠時だけでなく人生を通して必要な栄養素と考えていくことが必要」だと訴えます。

プレコンセプションケア(妊娠前ケア)にもビタミンDが大切なわけ

ビタミンDは生きていく上で大切な栄養素。
とくに、妊活中〜妊娠、産後は、ビタミンDの欠乏に要注意だそう。

「日本人の妊婦さんのほぼすべてが、ビタミンD欠乏といってもよいと思います。私の調査では、ビタミンDを妊娠前や妊娠初期から摂取している方のほうが、産後も高いビタミンDの血中濃度を維持できることがわかっています」と善方先生。

妊活するなら知っておきたい!プレコンセプションケアってなに?「ビタミンD」との関係は?

妊娠前から産後まで、そして、生涯を通して必要な栄養素といえるビタミンD。日本でも少しずつ、ライフイベントを健康に迎えるための取り組みがはじまっています。その1つが「プレコンセプションケア」です。

「プレコンセプションケアは、妊娠前から行う健康管理のこと。将来の妊娠のためにカップルが健康に向き合っていくという考え方です。ビタミンDは妊娠希望の方にとっては大切な栄養素ですが、妊娠をしてから摂取するのではなく、それ以前から摂取できているのが望ましいんです。

また、お産の最前線にいると、ここ数年の妊婦さんの痩せ傾向はやはり気になりますね。ビタミンDの研究の中で、痩せている方ほどビタミンDが欠乏する傾向があることがわかりましたし、ビタミンDや妊娠の問題だけでなく、痩せすぎていることが健康におよぼす影響は大きいと思います」と善方先生。

プレコンセプションケアで向き合うべきは、やはり食や運動などの生活習慣。近年の妊婦さんの体型の問題は、孤食やボディイメージの歪みなどさまざまな要因が考えられるそうですが、やはり、“まんべんなくしっかり食べて身体を動かす”という健康の基本は、重要なのです。

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