詐欺罪は初犯でも懲役の実刑に?不起訴や執行猶予を獲得する方法

詐欺罪は初犯でも懲役の実刑に?不起訴や執行猶予を獲得する方法

3、詐欺罪は初犯でも懲役の実刑に?処分が重くなるケースとは

詐欺罪の場合には、初犯であっても懲役の実刑判決がくだされるケースが多いのも事実です。特に以下のケースでは実刑判決の可能性が高くなることを念頭に置く必要があります。

(1)犯行の悪質性が高い

犯行が悪質だと実刑の可能性が高まります。

組織的に行われ手口が巧妙な特殊詐欺では、犯行の悪質性が高いと判断されやすいです。

(2)被害金額が大きい

詐欺による被害金額が大きい場合には、処分が重くなりやすいです。

特殊詐欺では被害金額が数百万、場合によっては数千万円に及ぶこともあり、処分が重くなる傾向にあります。

(3)余罪が多い

多くの余罪が判明した場合にも、処分が重くなる可能性があります。

余罪とは、捜査がなされている犯罪(本罪)とは別に、同一の被疑者が犯したと考えられた犯罪事実のことです。例えば、ある被害者に対する特殊詐欺で逮捕され、別の特殊詐欺にも関与していたと判明するケースが考えられます。

余罪について起訴された場合には、本罪と併せて判断されるため、刑罰が重くなりやすいです。

(4)特殊詐欺に関わった場合

ここまで触れてきたように、オレオレ詐欺、還付金詐欺等の特殊詐欺では、実刑判決を受ける可能性が高いです。

特殊詐欺は組織的に行われ手口が巧妙なため、悪質性が高いです。また、金銭的に余裕のある高齢者を狙う等しており、一人あたりの被害金額が大きい傾向にあります。

一度特殊詐欺グループと関わりを持ってしまうと、翻意して離脱しようとしても、身辺に危害を加える等の脅しをグループの構成員から受け、結果として多数の特殊詐欺に関与してしまい、余罪が多くなるケースもあります。

特殊詐欺の場合、初犯であっても実刑判決を覚悟する必要があります。

4、詐欺罪で懲役の実刑を回避するためにできること

もっとも、詐欺罪では懲役の実刑判決を回避できるケースもあります。

以下のような対応策により、執行猶予付き判決はもちろん、早期の対処により不起訴処分を獲得することも期待できます。

(1)自首する

自首とは、捜査機関に犯罪が発覚したり、犯人を特定される前に、犯罪行為をおこなった者が捜査機関に出向き、罪を自発的に申告することをいいます。自首した場合には、処分を軽くする方向に働くこともあります。

今は警察に犯行が発覚していなくても、いずれは知られてしまうかもしれません。後ろめたい気持ちを抱えているのであれば、弁護士に相談した上で、自首を検討してみましょう。

一人で自首する勇気がなければ、弁護士の同行も可能です。ぜひご相談ください。

(2)被害者と示談する

詐欺罪のような財産犯においては、処分内容及び量刑判断において被害者と示談したか否かという事情は非常に重要になります。

検察官や裁判官は、処分又は刑を決定する際に被害回復の有無、ひいては被害者の処罰感情を重視します。示談することにより、被害回復がなされ、被害者の処罰感情が減少又は消滅していれば、不起訴処分や執行猶予付き判決の可能性が高まります。

示談する際には示談金が必要です。特殊詐欺で被害金額が大きい場合には、全額を弁償するのは難しいこともあるでしょう。それでも被害者の意向次第では、被害金額より少額の示談金であっても応じてくれる可能性はあるので、示談を目指しましょう。

また、交渉次第では、分割払いの示談に応じてもらえる可能性もあります。

ただし、警察や検察は、被害者に関する情報を被疑者や被告人に教えてはくれません。被害者が既に分かっている場合にも、犯罪を行った本人が被害者と示談交渉を直接することは、被害者の感情等を考慮すると非常に困難です。弁護士に依頼して示談交渉を任せるようにしてください。

(3)特殊詐欺に関わった場合は黒幕等の情報を捜査機関に話す

特殊詐欺に「受け子」や「出し子」等の末端として関わった場合には、黒幕等の情報を捜査機関に提供すれば、処分が軽くなることも期待できます。

特殊詐欺は極めて巧妙に、計画的に行われるため、特殊詐欺事件の捜査の現実は、「受け子」や「出し子」等の末端の関与者だけが検挙されることが大半で、グループのリーダー格に対して捜査が及ぶことは稀であるのが残念ながら実態です。末端の関与者が知りうる情報としては、いわゆる「指示役」や「現金等の回収役」に関する情報に限られ、リーダー格に関する直接の情報は多くの場合において知りえないのが現実ですが、それでも知りうる限りの情報を提供すれば、反省の意思を示すことにもなりますので、処分を軽くするためには有効な方法の一つといえます。

(4)反省の態度を示す

反省の態度はしっかりと示しましょう。

起訴の前後を問わず、処分を決める際には反省の態度が重視されます。ただ「反省しています」と言うだけでなく、正直に犯行について話したり、被害者の気持ちを考えて悔やんでいる態度を示したり、二度と過ちを犯さないと固く誓い、そのための具体的な方策を示すようにしてください。

(5)指導監督者を確保する

生活を指導監督してくれる人を確保することも重要です。

社会復帰をしても生活が不安定だと、再びお金に困って犯罪に手を染めてしまうかもしれません。生活をしっかりと指導監督する人を確保すれば、再犯リスクが低いことを示せます。

指導監督者は家族にするケースが多いものの、難しければ職場の上司などにお願いすることも可能です。

身近な人の中から、本人に対する影響力が強い人を選んで、指導監督をお願いしてみましょう。

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