「ダンナさんが『離婚しよう』というとき、そこに浮気がからんでいる場合、多くの人は、それが悪いことだと気づかせようと諭します。でも、それはいちばんやってはいけない行動です」と言うのは夫婦再生カウンセラーの下木修一郎さん。
「悪いことをしているなんて、本人も百も承知です。遊びで浮気する人なら良いかもしれませんが、もしそれが奥さんに対してガマンにガマンを重ねた上での浮気だったとしたら、そこで攻撃をすると、逃げるだけですよ」(下木さん 以下同)
夫が浮気していた場合、夫を責めるのではなく、「そこまで放置した自分も悪かった」と言えるのが、望ましいそう。でも、現実にはそれはなかなか難しい。
また、「夫の両親に話して叱ってもらう」という人もいるが、それもNGだという。
「ダンナさんはすでに追い込まれているのに、親が出てくると、余計に逃げ場をなくします。すると、奥さんを恨むことにもなりかねません」
●自分の思いを伝えるよりも、相手の声に耳を傾ける
離婚を決意している夫には、泣いてすがる、謝るしかできないのだろうか。
「謝罪はあくまで『許してほしい』という自分側のリクエストに過ぎません。ダンナさんのことは一言も言っていない、相手の気持ちは全く考えていないのですから、そんな人とやり直せるでしょうか。無理でしょうね」
さらに、そんなとき、女性の口から出てくる言葉は「そんなことない。私はあなたのことを考えている」というものだそう。それもまた、「自分目線」に過ぎないという。
では、いったん別れを切り出されてしまったら、もう修復は難しいのだろうか。
「修復できる人もいれば、できない人もいます。ただ、別れを切り出すダンナさんはたいてい『妻の愛情を感じない』と言うのです。ダンナさんにそう言われたら、奥さんは『そうだね。こんなに頑張ってくれていたのに』などと振り返り、評価できるでしょうか。すでに遅いかもしれませんが、ダンナさんがこれまでしてくれたことを思い出し、感謝をきちんと伝えることは必要です」
別れを切り出されてしまったとき、回復させる「魔法」はないかもしれない。
でも、自分の一方的な気持ちばかり伝えるのではなく、相手を労い、評価し、感謝することができたら、相手は「本当に離婚してよいのだろうか」と、決意が揺らいだり、冷静になって結論を先送りしてもらったりすることはできるかも。
(田幸和歌子+ノオト)