防犯と美容・衛生も考えて。女性の非常用持ち出し袋

防犯と美容・衛生も考えて。女性の非常用持ち出し袋

自宅をどれだけ安全な場所にしておいたとしても、大きな災害が発生した時には、必ず自宅に留まれるとは限りません。どれだけ対策していても、「絶対に安全」ということは言い切れませんし、実際に災害が起きてみるまではわからないのです。また、ライフラインが止まってしまって生活がままならなくなってしまった場合や、自宅に留まることで精神的につらくなるような時には、避難することも選択肢の一つです。
避難する時に必要なものをまとめておく非常用持ち出し袋は、大人も子どもも、男性も女性も、すべての人に個別のものが必要です。
非常用持ち出し袋に入れておくものは、すべての人に共通して「必要なもの、あったほうがいいもの」もありますが、一人ひとり違います。すでにセットされたものが市販されていますが、そのセットは完成されているものではなく、そこに「自分自身が必要だと思うもの」を足していき、自分でカスタマイズしていくものです。
一人ひとり必要なものが違うとはいえ、非常用持ち出し袋をカスタマイズするときには、年齢や性差などで考慮すべきこともあります。
ジェンダーレスな考え方が広まってきてはいますが、女性だからこそ必要なケアや、避難所で発生する可能性のある問題を防御することも考えて備えておく必要があります。
女性の避難所での問題は、男性が考えるべき問題でもあります。女性の非常用持ち出し袋を通して、女性も男性も、避難所での問題についても考えてみましょう。

いつどこで被災するか、わからないから。災害時に必要なものをコンパクトにまとめた「防災ポーチ」を持ち歩きましょう

非常用持ち出し袋は、自宅の寝室やリビングなどの過ごす時間の長く持ち出しやすい場所に備えておくものという印象が強いかも知れません。もちろん、そうした「自宅に備えておく非常用持ち出し袋」も必要です。しかし、大きな地震などの災害は、自宅にいるときに起こるとは限りません。実際に、2011年3月11日に発生した東日本大震災は、午後2時24分に発生していて、職場などで被災し、帰宅困難者となった人も多くいました。
いつどこで被災するか、わからないのです。

そうした、「いつ・どこで起こるかわからない災害」に対応できるように、家に備えておく非常用持ち出し袋の他に、災害時に最低限必要なものをまとめた、「防災ポーチ」を持ち歩くようにしましょう。

基本的な防災ポーチの中身は

スマホ用予備バッテリー、スマホ用充電器
飲料水
携帯食(ゼリーやシリアルバーなどの栄養補助食品)
絆創膏、常備薬
大判のハンカチ、ウエットティッシュ
現金、健康保険証などの身分証明書
防犯ブザーや笛
小型ライト、携帯用ラジオ
予備のマスク
歯磨きシートやマウスウォッシュ

など。

現金や身分証明書は、防災ポーチではなく、お財布の中でももちろん大丈夫です。小型ライトや携帯ラジオは、スマートフォンでも兼ねられますが、連絡手段としてのスマホの充電は災害時には貴重です。スマホ用の予備バッテリーや充電器を持つことはもちろんですが、できれば小型ライトや携帯ラジオは別にして持っていた方が安心できます。いざという時に必要な連絡先を覚えていない人は、スマホの充電が切れてしまった時のことも考えて、メモしたものを防災ポーチに入れておきましょう。防犯ブザーや笛は、女性やお子さんなどが犯罪から身を守るためだけでなく、あらゆる人にとっても、閉じ込められてしまった時に助けを呼ぶために、常に身につけていた方がいいものです。

女性は、こうした基本的なものに加えて、

生理用品
中身が見えないポリ袋
メイク落とし、スキンケア
携帯トイレ

など。

女性のからだはデリケートです。被災したストレスから、急に生理が来てしまうこともあります。生理用品は、少し多めに常に持ち歩いておきましょう。生理用品が捨てにくい場合もあるので、中身が見えないポリ袋も防災ポーチに入れておくとよいでしょう。また、災害時にはトイレが混雑したり、汚れていて使うことに抵抗を感じる事態になることもあります。女性は特に、災害時にはトイレを我慢してしまう傾向にあります。しかし、トイレを我慢するために水分を摂ることも控えるなどすると、重大な体調不良につながります。トイレを我慢せずに済むように、使いやすい形状の携帯トイレも防災ポーチに入れておきましょう。

避難所でも「自分の身は自分で守れる」ように

大規模な災害が発生し、自宅に留まることができなくなった時に身を寄せる、避難所。多くの場合、避難所では不特定多数の人と数日間ともに過ごすことになります。そんな時のために、自宅に備えておく、非常用持ち出し袋。ベッドやリビングなど、持ち出しやすい場所に普段は備えておき、避難するときには、いつも持ち歩いている防災ポーチとともに持っていきます。

非常用持ち出し袋は、中身を入れた状態で、自分の体重の20〜30%の重量におさえるのが目安です。

避難所で過ごす時にも、「自分身は自分で守る」自助が基本。自分の命は自分で守れるように、逃げるときに「これだけは持っていたい」という、最低限のモノを入れておくようにしましょう。

例えば、防災ポーチに加えて

アルミシート・ポンチョなど(防寒や着替え時の目隠しに)
衣類(過ごしやすく、動きやすい服。女性は、スカートよりもパンツ。温度調整がしやすいように、重ね着できるもの)
歯磨きセット
ティッシュペーパー
薬、救急用品
ドライシャンプー
スリッパ
ヘルメット
乾電池
タオル
使い捨てカイロ(季節によっては、保冷剤)
軍手
洗濯ロープ
筆記用具
ライター類
飲料水、非常食、缶切り
使い捨ての食器、食品ラップ、割り箸

など。

マスクとアルコール消毒液、体温計も、新型コロナウイルス感染防止対策のためには、必需品です。

女性は他に、

生理用品、おりものシート、下着
携帯用ビデ、デリケートゾーン用ウエットティッシュ
汗拭きシート
メイク落とし、スキンケア用品、メイク道具
髪留め、ヘアゴム、帽子
小型ライト(ヘッドライト)
使いやすい小型トイレ、中身が見えないポリ袋(大・小)

などがあると便利です。

衛生が保たれないことは、心身ともに大きな負担となります。避難所では、トイレまで遠いということや、汚れていて、トイレに行くのを躊躇してしまうこともあるかもしれません。また、数日間、お風呂に入れないことや洗濯できないことも考えられます。こうしたことが、ストレスにつながります。

トイレを我慢するために、水分の摂取や食事をとることを控えることは、エコノミークラス症候群などにつながることはよく言われますが、女性は加えて、膣炎や膀胱炎などの病気のリスクも高いと言われています。小型の携帯トイレと、用を足す時にもプライバシーを守れるように目隠しとなるポンチョなどを活用して避難所でもトイレを我慢せずに過ごすことはもちろん、携帯用ビデやデリケートゾーン用のウエットティッシュなどを活用して、できるだけデリケートゾーンを清潔に保つようにしましょう。

下着を毎日交換できない場合には、おりものシートを活用しましょう。おりものシートを取り替えるだけでも、清潔を保つことができます。

お風呂に入れず、身体のにおいがきになるときには、汗拭きシートやドライシャンプーが役に立ちます。身体を拭くだけでも、気分的にもリフレッシュできます。

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