災害や新型コロナによってローン返済が滞ったときに負担を軽減できる「自然災害債務整理ガイドライン」

災害や新型コロナによってローン返済が滞ったときに負担を軽減できる「自然災害債務整理ガイドライン」

地震や洪水などの災害で家を失い、残された住宅ローンを払い続けることとなると、被災者の負担はとても大きく生活再建は困難になります。
ローンが支払えなくなったときに減額や免除を行うため、通常の再生手続や自己破産を行うと、一定の期間は借入れができなくなるなどのデメリットもあります。そのため、住宅の購入・修繕や車の購入のためのローンの契約もできなくなり、生活再建の妨げとなってしまいます。

このような状況を助けるため、大規模な災害によってローンの返済ができなくなったときに、特別に減額や免除を受けることができる「自然災害債務整理ガイドライン」という制度があります。

自然災害債務整理ガイドラインとは?

自然災害債務整理ガイドラインは、被災者の負担を減らすために民間の事業者によって取り決められた制度で、被災者がローンの契約をしている金融機関に申し出て同意を得ることで、減額や免除をすることができます。

大規模な災害がおきた時には、住宅や車を失って残されたローンを払い続けるケースが多くおきます。このような状況で、生活に必要な住宅の購入・修繕や、新たな車の購入のためのローンを契約することができないことや、契約できたとしても2重ローンの支払いに苦しんでしまう問題がありました。
2011年の東日本大震災では被災者を助けるため「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」という制度ができましたが、この対象は東日本大震災の被災者に限られていました。 そのため、その他の大規模災害にも対応するために「自然災害債務整理ガイドライン」が作られ2016年から適用されるようになりました。

再生手続きや自己破産と比べたメリット

自然災害債務整理ガイドラインには、再生手続きや自己破産を行ったときと比べて3つのメリットがあります。

個人信用情報を登録されない

再生手続や自己破産を行った場合には、金融機関の個人信用情報、いわゆるブラックリストに登録されるため、一定の期間は借り入れをすることができなくなり、クレジットカードも使えなくなります。
自然災害債務整理ガイドラインを適用した場合には、個人信用情報には登録されませんので、生活再建のための借入れがしやすくなります。

手続き支援を無料で受けられる

災害にあって、ローンの支払いが出来ない状況では、金銭的な余裕はありません。自然災害債務整理ガイドラインの適用には書類作成や、金融機関とのやりとりのため調停条項案の作成などが必要となりますが、このような手続きをおこなうときの専門家による支援を無料で受けられます。
書類の取得費用や調停における申立費用などがかかりますが、被災者が支払う額は1~2万円程度の費用で申請ができます。

財産の一部を手元に残せる

ローンの支払いを全て免除するための自己破産を行う場合には、住宅を含めたほとんどの財産を処分することとなり、手元に残せるのは生活に最低限必要な衣服・家具・家電と、99万円以下の財産となります。 (※1)
自然災害債務整理ガイドラインの適用を受けた場合には、最大で500万円程度(※2)を手元に残し 、それとは別に義援金などを残せる場合もあります。

※1 自己破産で残せる財産は裁判所により異なります。
※2 自然災害債務整理ガイドラインの適用で、手元に残せる財産はケースによって異なります。

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