「年収500万円の夫に請求できる養育費の相場っていくらくらい?」
子供を抱えて離婚を検討している人の中には、離婚後に夫からいくらの養育費を支払ってもらえるのか気になっている人が多いことでしょう。
離婚後は、ひとり親として子供を育てていかなければならないので、養育費を毎月いくらもらえるのかは子供の生活・教育に直接影響します。
そこで今回は、
年収500万円の元配偶者からもらえる養育費の相場
年収500万円の元配偶者と養育費を取り決める際の注意点
年収500万円の元配偶者に適正な養育費を請求する方法
等について解説します。本記事が、養育費の相場について知っておきたい方のお役に立てば幸いです。
1、年収500万円の元配偶者からもらえる養育費の相場
毎月の養育費の金額を取り決める際には、裁判所の養育費算定表を参照して話し合うことが一般的です。
そのため、養育費算定表に記載されている金額が、養育費に関する一応の相場であるということができます。
養育費算定表には、夫婦の年収、子供の人数、子供の年齢に応じて目安となる養育費の金額が掲載されています。
専業主婦の妻が年収500万円(給与)の夫と離婚したケースにおける養育費の相場は以下のとおりとなります。
参照:養育費算定表
(1)子1人の場合
子が0〜14歳
6〜8万円
子が15歳以上
8〜10万円
(2)子2人の場合
子2人が0〜14歳
8〜10万円
子1人が0〜14歳、もう1人が15歳以上
10〜12万円
子2人が15歳以上
10〜12万円
(3)子3人の場合
子3人が0〜14歳
10〜12万円
子2人が0〜14歳、子1人が15歳以上
10〜12万円
子1人が0〜14歳、子2人が15歳以上
12〜14万円
子3人が15歳以上
12〜14万円
2、算定表に載っていないケースで養育費の相場を調べる方法
以上のように、裁判所の養育費算定表を用いると、簡単に養育費の相場を知ることができます。
ただし、この養育費算定表には子供が3人までのケースしか掲載されていません。
「うちは子供が4人いるけど、どうやって養育費の相場をしらべればいいの?」と悩んでいる方もいることでしょう。
ここからは子供が4人以上の場合の計算方法をご紹介します。
また、子供が多い場合、上二人の子供の親権者は夫、下二人の子供の親権者は妻というように親権者を分けるケースもありますので、その場合の養育費の相場についても併せてご確認ください。
(1)子4人以上の場合
子が4人以上の場合、裁判所の養育費算定表では養育費の相場を確認することができません。
そのため、正式な計算式に基づいて養育費を算定することが必要です。
まずは、養育費を支払う側の基礎収入を算定します。給与所得者の場合、
基礎収入=総収入×0.38〜0.54
となります。
年収500万円の給与所得者の場合、割合は0.42で計算しますので、
基礎収入=500万円×0.42=210万円
となります。
続いて、子供の生活費の割合を定めます。子供の生活費については、0〜14歳の子供は「62」、15歳から19歳までの子供は「85」として計算します(成人は「100」と考えます)。
子供の生活費=義務者の基礎収入×(子供の指数)/(100+子供の指数)
で計算します。
そして、義務者が負担すべき養育費は
子供の生活費×義務者の基礎収入/(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)
となります。
たとえば、給与所得の義務者の年収が500万円、権利者の年収が300万円の場合で、15歳未満の子供が4人いる場合の計算式は以下のとおりとなります。
義務者の基礎収入
500万円×0.42=210万円
権利者の基礎収入
300万円×0.42=126万円
子供の生活費
210万円×(62+62+62+62)/(100+62+62+62+62)=約149万円
義務者が支払うべき養育費
149万円×210万円/(210万円+126万円)=約93万円
こちらは年額ですので月12か月で割ると
93万円÷12ヶ月=7万7,500円
となります。
養育費の相場の調べ方について詳しくは、以下の記事もご参照ください。
(2)夫婦が別々に親権者となった場合
離婚すれば子供の親権者は夫婦のどちらか一方になりますが、子供が複数いる場合、子供全員の親権者をどちらかにそろえなければならないわけではありません。
たとえば、長男の親権は父親、次男の親権は母親というふうに、子供ごとに親権を決めることもできるのです。
子供の親権でもめている場合、このように夫婦それぞれが親権者になることは珍しいことではありません。
この場合、養育費の相場はどのように決めるのでしょうか?
そもそも養育費は、子供を養育していくにあたり必要となるお金ですので、親権という形式的なもので養育費の支払い義務や金額を決めるのではなく、現実的に誰が子供を育てるのかという実質的な観点から判断します。
先ほどの例のように、長男の親権は父親、次男の親権は母親とした場合、養育費算定表とは異なる考え方で養育費を算定する必要があります。
この際、「生活費指数」という指数を用いて養育費の相場を割り出すのが一般的です。
先ほどのように、生活費指数は、成人が100、15~19歳の子供が85、0〜14歳の子供が62となっています。
たとえば父親が16歳の長男(生活費指数85)を育て、母親が10歳の次男(生活費指数62)を育てるとします。
このような場合には、子供の「生活費指数割合」というものを計算した上で、裁判所の養育費算定表に記載されている金額を修正します。
生活費指数割合は、次の計算式によって求めます。
生活費指数割合=養育費を求める子供の生活指数÷子供全員の生活指数
上記のケースなら、10歳の次男の生活費指数割合は42%となります。
62÷(85+62)=0.42
仮に母親が子供2人の親権者となった場合に父親へ請求できる養育費の相場は、養育費算定表によれば10~12万円です。
この金額に次男の生活費指数を掛けると、以下の金額が割り出されます。
10万円×0.42=4万2,000円
12万円×0.42=5万0,400円
したがって、上記のケースで母親から父親へ請求できる養育費の相場は、4万2,000円~5万04,00円ということになります。
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