年収500万円の夫(妻)と離婚!養育費の相場は?ケース別に解説

年収500万円の夫(妻)と離婚!養育費の相場は?ケース別に解説

3、養育費新算定表の金額は高すぎる?実際の平均額はいくら?

養育費算定表の金額を見て「え、これだけしか養育費もらえないの?」「この金額で子供を育てていくって無理じゃない?」などと感じた人は多いのではないでしょうか?

養育費算定表の養育費の金額は、養育費を受け取る側からすると「まだまだ低い」と感じる人が多いですが、逆に養育費を支払う側からすると「高すぎる」という意見も多いのです。

このように、養育費の相場は、養育費と支払う側と受け取る側で感覚の違いがあるのが実情です。

ここからは養育費をもらっているケースの平均額を見ていきましょう。

(1)養育費をもらっているケースの平均額

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、母子世帯の養育費の平均月額は43,707円となっています(同報告:20頁)。

子供の人数別に見ると、子供が1人の場合は38,207円、子供が2人の場合は48,090円、子供が3人の場合は57,739円です。

これに対し父子世帯の場合、平均月額は32,550円です。

子供の人数別に見ると、子供が1人の場合は、29,375円、子供が2人の場合は32,222円、子供が3人の場合は42,000円です。

こちらの金額は平均をとった金額なので、両親の年収によって大きく左右される側面はあります。

しかしながら、たとえば14歳以下の子供を3人抱えるシングルマザーが、年収500万円の元夫から受け取れる養育費の金額は、算定表によれば10〜12万円です。

この金額でも子供3人を育てていくことは楽ではありませんが、平均金額の57,739円だけで子供3人を育てていくのは不可能といっても過言ではないでしょう。

実際は子供を育てていくのに十分な養育費を受け取れずにいる家庭が少なくないというのが現状です。

参照:厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」

(2)算定表の金額は妥当?

では、養育費算定表の金額は妥当といえるのでしょうか?養育費を払う側ともらう側の生活の実態をシュミレーションして考えてみましょう。

まず、年収500万円の夫が養育費を支払う場合、夫の手取りは約400万円となります。

離婚して一人暮らしをしているとして、毎月の支出をシュミレーションしてみましょう。

家賃:9万円
水道光熱費:1万円
通信費:1万円
食費:3万円
交際費:3万円
日用雑費:1万円
被服費:1万円
保険料:1万円
合計:20万円

ごく大まかな見積もりですが、一般的には少なくてもこの程度の生活費は必要となるでしょう。

これに対し、養育費を受け取るシングルマザーの生活費もシミュレーションしてみます。

家賃:9万円
水道光熱費:1.5万円
通信費:5,000円
食費:3万円
子供の習い事費:1万円
子供の服や教材費:1万円
その他:1万円
合計:17万円

毎月の支出は少なく見積もっても17万円です。子供の人数が多い場合は支出もふくらむでしょう。

このシングルマザーが仮に10万円の養育費を毎月受け取れたとしても10万円では生活していくことができませんから、パートや派遣社員等、何らかの形で働きに出る必要があります。

夫の方はといえば、毎月の支出が20万円というのはごく平均的な支出ですから、仮に毎月10万円の養育費を支払うことになっても会社で働き続ける限りは無理なく養育費を支払うことができます。

ただ、子供の養育費は両親が分担して負担すべきものですから、シングルマザーであっても働くなどして一部は負担する必要があります。

そう考えると、養育費算定表の金額は概ね妥当なものであるといえるのかもしれません。

もっとも、これは数字上の話ですので、支払う側は「なぜほとんど会えない子供に毎月10万円も支払わなければいけないのか?高すぎる」と感じたり、もらう側は「小さい子供を抱えてパートに行ってもギリギリの生活なのだから、養育費は支払えるだけ支払ってほしい」などと感じたりするのも無理はありません。

4、年収500万円の元配偶者と養育費を取り決める際の注意点

年収500万円の配偶者と養育費を取り決める際、金額をいくらにするかは基本的に夫婦で話し合うことになります。

算定表の金額はあくまでも一つの目安であり、必ずしもそれに従わなければいけないわけではありません。

家庭ごとに事情は異なりますから、算定表の金額では納得できない場合はその旨主張していきましょう。

(1)増額事由を主張する

養育費算定表の金額よりも高い金額を請求する場合、増額事由を主張していきましょう。

この際、ただ単に「○万円必要」と金額だけを請求するのではなく、金額に合わせてなぜ増額の必要があるのかを具体的に主張していくことが大切です。

たとえば、小学校・中学校・高校の進学に伴い、子供を公立ではなく私立に通わせる予定の場合は、その旨とそうしたい理由を主張する必要があります。

養育費算定表は基本的には公立の学校に通うことを前提にしているので、私立に通う場合は、より多くの養育費が必要になるでしょう。

また、子供の習い事や塾通いでお金が必要になる場合や、子供の怪我や病気で医療費が必要になる場合もその旨主張していきましょう。

(2)減額事由がある場合も十分に話し合う

年収500万円の配偶者から、算定表の金額よりも養育費を減額してほしい旨主張があるかもしれません。

減額の主張があったからといって必ずしも減額しなければならないわけではありませんが、支払えないものを無理に支払うよう要求するのは不毛です。

配偶者とよく話し合い、可能な限り十分な養育費を確保していきましょう。

たとえば、養育費を支払う側が職を失う見込みであったり、病気で仕事を休まなければならない事情があったりする場合は、話し合いの時点では年収500万円だったとしても、その年収を基準に養育費を取り決めたら払えなくなるリスクがあります。

転職や体調回復の可能性を考慮して、配偶者と話し合いましょう。

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