バターの原料は、ミルク100パーセント!
バターの原料は、ミルク(生乳)のみ。これを容器に入れて攪拌し続けるのが、作り方の基本だ。「なんだ、カンタンじゃない!」と思われるかもしれない。たしかに素材も作り方もシンプルなのだが、少量でも5~10分以上も攪拌し続けないとバターになってくれない。たいへんな重労働を強いられそう……。
要は攪拌されればいい。たとえば、サイクリング。自転車の振動がその役目を果たしてくれそうではないか。手で振るほどのダイナミックな振れ幅はないが、サイクリングついでにできれば一石二鳥だ。
自転車で楽しくバター作りを目指す!
自転車は日々利用しているので、この作戦がうまくいけば、手作りバターが手軽に楽しめるようになるというもの。さっそく、用意したのは以下の通り。
・生クリーム
・ペットボトル
・冷却材(暑い日用)
バター作りに利用した生クリームは、脂肪分47%のもの。
用意した素材は「動物性、生クリーム、47%」の200mlパック(約400円)。いうまでもないかもしれないが、植物性ではバターにならないのでNG。また乳化剤や安定剤を含まない「クリーム(乳成分含む)」であることは必須。また市販の生クリームの脂肪分は、35、40、42、47%が一般的だが、数値が高いほうがバターになりやすい。なるべく高い数値のものを選ぼう。
用意した生クリーム全量のバター化を目指し、ペットボトル(500ml)を用意。ボトルの中の生クリームが自転車の振動で動き回ってもらえる空間が必要なのだ。これで準備は完了。
そのほか、気温にも注意したい。バターは摂氏28度くらいから溶けはじめるので、夏季は固まりにくい。熱対策として冷却材をペットボトルに巻きつけたほうがベターだ。
タオルを利用して冷却材をペットボトルに巻きつける。自転車のカゴの中であんまり暴れても困るので、ゴムで固定した
適度な振動がバター作りに○!
「適度な振動」を求めて、河川沿いの舗装が荒い道を選択した。
サイクリングの楽しみのひとつにプランニングがある。今回は手作りバターという目的も兼ねているので、振動がある未舗装部分もある河川敷の遊歩道を選択した。スピードを出さなければ公園内の道なども、それなりにデコボコしていておすすめ。時間は余裕を見て約1時間を想定。サイクリングなら30分や1時間はあっという間なのだ。
サイクリングをはじめて40分ほど経過した時点でペットボトルを振ってみると、粘度が高くなっている感触! これは期待が高まるというもの!
途中で固まり具合を確認した。左は最初の液状態。振動によって生クリーム内の脂肪粒が集まり、右のように固形化していた。こうなると逆さにひっくり返しても、なかなか落ちてこない。
続けてサイクリングを楽しみ、1時間が経過したあたりでペットボトルを見ると、生クリームの脂肪分はお互いにくっついて液状から固形化一歩前に。本当ならバターができあがっているはずなのだが、トライしたのは猛暑日。室温でも溶けはじめるバターの特性を考えれば、これはこれで上出来でしょう!
約1時間後のボトルの様子。生クリームはゲル状になった。ペットの口から出すのは面倒なのでカッターでカット。気候によってはこの時点でバターができている。
というわけで、チョイひと手間を。生クリームは水分を含んでいるので、取り出したいところ(離水という)。ゲル状のバターを入れたボウルを氷水で冷やしながら泡立て器で攪拌すると、ものの1分で水分が出てきた。水は別の器に移し、もう少し続ければ離水できる。ちなみにこの水分は「バターミルク」といい、これはこれで栄養満点。コーヒーや紅茶に利用できる。
バターの一歩手前。あとは離水すればOK。
生クリームから離水した様子。撹拌器の下が液状に(左)。手作りバターが完成! 少し黄色がかっているのがわかる。(右)
たっぷりの手作りバターをトーストにドン!まさに至福♪
できたてのバターを、ドンとのせる。ああ、なんてゼイタクなの!
さっそく試食タイム! 今回200mlの生クリームから約100gのフレッシュバターを作ることができた。いつものトーストでは(ダイエットもあるし)、バターを薄く伸ばしていたのだが、すでに運動もしているから今回は特別! と、ドンとバターを塗る。口に入れた瞬間に、スルっと溶けるバターの味がたまりません! クリームのまろやかな味が新鮮。有塩バターが好みなら、離水前にひとつまみ(0.5~1g)程度加えるのもいい(バター100g換算)。楽しめておいしい達成感! 運動にもなった。今度は、河川敷のコースではなく、駅近の自然公園内のコースで試してみようと思う。
取材・執筆:TAKASHI Y