●娘から母に働きかけることが大事
無視できれば楽なものですが、そうはいかないのが血縁関係の難しさ。であるならば、しっかりと母親と向き合って、自分の気持ちを伝えることが大切と横山さんは言います。
「母親の何が自分を苛立たせ、どういうところに嫌悪するのか、まずは自分の感情を理解するところからはじめます。そのうえで母親に対し、『そういう言い方とか、態度が私の気持ちを落とすの』とか、『傷つけられたような気持ちがするんだけど』と伝えてみます。これは、直接顔を見ながら言った方がいいですね。メールや電話は細かなニュアンスが伝わらず、こうしたデリケートなコミュニケーションには不向きなので得策ではありません。面と向かって言うのは勇気がいることですが、なるべく顔を合わせたときに伝えた方がいいでしょう」(横山さん、以下同)
●正直な感情をぶつけることが関係改善の第一歩
母親に面と向かって否定的な感情を発散することに、臆してしまう人もいるかもしれません。極めて激しい娘の感情に触れたとき、母親がどのような反応を示すのかは気になるところ。
「もちろん怒る母親もいますよね。でも、人の感情ってクルクル動くんですね。言われてみて『ああ、そういうところもあったかもしれない』と思って直そうとする母親もいますし、『娘からそんなことを言われるなんてとんでもない』と言う母親もいますし、反応は人それぞれですよね」
とはいえ、その後の関係性を気にするあまり、鬱屈した気持ちを抑える方が精神衛生上良くないことかもしれません。
「もし正直な感情をぶつけて母親が怒ったとしても、その後に娘さんが『ちょっとさっき言いすぎちゃった』とか、『お母さんに分かってほしいから言ったんだ』とフォローを入れることもあるわけです。最悪、それも無視する母親もいるわけですが、まずは自分のモヤモヤした気持ちを晴らすためにも、そして母親とより深い関係を築く一歩として大切なことです」
もしも、実母を嫌う気持ちがあったとしても、関係を良好なものにするためにも、自分の感情をさらけ出すことからはじめる必要があるようです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)