チャイルドシートは助手席に設置できる?
チャイルドシートを自動車内のどこに設置すべきか、迷う人も多いのではないでしょうか。子どもの様子が間近で見られて便利な助手席に設置してもよいのか、見ていきましょう。
助手席への設置は推奨されていないが可能
6歳未満の子どもを車に乗せるとき、チャイルドシートの設置は運転手の義務です。
警視庁のホームページで紹介されている正しい使用方法では「なるべく後部座席でチャイルドシートを使用させる」とあります。つまり、助手席にチャイルドシートを設置するのは、推奨されていないだけで違法というわけではありません。
やむを得ない事情がある場合や子どもを後部座席に乗せられない状況にある場合は、助手席に乗せても構わないとされています。
設置場所は安全性も考慮し助手席の後ろ
日本自動車連盟(JAF)が推奨するチャイルドシートの設置場所は「助手席の後ろ」です。進行方向に向かって後ろ向きに設置するタイプは、万一の際に、衝撃を背中で受け止められるよう、チャイルドシートの背面と助手席のシートの背面が向き合うように設置します。
運転席の後ろの場合、路上駐車で乗り降りする際には車道側へ出ることになります。安全性を考慮し、歩道側となる助手席の後ろに設置した方がよいでしょう。
また、後部座席の真ん中にある座席にチャイルドシートを取り付けようとしても、シートベルトで正しく固定できない場合があるので不向きといえます。チャイルドシートの取扱説明書を見ながら、正しく取り付けましょう。
参考:乳児専用タイプ(後ろ向きに取り付け)(はじめてのチャイルドシート クイックガイド)| JAF(日本自動車連盟)
助手席へのチャイルドシート取付が非推奨な理由
チャイルドシートを助手席に設置したからといって、罰則を受けるわけではありませんが、推奨はされていません。どのような理由があって推奨されていないのかを見てきましょう。
エアバッグに挟まれる危険性
助手席にチャイルドシートを固定すると、万一の事態が起きた際に、子どもがエアバッグと座席に挟まれて窒息したり、けがをしたりする危険性があります。
エアバッグが膨らんだ衝撃で、チャイルドシートが弾き飛ばされてしまうこともあり、非常に危険です。エアバッグは大人が座っていることを想定して作られており、小さな子どもの体には対応していません。
身を守るはずのものが、かえって危険な目に遭わせてしまうことにつながります。大切な子どもの命を守るために、チャイルドシートは後部座席に設置しましょう。
参考:過信は禁物、エアバッグ|一般社団法人 大阪府自動車整備振興会
運転中の注意が散漫になりやすい
小さな子どもが助手席にいると、運転手の注意が散漫になり、事故を誘発する原因にもなり得ます。不意に子どもが泣いたり、話しかけてきたりしたとき、様子を見ようと注意を向けるのはよくあることです。
また、運転席の隣にいると、子どもが何らかのアクションを起こしたくなっても仕方がありません。おとなしくしていたとしても、静かな状態が逆に気になって、子どもの様子を見るというケースもあり得ます。
注意力が散漫な状態では、信号を見逃したり、危険な運転をしたりしてしまいかねません。大事故につながる場合もあるので、運転に集中できるよう、後部座席にチャイルドシートを設置するのが得策といえます。
チャイルドシートの助手席設置のポイント
何らかの事情があって助手席にチャイルドシートを設置しなければならない場合、絶対に守りたいポイントがあります。どうすれば子どもの安全を守れるのか、チェックしましょう。
必ず説明書を確認する
チャイルドシートは、シートベルトに通して固定するタイプや、器具で固定するタイプがあり、商品によって取付方法が異なります。取扱説明書に詳しい方法が記載されているので、必ず目を通しましょう。
チャイルドシート自体に優れた安全性能を備えていても、間違って取り付けてしまっては意味がありません。取扱説明書をなくして確認できなくても、メーカーのホームページからダウンロードできる場合もあります。
ホームページが見つからないときやダウンロードができないときは、メーカーのサポートセンターに問い合わせて確認しましょう。
前向きタイプのチャイルドシートを使う
助手席に後ろ向きでチャイルドシートを設置すると、子どもとエアバッグの距離が近すぎて危険度が高まります。
背面からの方が衝撃を受けやすいとはいっても限度があるので、どうしても助手席に乗せる必要があるときは「前向きタイプ」を使用した方が無難です。
新生児から1歳ごろまでを対象としているチャイルドシートは、後ろ向きで設置するタイプが少なくありません。助手席に乗せなければならない理由があったとしても、1歳を過ぎるまでは安全性を考慮し、できるだけ後部座席に設置しましょう。
シートを一番後ろまで下げる
助手席にチャイルドシートを設置する際は、座席を後ろに下げられる限界まで下げ、エアバッグと距離をとれるようにしましょう。事故が起きたとしても、エアバッグに挟まれてけがをする危険性を、いくらか軽減できます。
チャイルドシートがしっかりと固定できているか、毎回の乗車前に確認するのも忘れないようにしましょう。
エアバッグの切り替えができる場合はオフに
国産車では珍しい機能ですが、外国産の車では「エアバッグの切り替え」ができる車種もあります。やむを得ない事情がある場合、エアバッグの切り替えがある車種に乗り換えるのも1つの方法です。
大人が座るときはエアバッグのスイッチを入れ、チャイルドシートを乗せるときはオフにすれば、子どもがエアバッグに圧迫される危険性は軽減できます。
ただし、切り替え忘れによって、事故の被害が大きくなってしまったということがないよう、運転手は気を配る必要があります。声に出したり、指さし確認をしたりするなどして、確認を怠らないようにしましょう。
チャイルドシートの助手席への正しい取付方法
チャイルドシートに乗っていれば、必ず子どもの安全が守られるわけではありません。正しく取り付けないと、事故の際に投げ出されてけがをする原因にもなり得ます。固定方法別に、取付方法をチェックしましょう。
シートベルト固定のチャイルドシート
座席のシートベルトで固定するチャイルドシートは、シートへの密着方法や、ベルトの通し方にミスがあると衝撃を受け止めきれません。
正しく取り付けるには、チャイルドシートの背面とシートの間に「隙間ができないようにしっかりと密着」させます。隙間があるとぐらつきやすく、衝撃を受けたときにチャイルドシートごと投げ出される危険性があります。
ベルトがねじれないように注意しながら、正しい位置に通していくことも重要です。ベルトを通したら、緩まないように引っ張ってから固定します。慣れるまでは難しいかもしれませんが、取扱説明書を見ながら練習しましょう。
製品によっては、使用方法を動画で公開しているものもあります。
ISOFIX固定のチャイルドシート
ISOFIX(アイソフィックス)は、シートベルトを使わない固定方式です。ISOFIX対応のチャイルドシートや自動車の場合、座席に取り付けられた固定器具とドッキングして、簡単にチャイルドシートを設置できます。
しっかり固定するには「カチッ」というまで押し込むことがポイントです。左右の固定器具にあるインジケーターを見て、完全に固定されたのか、目視するのも忘れないようにしましょう。
レッグサポートを備えているタイプは、車の床面に完全に接するよう調節します。取付完了後は揺すってみて、大きなぐらつきがないか確認しましょう。
まとめ
チャイルドシートを助手席に取り付けたからといって、罰せられるわけではありません。しかし、少しでも安全なカーライフになるよう、正しくチャイルドシートを取り付ける必要があります。
やむを得ず助手席に設置したい場合は、前向きに固定できるタイプを選び、座席を一番後ろまで下げて、エアバッグと距離をとりましょう。
後部座席に設置すれば、事故の際に衝撃を受けにくく、エアバッグの影響も受けにくいでしょう。また、運転に集中しやすく、脇見運転による事故も防げます。商品ごとの固定方法に従って設置し、子どもの安全を守りましょう。