肩が痛い!突然はじまるツライ五十肩。整形外科医が教える、痛みをラクにする治し方

突然、肩に痛みが走り、腕を自由に動かすことができなくなる「五十肩」。肩こりとは別物で、対処法も異なるといいます。
今回は、生活の質をガクッと落とす五十肩について、JCHO東京新宿メディカルセンターの正田修己先生にお聞きしました!

江戸時代から知られていた!?五十肩の痛み

五十肩の歴史は古く、その由来は江戸時代の漢学者・太田全斎が著した俚言集覧(りげんしゅうらん)※
に遡ります。

「俚言集覧のなかに、50歳ぐらいから肩や腕に痛みが出る症状について、“五十腕とも五十肩ともいふ”との記載があります。“五十肩”は正式な病名ではありませんが、俗語や学術用語としても長く用いられてきた経緯があり、西洋医学が広まった現代でも使われています。五十肩のことを、わが国では“肩関節周囲炎”と呼ぶこともありますが、もともとこの用語は19世紀にフランス人医師・Duplayが肩関節脱臼後の痛みと可動域制限に対する病名として名付けたもの。現在では、正式名称として“凍結肩”に統一されています」と正田先生。

古くから人々が悩む五十肩ですが、肩こりとは異なり突然起こり、症状が強いのが特徴。

「腕や肩に明らかな怪我がないにも関わらず、肩が痛み、可動域が狭まったらそれは五十肩かもしれません。原因のはっきりしない肩の痛みが急に起こったら要注意です」

※俚言集覧:江戸時代中期に成立した当時の国語辞典。音韻の研究でも知られる太田全斎により手がけられた

五十肩の原因と症状は?五十肩はなぜ起こる?

五十肩の症状を以下に整理しました。

明らかな怪我がなくはじまる突然の痛み
夜間、特に寝返りなどでも痛みが生じる
肩の可動域が狭くなる

「夜も痛みが生じたり、痛みによって目が覚めてしまうなど、五十肩の症状は厄介です。多くの場合は片方の腕からはじまりますが、なかには両腕が五十肩になってしまうという人もいます」と正田先生。

しかし、五十肩の症状を訴える人は多いものの、その原因ははっきりとはわかっていないそう。

「詳しい原因は不明ですが、加齢などによって関節を構成するコラーゲンが変化して弱くなったところに、日常生活による物理的なストレスが加わって微小な断裂が起こり、その後、異常な血管新生と関節の拘縮(こうしゅく)が生じて発症すると考えられています。コラーゲンの質が変性する糖尿病や、甲状腺疾患のある人に五十肩の症状を訴える患者さんが多いこともわかっています」

きっかけとして、腕を外側にねじる動作を行うなど、何らかの動きが加わった際に起こることも多く、髪を結んだり、自分の後ろにあるものをとろうとして腕を伸ばすなどのささいな動作がトリガーになってしまうこともあります。

もしかして、自分も五十肩?と思ったら、次の項目にあるリストでセルフチェックしてみましょう!

五十肩かも?と思ったら、リストでセルフチェック

以下のセルフチェックリストで、当てはまる項目が多いほど、五十肩の可能性が高いかもしれません。
さっそく見てみましょう!

あなたは五十肩?!セルフチェックシート

年齢は40〜50代
痛む部分やその周囲に、明らかな怪我や傷がない
急に症状がはじまった
夜間に痛みが生じたり、痛みが強くなる
痛みのために、肩の動きがあらゆる方向で制限される
痛みがある腕と、反対の腕を比べても筋肉の萎縮などがない
痛みがある腕を持ち上げようとすると、イカリ肩になる

実際に五十肩の場合は、どのようにケアしていけばよいのでしょうか?

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