肩が痛い!突然はじまるツライ五十肩。整形外科医が教える、痛みをラクにする治し方

最初が肝心!きちんとケアすれば治る五十肩

五十肩のケアは、最初が肝心だといいます。特に痛みがはじまった直後は、無理に動かすとますます症状が悪化して治りにくくなるそう。

「痛みと可動域制限を特徴とする時期を炎症期といい、発症から2〜9ヶ月に相当します。この時期は最も注意が必要です。無理に動かさず、徹底して肩を休めるようしましょう。痛みが出ない範囲で上半身を動かすのは問題ありません。
セルフケアは、痛みに気をつけながら胸を張ったり、肩甲骨を使って腕を動かすぐらいにとどめましょう。また、クリニックにかかり、温熱療法をはじめとした治療を行うのも効果的。治療を行わないと、炎症期後も痛みや腕の可動域制限などの厄介な症状が尾を引くこともあります」と正田先生。

ゆっくりと大きく動かそう!五十肩を改善するコッドマン体操とテーブル拭きストレッチ

炎症期をすぎると、可動域の制限が残っていても痛みが徐々に落ち着いてくる拘縮期(こうしゅくき)が訪れます。発症から約4〜12ヶ月にあたるこの時期には、痛みが悪化しない範囲で積極的に腕や肩を動かしていきましょう。セルフケアとして、腕を下ろした状態で可動域を広げる動作がおすすめです。Codman体操といわれる振り子運動や、テーブル拭きストレッチがよいそう。

A. コッドマン体操

肩幅ぐらいに足を開いて立つ。肩の力は抜く
痛む腕を身体の前に垂らしながら、ゆっくりおじぎをする
そのまま身体を前後に揺らして、腕を振り子のように揺らす

B. テーブル拭きストレッチ

肩の力を抜き、テーブルに座る
テーブル拭きをするように両腕を伸ばして、身体の前に倒していく
痛みが出たところで10秒止め、また元に戻す

「コッドマン体操は、やや前かがみになって、腕の力を抜いた状態で体幹を動かすことによって、腕を振り子のように前後左右、そして円を描くように動かす方法です。テーブル拭きは、テーブルの上に雑巾をおき、ゆっくりと拭くような動作を繰り返すだけ。この時期はまだ、腕をあげるのがしんどい場合もあるので、手をあげずに行っても大丈夫です。また、逆の腕で五十肩のひじを支え、動きをサポートするのもよいでしょう」

その後の回復期(発症から約5ヶ月〜2年に相当)は、自然に痛みと可動域の問題が改善する時期。動きの改善に合わせて、生活で使う頻度や範囲を増やしていきましょう。以前はおおよそ2年以内に完治するといわれましたが、最近の研究では未治療例では罹患期間が長くなり、約50%の人に何らかの後遺症が残るとされています」

「五十肩は激烈な痛みをともなう場合が多いので、落ち込んでしまう患者さんも多いはず。しかし、どんなにつらくてもしっかりケアすれば治るものなので、気長に取り組むことを忘れないでほしいですね。
また、五十肩と似た症状に腱板断裂(けんばんだんれつ)という疾患があり、五十肩との鑑別も必要です。痛みのコントロールは整形外科医が得意とするところですので、まずは受診してみましょう。
五十肩は、日常のささいな動作から痛みがはじまることも多いもの。わずかな動作でも腕だけ動かさず、身体も同じ方向に向けて行うなど、身体のことを意識したていねいな暮らしが予防につながるでしょう」。

監修:正田 修己(しょうだ なおき)

整形外科専門医。JCHO東京新宿メディカルセンター骨粗鬆症センター長/リハビリテーション科部長。大学卒業後、東京大学医学部付属病院、ワシントン大学、国立国際医療研究センター病院などで研鑽を積み、2019年にJCHO東京新宿メディカルセンターに入職。脊椎脊髄外科部長を経て2021年から現職。

2023年1月27日 健康

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