書類送検されても起訴されない為の重要知識を弁護士が解説

書類送検されても起訴されない為の重要知識を弁護士が解説

5、書類送検されない(微罪処分の)ためにすべきこと

書類送検されないためにはどのようなことをすべきなのでしょうか?

そもそも警察官が犯罪について捜査を行った場合には、事件が成立するか否かにかかわらずすべて検察官に事件を送致することとされています(全件送致主義)。

ただ、この全件送致には例外があり、一定の態様の事件は警察限りで事件を終結させることができ、検察官には月ごとにまとめて報告すれば足りることとされています(微罪処分)。

この微罪処分となれば、書類送検を免れることができ、処罰を受けることなく事件は終わります。

微罪処分となるのは次のようなケースです。

被害額僅少・犯情軽微で、被害の回復が行われ、被害者が処罰を希望せず、偶発的犯行で再犯のおそれのない窃盗・詐欺・横領・盗品等に関する罪
きわめて僅少な財物を目的として犯情も軽微であり、共犯者すべてについて再犯のおそれもない賭博
その他検事正がとくに指示した特定犯罪

3.については検事正が指示するとされているため各地方検察庁によって異なることになりますが、凶器を使用しない偶発的な暴行で犯情軽微、被害者が処罰を求めておらず、前科前歴がない場合などが挙げられます。

微罪処分の対象となることが多いのは万引きや軽い暴行などですが、いずれの場合も被害者が処罰を希望しない、被害が回復されているなどの要件が必要になりますので、微罪処分を勝ち取るためには被害者との示談が必須といえます。

6、「しかるべき処分」の意見を付けてもらうためにすべきこと

微罪処分を受けるには先ほど述べた一定の要件を満たす必要がありますので、もともとこの要件に当たらないケースでは微罪処分を受けることはできません。

ただ、書類送検が避けられないとしても、警察の処分意見で「しかるべき処分」(または「寛大処分」)を得ることができれば起訴を避けられる可能性が高くなります。

では、この「しかるべき処分」(または「寛大処分」)の意見を付してもらうにはどのようなことをすべきなのでしょうか?

警察官がこれらの意見を付すケースは、警察官が起訴猶予とするのが相当だと考えた場合(寛大処分)か、嫌疑不十分(しかるべき処分)と考えた場合です。

起訴猶予が相当だと考えてもらうには、被害者との示談、被疑者自身の真摯な反省態度などの要素が必要でしょう。

要は、今回起訴しなくても再犯の見込みはないし、被害者も処罰を望んでいないという状況を作り出すことです。

他方、嫌疑不十分と考えてもらうには、犯罪の証明ができないか、犯罪の証明が困難である必要があります。

嫌疑不十分の意見を勝ち取るためには、やはり法律の専門家の協力が必要です。

いわれない嫌疑を掛けられてしまった場合には、捜査段階から弁護士に依頼して、捜査側の疑いを晴らす積極的な弁護活動をしてもらう必要があるでしょう。

関連記事: