知っておきたい粉ミルクの種類と成分
粉ミルクの利用を検討するにあたり「そもそも粉ミルクってどんなものなのだろう?」と疑問を抱く人は少なくありません。
まずは、粉ミルクの種類や成分など、大切な赤ちゃんが口にするものだからこそ、知っておきたい基本情報についてチェックしていきます。
粉ミルクには3種類ある
粉ミルクは、その特性によって以下の3種類に分けられます。
・育児用ミルク(乳児用調製粉乳)
・フォローアップミルク
・特殊ミルク(アレルギー対応ミルクなど)
「育児用ミルク」は、母乳の代替品として新生児期から飲める粉ミルクです。一般的に「粉ミルク」と呼ばれる種類で、今回の記事においても特に注釈のない「粉ミルク」は、この育児用ミルクのことを指します。
「フォローアップミルク」は、離乳食が進んだ生後9カ月ごろからの赤ちゃんを対象としたミルクです。不足しがちな栄養素の補助として利用します。
「特殊ミルク」は、アレルギーや先天代謝異常症などのある赤ちゃんに対応したミルクで、各社で様々な工夫が施されています。
赤ちゃんに粉ミルクを与える際は、まずこうした種類の違いを理解して、適切な商品を選ぶことが大切です。
参考:「乳児用調製粉乳」と「フォローアップミルク」の違いは何ですか? | 乳と乳製品のQ&A | 一般社団法人日本乳業協会
参考:特殊ミルクガイドライン[2012]|一般社団法人 日本小児栄養消化器肝臓学会
基本の成分は国によって定められている
なかには「粉ミルクだけで、赤ちゃんに必要な栄養素を補えるのだろうか」と不安に思うママ・パパもいるのではないでしょうか。
新生児期から離乳食が始まるまでの赤ちゃんは、母乳や粉ミルク以外から栄養を摂取できません。赤ちゃんの健やかな成長や健康のためにも、粉ミルクには必要な栄養素が不足なく含まれている必要があります。
そのため国は、粉ミルクの基本的な成分について、厳格に定めています。メーカーごとに追加成分などの特徴はありますが、たんぱく質・脂質・炭水化物をベースとした基本的な成分に大きな違いはありません。
成分面で見る限り、国内で一般的に流通している粉ミルクであれば、どれを選んでもよいと考えられます。
シーンに合ったタイプで選ぼう
ママ・パパのライフスタイルに合わせて便利に使い分けられるよう、粉ミルクにはいくつかのタイプが用意されています。それぞれの詳しい特徴を紹介します。
家用ならコスパのよい「缶タイプ」
自宅で使う粉ミルクには、コストパフォーマンスのよい「缶タイプ」の粉ミルクがおすすめです。
前述のとおり、どの粉ミルクを選んでも、粉ミルクの基本的な成分に大きな違いはありません。一方で、粉ミルクのタイプによっては、コストパフォーマンスに一定の違いがあります。
缶タイプの粉ミルクは、容量に対するコストが比較的低い傾向にあります。使用頻度が高ければ高いほど、1カ月あたり、1年あたりのコストには大きな差が生まれるでしょう。
完全ミルク育児の人はもちろんのこと、家用として用意しておきたい粉ミルクといえます。
持ち運びに便利な「個包装タイプ」
外出先でサッとミルクを用意する際に便利なのが、スティックやキューブなど「個包装タイプ」の粉ミルクです。
個包装タイプの粉ミルクであれば、何かと大荷物になりがちな赤ちゃんとのお出かけの際も、かさばらずに持ち歩けます。また、密封されているので、かばんのなかでこぼれる心配もありません。
一方で、個包装タイプの粉ミルクは、缶タイプの粉ミルクに比べると、やや高コストです。コストパフォーマンスにこだわるのであれば、日常使いするには不向きといえます。
なお、一般的なスティックタイプの「粉ミルク・1本」のミルク量は約100mLで、キューブタイプの「粉ミルク・1個」のミルク量は約40mLです。好みや必要量に合わせて選びましょう。
災害時にも便利な「液体タイプ」
調乳の手間がなく、必要なタイミングですぐに用意できるのが「液体タイプ」のミルクです。
一般的な粉ミルクは、お湯を用意して粉ミルクを溶かすという調乳作業が必要です。お湯を手に入れにくい環境や「今すぐ飲ませたい」といったシーンでは、不便を感じるケースが少なくありません。
その点、液体タイプであれば、哺乳瓶に移すだけで、そのまま赤ちゃんに与えられます。手間・時間をかけず、必要なタイミングですぐに用意できるのは大きなメリットといえるでしょう。
日常の外出時にはもちろんのこと、災害時用のストックとしても活躍するアイテムです。
環境に優しい「詰め替えタイプ」
「できるだけゴミを出したくない」「環境に配慮した商品選びがしたい」そんなママ・パパにおすすめなのが「詰め替えタイプ」の粉ミルクです。
専用のプラスチックケースに、粉ミルクの入った袋をそのまま入れて使用するタイプなので、袋を入れ替えるだけで詰め替えが完了します。
缶タイプとは違い、缶ゴミがでないのでゴミ捨てに悩む必要もありません。コスパ面では缶タイプに劣るものの、日常使いとしては便利な粉ミルクです。
缶・詰め替えタイプの粉ミルクを比較
実際に販売されているそれぞれの粉ミルクには、どのような違いがあるのでしょうか?まずは、缶・詰め替えタイプの粉ミルクの人気商品を見比べてみましょう。
和光堂「レーベンスミルク はいはい」
母乳に含まれる成分に注目し、優れた成分バランスとコストパフォーマンスを実現した粉ミルクです。
赤ちゃんの消化の負担に配慮し、母乳に近いたんぱく質バランスに加え、新生児期の発育に重要なDHAとアラキドン酸を配合しています。
缶タイプは300gと810gの2種類が用意されているので、必要に応じて使い分けましょう。
「大切な赤ちゃんだからこそ、母乳に近い粉ミルクを与えたい」、そんなママ・パパの気持ちに寄り添う商品です。
・商品名:和光堂「レーベンスミルク はいはい」
ビーンスターク「すこやかM1」
「母乳から学び、その成果を生かすこと」というコンセプトのもと、2015年から開始された全国母乳調査をもとに、母乳研究によって作られている缶タイプの粉ミルクです。
基本的な栄養成分に加え、シアル酸・母乳オリゴ糖(ガラクトシルラクトース)・リボ核酸など、多数の母乳成分が配合されているのが特徴です。
商品サイズは、800g・300gの2種類が用意されています。携帯用に便利なスティックタイプも容量に応じて2種類あるため、家でも外出先でも同じ味のミルクをあげることができます。
・商品名:ビーンスターク「すこやかM1」
森永乳業「森永はぐくみ」
最新の母乳研究の成果を生かし、栄養成分の量を母乳に近づけている粉ミルクです。
成長に大切なDHAとアラキドン酸を、日本人の母乳と同じく2:1の割合で配合したほか、初乳に多く含まれるとされる、たんぱく質「ラクトフェリン」、カロテノイドの一種「ルテイン」も配合しています。
800g・300gの缶タイプに加え、スティックタイプや詰め替えタイプと、豊富なラインナップが用意されているのもうれしいポイントです。
・商品名:森永乳業「森永はぐくみ」
個包装タイプの粉ミルクを比較
個包装タイプの粉ミルクには、どのような商品があるのでしょうか?人気の商品の特徴を紹介します。
明治「ほほえみ らくらくキューブ」
キューブタイプの粉ミルクとして高い認知度を誇る人気商品です。添加物を加えることなく、キューブ状にしています。
母乳に近い分量と質のたんぱく質や、腸内のビフィズス菌を増やすともいわれる「フラクトオリゴ糖」など、赤ちゃんの体にうれしい成分を多く配合しています。
また、赤ちゃんの成長や発育に役立つ「DHA」を100gあたり100mgと「アラキドン酸」を100gあたり67mgと、母乳に相当する成分量で配合しているのも大きな特徴です。
なお、1袋(キューブ5個)で約200mLのミルクが作れます。キューブ1個では40mLのミルクが作れるので、成長に合わせて飲む量を調整する際にも重宝します。
・商品名:明治「ほほえみ らくらくキューブ」
雪印メグミルク「ぴゅあ スティック」
新生児から1歳までの赤ちゃん向けのスティックタイプの粉ミルクです。
母乳研究から生まれたミルクとして「シアル酸」「カルシウム」「ガラクトオリゴ糖」など、赤ちゃんの発育を支える成分を豊富に配合しています。
スティックタイプのほか、缶タイプの粉ミルクも販売されているため「自宅・外出先でもできるだけ家と同じミルクを飲ませたい」という、ママ・パパに特におすすめの商品です。
・商品名:雪印メグミルク「ぴゅあ スティック」
番外編!液体ミルクを比較
なかには「粉ミルクを用意するつもりだけれど、液体ミルクにも興味がある」という人もいるのではないでしょうか。気になる液体ミルクについて詳しく見ていきましょう。
グリコ「アイクレオ 赤ちゃんミルク」
2019年に日本で初めて、赤ちゃん用液体ミルクとして販売された商品です。
赤ちゃんの消化吸収に配慮し、アミノ酸バランスや脂肪酸組成など母乳に近い成分配合をかなえています。
容器は海外の液体ミルクで多い紙パック式を採用し、無菌パック製法により常温で約9カ月の長期保存が可能とされています。持ち運びや捨てる際の負担も少なく、扱いやすい液体ミルクです。
・商品名:グリコ「アイクレオ 赤ちゃんミルク」
明治「明治ほほえみ らくらくミルク」
「明治ほほえみ」シリーズの、缶・キューブタイプと同等レベルの栄養設計を実現した液体ミルクです。
容器には、酸素や光の影響を受けにくいスチール缶を採用し、高い密封性と遮光性・耐久性を実現しています。製造日から約18カ月間の常温保存ができるため、災害時の備蓄用としても活躍するでしょう。
哺乳瓶に移し替えて飲んだり、専用のアタッチメントを付けてそのまま飲んだりと、使い方の自由度が高いのもうれしいポイントです。
・商品名:明治「明治ほほえみ らくらくミルク」
まとめ
一般的な育児用粉ミルクには、缶タイプ・個包装タイプ・液体タイプ・詰め替えタイプの4種類があります。
コストパフォーマンス・持ち運びやすさ・使いやすさなどに違いがあるため、それぞれの特徴を踏まえて、生活スタイルに合わせた商品を選ぶのがおすすめです。
「家では缶タイプで、お出かけ用に個包装タイプ」「メインは母乳で、祖父母に預けるとき用にはキューブタイプ」など、粉ミルクを上手に活用しながら、赤ちゃんの成長をサポートしてあげましょう。