いつまで時短勤務できる?利用する際の注意点や終了前の準備も紹介

第233回 みんなが共感!ママのお悩み
育児休業からの仕事復帰を機に、時短勤務を検討している人もいるでしょう。自由なイメージのある時短勤務は、利用できる期間が定められた制度です。対象者の条件から、注意点・延長の可否・終了後の働き方まで、時短勤務に役立つ情報を解説します。

育児のための時短勤務はいつまで可能?

1日6時間を原則とする時短勤務(短時間勤務)は、介護・育児中に利用できる制度です。育児を理由として時短勤務をする場合には、子どもの年齢で期限が設けられています。

基本は3歳の誕生日を迎える前日まで

育児を理由に時短勤務を利用する前提条件は、3歳に満たない子どもがいることです。そのため、時短勤務が認められるのは「子どもが3歳になる誕生日の前日まで」とされています。

時短勤務は希望制のため、利用したい場合は雇用主に申出が必要です。時短勤務を開始する1カ月前までを目安に、子の氏名と続柄・制限を希望する期間(1カ月以上1年以内)などを書面にて通知しましょう。

ただし、時短勤務をしている期間に、産前・産後休業(産休)や育児休業(育休)などを取得する際は、産休・育休が始まったタイミングで時短勤務は終了となります。

なお、時短勤務が終了する休業には介護休業や、2022年10月から始まった「産後パパ育休」も含まれます。

参考:育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省

3歳以降も時短勤務を認めている企業も

3歳から小学校に就学するまでの時短勤務は、国が企業に対して努力義務として位置づけた「短時間勤務等の措置」のひとつです。努力義務には企業の判断に任せるという意味があるため、3歳までの時短勤務と違って法的な拘束力はありません。

「短時間勤務等の措置」としては、1日6時間の時短勤務以外に、残業の制限・時差出勤・在宅勤務などが挙げられます。

時差出勤を利用すると、企業が認めた範囲内で始業・終業時刻の調整が可能です。例えば9~18時の勤務時間を10~19時や8~17時と、早めたり遅らせたりするイメージです。

夫婦で時差出勤を申請し、保育園の送迎を分担する方法もあります。在宅勤務が認められる場合は通勤の必要がない分、時間に余裕を持ちやすいでしょう。勤務先の就業規則などで、時短勤務以外の育児支援を確認しておくことも大切です。

参考:育児・介護休業法の概要|厚生労働省

時短勤務するメリット・注意点

通常の働き方とは異なる時短勤務は、メリットばかりではありません。時短勤務を賢く利用するためには、プラス・マイナスの両面を確認しておくことが重要です。

家事・育児と両立しやすい

時短勤務する大きなメリットは、家事・育児と両立しやすい点にあります。

時短勤務は短い時間で働ける分、家事・育児にゆとりが生まれます。通常の場合よりも早く帰宅できるため、フルタイムと比べて家族と過ごす時間が長くなるのも特徴です。

長い育児休業から復帰する場合には、いきなりフルタイムで働くと、心身に負担がかかってしまう恐れもあります。短時間勤務から段階的にフルタイムへ戻していくことで、仕事のストレスを軽減できるでしょう。

給与・手当の額が下がる

1日8時間程度の勤務時間を6時間程度までに短縮すると、当然ながらもらえる給与額は下がります。

特に注意したいのは、フルタイムに比べて賞与はもちろん、出産手当金・育児休業給付金といった諸手当も少なくなるという点です。

出産手当金・育児休業給付金の額は、支給前の給与に基づいて計算されます。つまり、フルタイムと比べて勤務時間の短い時短勤務は、給与額の減少に伴い、出産手当金・育児休業給付金の額も下がるというわけです。

参考:母性健康管理に関する用語辞典|妊娠・出産をサポートする 女性にやさしい職場づくりナビ

参考:産前・産後休業を取るときは|妊娠・出産をサポートする 女性にやさしい職場づくりナビ

時短勤務に関するQ&A

制度が整っているとはいえない時短勤務に、疑問・不安を抱いている人も多いのではないでしょうか?

最後に、対象者・延長の可否・終了後の対応など、時短勤務に役立つ情報をピックアップして解説します。

派遣社員・パートも時短勤務できる?

時短勤務を利用できるのは、正社員だけではありません。条件を満たした場合には、派遣社員・パートでも時短勤務が可能です。

ただし、1日の勤務時間が6時間以下だったり、1週間に2日以下しか働いていなかったりする場合は時短勤務の対象から外れます。

また、現在の勤務先で働き始めて1年が経過していない場合も、時短勤務の対象ではありません。なお、日給で給与が支払われる日雇いも、時短勤務の対象に含まれない点にも注意が必要です。

参考:育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省

時短勤務の期間を延長する方法はある?

現時点では、時短勤務の期間を延長する方法はありません。

もちろん時短勤務が終了する前に、上司・職場に延長を相談してみるのはひとつの方法です。ただし、企業が3歳以降の時短勤務を認めていない場合、延長の希望が通る保証はありません。

しかし、正社員として雇用されている場合には、期限の定めがない「短時間正社員」として働ける可能性があります。企業と期間を定めない労働契約を締結して短時間正社員になると、フルタイムよりも勤務時間・日数を少なくして働くことが可能です。

時間あたりの基本給・ボーナス・退職金などの計算方法がフルタイム正社員と同じため、報酬が大幅に下がるリスクを軽減できます。

参考:短時間正社員制度について_多様な正社員とは|厚生労働省

時短勤務が終わる前の準備は?

時短勤務が終わる前に、終了してからの働き方・生活に向けた準備を始めましょう。特にフルタイムで働く場合には、残業を任される可能性があり、時短勤務より心身の負担が増える点に注意が必要です。

帰宅時間が遅くなった場合に備えて、ファミリーサポートセンター・学童(放課後児童クラブ)といった、子どもの預け場所を確保することも大切です。また、食洗機・ドラム式洗濯機・掃除ロボットなどの便利家電を活用し、家事の負担を軽減する方法も有用です。

フルタイムで働く自信がない場合には、小学校卒業後にも時短勤務を利用できる企業に転職するのもひとつの選択肢です。そのほか、時間に余裕を持てるパート・フリーランスなどに働き方を変えたりする方法も検討してみましょう。

参考:「令和3年度雇用均等基本調査」調査結果の概要(事業所)P27|厚生労働省

まとめ

育児を理由にした時短勤務は、3歳未満の子どもを育てる人が利用できる制度です。1年以上の勤続年数があり、条件を満たすと派遣社員・パートでも時短勤務が認められます。

時短勤務はフルタイムよりも短い時間で働ける反面、給与とともに出産手当金・育児休業給付金の額が下がる点に注意が必要です。

時短勤務は期間が定まっている制度のため、終了前からフルタイムに戻る準備をしたり、転職したりといった働き方を考えておくことも大切です。フルタイムで働く場合には預け先を確保し、便利家電をうまく使いながら心身の負担を軽減しましょう。

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