●夢は明日変わってもオッケー
「夢なんかない」と言う子どもも、アンケートをとると、8割は夢があるという。夢が答えられない子どもは、「こんなことを言ったらバカにされる?」「どうせ言ったって無理」と遠慮したり、諦めているケースが多いそうだ。だが、「今日は何を言ってもオッケーだよ、大丈夫だよ」という環境を整えていくことで、どんどん子どもたちは夢を見つけていくという。
「東北地方で行ったワークショップで、ある子が“夢はない”と言ったんですね。でも、いろいろ話を聞いてやっとたどり着いたのは『部活のバスケで活躍すること』でした。するとその子は、次の日からバスケットボールを真剣にやるようになって、レギュラーになったんです」(菅野氏 以下同)
このように、夢を意識することによって、ポジティブスイッチがオンになる例はたくさんあるという。夢の階段を一歩一歩進み、頑張ったことが自信になり、将来に繋がっていくのだそう。
●子どもの夢のプロセスを聞くことが大事
「子どもだけでなく、ママにもぜひ夢を見てほしい」と語る菅野氏。日本ゆめ教育協会は、保護者会などでもワークショップを実施しているが、その最中、「○○ちゃんのママ」から、自分自身に戻る瞬間が見られるという。
「海外に住んだことがある専業主婦のお母さんが、“通訳になりたかったんです…”とボソッと言ったんです。そこから盛り上がって、“4年後の東京オリンピックでボランティアの通訳として活躍出来るんじゃない?”という話になりました。他にも“カンボジアに学校を作りたかった”という人もいて、“じゃあ今の自分に何が出来るのか?”という話になりました。皆さん目がキラキラしていましたね」
子どもにかかりきりで、自分のことは後回しにしていたママも、「私はこういうことがやりたかったんだ」という夢がわかれば、きっと子どもとも、夢についてもっと自然に話すことができるようになるはずだ。子どもには表面的な夢を聞くだけでなく、理由を聞いてあげてほしいと語る菅野氏。
「“ドラえもんを作りたい”と言う小学校低学年の女の子がいましたが、その理由が“世界の貧困の人たちにご飯を作ってあげることが出来るから”だったんです」
子どもっぽくて普段だったらスルーしてしまうような夢も「なぜ?」というプロセスをきちんと聞いてあげると、ビックリするような話が飛び出すことはよくあるそうだ。親が子どもの夢を勝手に決めつけてしまうことも要注意だ。
「サッカーをやっているからといって、『夢はサッカー選手だね。Jリーグ? セリアA ?』という決めつけはよくありません。今はサッカーをやっていたとしても、将来パティシエになりたい子もいます」
すぐに答えを求めず、じっくり子どもと向き合って、「何に興味があるのか?」「何をしている時が楽しいのか?」「なぜそうなのか?」を聞いてみる。さらに親自身が夢を持ち、ワクワクしている姿を見せれば、自然と子どもも夢を持つようになり、もしかすると、興味を持った分野がどんどん伸びるかもしれない。互いの夢を応援しあう…素敵な親子関係を築き上げてみよう!
(取材・文/谷亜ヒロコ)