「パパの育児参加は諦めている」「お願いしてイヤな顔をされたりケンカになったりするのがしんどいから、いっそ自分で全部やる」というママの声もよく耳にする。
だが、諦めや思い込みを解き放てば、アンフェアを感じさせない夫婦の分担の形が見つかるかもしれない。『ワーママ時間3倍術』(WAVE出版)の著者であり、“激務型ワーママ”を自称するニ女の母・山守麻衣さんに話を聞いた。
●時間差シェアで夫の担当分を強化
「ワーママの役目は、パパにうまく『仕事を振ること』です。仕事が忙しくて帰宅が遅いパパにもできるタスクは日常生活にたくさんありますよ」(山守さん 以下同)
例えば、ゴミ出し。日中の家事・育児参加が難しいパパでも毎朝のゴミ出しはできるはずだ。ゴミの分類から処分までゴミ捨てはすべて「パパの仕事」として振ってみよう。もちろん朝のゴミ捨てだけじゃない。深夜に帰宅した後のパパにも「振れる」仕事はある。
「私は夕食後の片付けを完璧にしません。子どもたちに使った食器を流しに運んでもらったらそこで “終了”。あとは子どもの宿題や翌日の用意、歯磨きを済ませたら一緒に就寝。キッチンの後片付けと洗濯乾燥機を回すのは、夫の担当です」
ほかにも、消耗品が切れたときはパパに補充してもらう、トイレや洗面所など水まわりの掃除はパパの担当にするなど、時間差シェア方式でできる仕事は意外とあるはずだ。
●保護者の連絡先は「夫のケータイ番号」を1番目に
家事と同様に、子どものことに関してもママ側が主導権を握っている家庭は多いだろう。だがちょっとした工夫次第で、パパにも親としての責任感を自覚してもらえるようになる。
「わが子の保育園や学校予定については、『夫婦のうちどちらが出席する?』とまず相談を持ちかけてみましょう。『×日の保護者会、私は仕事で行けそうにないんだけど、あなたの都合はどう?』という聞き方をすることで、親としての責任感を自覚してもらえるよう促しましょう」
また、学校などに提出する保護者の連絡先は、1番目にパパのケータイ番号を、その次にママの番号を書くという手も有効だ。こうすると電話連絡はまずはパパ宛てにかかってくるようになる。
「子どもの体調異変や緊急時には夫婦それぞれに連絡が来るため差し支えありません。パパに“親”という自覚を強めてもらうためには良い方法だと思います。そういった工夫を積み重ねて、子どもにまつわることは父母のうちできるほうがその都度やるべき、という合意を作っていきましょう」
●パートナーシップはギブ・アンド・テイクの積み重ね
また、夫婦間で仕事状況の共有をしておくのも大切だ。
「『今月は出張が多い』『上旬が余裕あり』など、互いの仕事状況をざっくりとでも把握しておく。子どものためにしたイレギュラーなことは必ず相手に報告する。そしてお互いが困ったとき、ピンチのときは徹底して助け合う。これらの基本精神を忘れずにいれば、夫婦は対等でいられるはずです」
結局のところ、子育て中のパートナーシップとは、「私がこれをやった」「じゃあ僕がこれをやる」というギブ・アンド・テイクの積み重ねで育まれていくもの。ママだけに負担が偏って被害者意識を持ってしまわないよう、夫婦間でオープンに話し合うことを意識しよう。
(阿部花恵+ノオト)