事実を知ってしまったあと、妻は自分のなかに抱える感情とどう向き合ったらいいのか。カウンセラー行政書士の武石晃一さんはこう話す。
「夫の浮気の事実が発覚したとき、女性はどうしても浮気した夫よりも、相手の女性に対して敵意・嫉妬心を抱きやすくなります。なぜなら、夫を責めると『お前に飽きた・満足していない』などと言われる可能性があるから。ただでさえ浮気をされて、自尊心がボロボロなときに、これ以上傷つけられたら心が壊れてしまうからです」(武石さん 以下同)
嫉妬心は醜いものと考えられがちだし、嫉妬心を抱くことはつらく苦しいこと。でも、相手の女性に敵意を向けることで、これ以上自分が傷つかないようにする、「自分を守る」というプラスの意味もあるという。
●憎しみ、悲しみ、嫉妬…すべての感情には意味がある
とはいえ、いつまでも嫉妬心が止まらず、前に進めない場合には、どうすれば?
「そのときはまず、自分がその相手の女性になりたいのか冷静に考えてみましょう。例えば、『独身の女性で既婚男性としか付き合っていない』『会いたいときに会えないし、メールもなかなかできない』『朝まで一緒にいられない』、その人生を自分は幸せと感じるのかと考えてみるのです」
また、怒りも悲しみも、苦しさもわびしさも、すべての感情には意味があると武石さんは言う。
「浮気される衝撃は、道を歩いていて、突然地割れがして落ちてしまうようなもの。痛いし、真っ暗なトンネルでどこに進んで良いかわからない。無力でひとりぼっちに思えます。でも、そこでまず襲ってくる悲しみや怒りなどの感情は、自分の現在地点を教えてくれます。自分の現在地点がわかることで、初めて『出口』が見えてくるのです」
まずは、ありのままの自分を思い出し、親でも親戚でも友人でもカウンセラーでも良い、誰かに「ありのままの気持ち」を全部吐き出し、聞いてもらうこと。そして、誰かに肯定してもらうことで、心の傷が癒され、自信が回復していくという。
嫉妬心を抱くのは、悪いことばかりじゃない。まずはその気持ちを受け入れ、勇気を出して誰かに話してみよう。そこから必ず「出口」は見えてくるはずだ。
(田幸和歌子+ノオト)