●はじまりは「イラストで子どもの姿を記録したい」という思い
もともと記録魔だったいう横峰さん。そうした性格もあって、育児絵日記をつけ始めたのが“育児あるあるの発見”につながったそう。
「周囲の人から『やめなよ』って言われるくらい、昔からなんでも記録してしまうんです。家計簿にはじまり、体重の推移や体調、読んだ本とか観た映画とか、日記にびっしりつけていた時期もありました。起きている間は、ずーっと何かしら記録しているような感じでした(笑)」(横峰さん、以下同)
そんな横峰さんが、絵日記をつけ始めたのは、子ども(通称:まめ)が生まれてから1カ月くらい経ってからのこと。
「出産から少し落ち着きはじめた頃、記録魔の矛先が育児に向かったようなかたちです。『何時におっぱいを右側何分あげた』とか『おしっこやうんちを何時くらいにどれくらいした』というのを事細かく記録していました。その細かさたるや、もう後から手帳を見て、自分でも引いてしまうほど(笑)。ペンで紙が真っ黒になるまで記録していました」
それからあるきっかけによって、字を書くのが嫌になりイラストで表現するようになったんだとか。
「息子のまめが『乳児脂漏性湿疹』を罹ってしまったことです。頭の皮が剥けるという、たいしたことない症状なんですけど、それが治るまで毎日この文字を書かなきゃいけないのは面倒くさいと思ったんです。それで、もともと禿げていたまめが、さらに禿げた様子のイラストを描いてみました。そしたら、こっちの方が見返した時に楽しいんじゃないかと、自分としても久しぶりに絵をかいて肩の力が抜けた部分がありました。その日から1日1枚絵を描くという方向に変わっていきました」
●育児のイラッとポイントを“笑い”に昇華させる
最初は、素直にその日あったことを描いていたという横峰さん。里帰りしていたため、夫に見せる目的もあって制作していたそう。
「出産から3カ月間は、実家で息子を育てていたので、夫とは離れて暮らしていました。毎日、その日起きた出来事を報告するんですけど、電話だとどうしても愚痴っぽくなるんですよね。これは良くないなと。なので、絵日記をオモシロ可笑しく描くことで、楽しく伝えられるかなと思うようになりました」
夫とのコミュニケーションを意識した結果、シュールで面白い育児絵日記へとシフトチェンジしていったのだそう。横峰さんならではユーモラスなイラストは、意外にも育児中のイラっとする感情をベースに作りだされているようです。
「育児の中でイラッとした出来事の方が、面白くひねりやすいっていうのはありますね。育児は結構ストレスが溜まることが多いですが、イラッとしたものをそのまま終わらせるのは損した気分になるじゃないですか。だったら、『絵日記のネタにしちゃえ!』って思っています。それをインスタにアップすることで、『おもしろいです!』とリアクションを貰えるので、損した気分じゃなくなるんです。よくインスタを見てくださる方に、『育児を笑いに変えられてすごいです』って言われることもありますが、そうでもしなきゃやってられないみたいなところがありますね(笑)」
横峰さん流の“育児あるある”発見のコツ。ちょっとした視点の変え方を日常に取り入れることで、育児の苦労も少しだけ軽くなるのかもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)