過剰防衛とは?正当防衛との違いや成立要件、判例を弁護士が解説

過剰防衛とは?正当防衛との違いや成立要件、判例を弁護士が解説

5、過剰防衛が問題となる事件で逮捕されたときの対処法

過剰防衛が問題となる事件で逮捕されてしまった場合には、以下のような対処法が考えられます。

(1)正当防衛を主張できないか検討する

相手からの侵害行為に対する反撃行為が原因で逮捕されてしまった場合、状況によっては正当防衛が成立する可能性があります。

正当防衛が成立する事案であれば、早期の釈放や不起訴処分の獲得が見込めますので、正当防衛の成否を検討する必要があります。

その際には、急迫不正の侵害の内容・程度によって、防衛行為の必要性・相当性も変わってきますので、事案に応じて詳細に検討することが大切です。

(2)防衛行為の状況を詳細に説明する

正当防衛が成立する可能性がある場合には、捜査機関に対して防衛行為に出た状況を詳しく説明します。具体的には、以下のような内容を説明するとよいでしょう。

相手からの侵害行為の内容、程度
相手から侵害行為を受けた経緯、状況
防衛行為の内容、程度
他に手段がなかったこと

なお、正当防衛と過剰防衛を比較すると、正当防衛が成立した方が有利ですので、まずは正当防衛の成立を主張していきます。

(3)被害者との示談も有効

正当防衛(過剰防衛)が問題となる事案でも、被害者との示談は有効な対処法となります。

正当防衛(過剰防衛)を主張している事案で示談をすることは矛盾するようにも思えますが、犯人性を否定している事案と異なり正当防衛を主張している事案では、反撃行為をしたこと自体に間違いはありません。

反撃行為によって結果として相手を負傷させているのであれば、それに対して謝罪し、賠償することも不自然なことではありません。

被害者との間で示談が成立すれば、早期の釈放や不起訴処分を獲得できる可能性が高くなるといえます。

なお、否認事件における示談に関する詳しい説明は、以下の記事をご参照ください。

6、正当防衛や過剰防衛が問題となるときは弁護士に相談を

正当防衛や過剰防衛が問題となる事件に巻き込まれてしまった場合には、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

(1)取調べに対する対応をアドバイスしてもらえる

正当防衛や過剰防衛が問題となる事件で逮捕されてしまった場合には、捜査機関の取り調べで、正当防衛や過剰防衛の成立を主張していく必要があります。

その際には、単に「正当防衛が成立する」と主張するだけでは足りず、正当防衛の成立要件を踏まえて、必要な事実を伝えていかなければなりません。

一般の方ではどのような事実を伝えればよいかわからないと思いますので、取調べに対して適切に対応するためにもまずは弁護士によるアドバイスを受けるとよいでしょう。

(2)被害者との示談交渉を任せることができる

正当防衛や過剰防衛を主張している場合であっても、被害者との示談は有利な処分を獲得するための有効な手段となります。

しかし、身柄を拘束されている状態では、被害者との示談交渉を行うことができません。また、在宅で捜査が進む場合でも加害者からの接触だと拒まれてしまうこともあります。

このような場合には、弁護士に示談交渉をお任せください。弁護士であれば、被疑者・被告人に代わって被害者と示談交渉を進めることができ、被害者としても弁護士が窓口になれば安心して応じてくれるといえるでしょう。

関連記事: