女性アスリート盗撮はどんな罪に問われる?逮捕・検挙された時の対処法とは

女性アスリート盗撮はどんな罪に問われる?逮捕・検挙された時の対処法とは

3、女性アスリートを「盗撮」した疑いで逮捕された実例

女性アスリートの性的画像を撮影・投稿したとして実際にされる例は、2021年頃から目立ち始めています。ここで紹介するのは、大きく報道された3つの事例です。

(1)無断転載が著作権法違反に該当するとして逮捕された事例

2021年5月、京都府内に住む自営業の男が「女性アスリートの画像39点をアダルトサイトに無断転載した」として逮捕されました。JOCより情報提供を受けた警視庁が捜査し、立件に至った例です。

本件のポイントは、社会問題化したばかりの段階で、スポーツ団体と警察で協力して加害者の検挙事例を作ろうとした点です。

本事案の後、女性アスリートの性的画像を巡る検挙・立件の事例が続くようになります。

(2)性的動画販売が名誉毀損罪に該当するとして逮捕された事例

2021年6月、千葉県内に住む会社員の男が「女性スポーツ選手の下着が透けて見える動画をネット販売した」として、名誉毀損の疑いで逮捕されました。赤外線カメラで盗み撮りした画像で数百万円を売り上げた、悪質なケースです。

名誉毀損罪は重い処分が下される罪でありつつも、被害者の告訴がなければ起訴できません。

そのため、最初に紹介した例では、被害者の負担を軽くするための方策として著作権法違反で立件されました。

本事案は女性アスリート関係における全国初の名誉毀損での逮捕例で、同月内に大阪で2例目の逮捕事案があります。

(3)女学生の無断撮影が迷惑防止条例違反に該当するとして逮捕された事例

2021年9月、京都府に住む男が「陸上競技場で女子高校生を性的な目的で撮影した」として、迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。現場は公共の競技場で、下半身を強調した画像を計34枚撮影したとされています。

迷惑防止条例違反で検挙されるのは、当時としては異例の対応です。先だって京都府は条例を改正して、こういった盗撮を規制対象としています。

4、女性アスリートの「盗撮」で逮捕されたらどうなる?

女性アスリート盗撮や性的画像の投稿が警察に知られた場合、初犯なら厳重注意で済むこともあります。

ただし強い悪質性が認められた場合は別で、初犯でも逮捕・勾留されたり、略式起訴(100万円以下の罰金又は科料のケース)されることもあり得ます。

場合によっては正式裁判となり、実刑判決をうける可能性も否定できません。例えば、次のような場合は厳重注意では済まない可能性が高いです。 

問題発覚までに撮影や投稿を執拗に繰り返している
閲覧者から選手に多数の迷惑メールが寄せられる等、実害が大きい
画像加工や添えられたコメントが過激であり、看過できない
盗撮・画像投稿によって多額の収益を上げている

(1) 逮捕後の流れ

盗撮等で逮捕された場合、警察の留置所で最大48時間に渡って身柄拘束されます。

その後検察官に送致され、遅くとも24時間以内には勾留請求されるかどうかが決まります。

勾留決定となれば、追加して最大で20日間(10日間+勾留延長で10日間)にわたって勾留されます。

こうして最大23日間の拘束を経て、刑事裁判を起こす手続(公訴提起)へ移行するのが原則です。

身柄拘束と前後して家宅捜索が入ることがあり、こうなると同居家族の生活にも差し障りが出る可能性があります。

また、本人の勤務先に知られることになれば、仕事にも影響が出てしまうかもしれません。

(2) 実名報道の影響

女性アスリート盗撮問題は、2020年東京五輪の頃からしばしば取り沙汰されていることから、逮捕者に衆目が集まって実名報道されることも十分にあり得ます。

本名がニュース等で流出してしまった場合、関係各所が容易に身元情報を知り得る状態となり、社会復帰に多大な支障が出ることも考えられます。

そのため、ネットの普及によりニュース記事が半永久的に残り、更生しても生涯つきまとう「デジタル・タトゥー」になる点も心配です。

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