養育費請求の弁護士費用の相場は?分割可能?払えない際の対処法も解説

養育費請求の弁護士費用の相場は?分割可能?払えない際の対処法も解説

3、実際に支払うのはいくら?養育費の弁護士費用のシミュレーション

養育費請求にかかる弁護士費用の相場をご紹介しましたが、まだ具体的なイメージを持ちにくいかもしれません。そこで、ここではよくあるケースをいくつか取り上げて、弁護士費用のシミュレーションをご紹介します。

ただし、繰り返しますが実際の弁護士費用は事案の内容や依頼する弁護士によって異なります。以下のシミュレーションはあくまでも一例として参考になさってください。

(1)離婚調停で養育費を取り決めて離婚が成立したケース

依頼者が離婚を望み、離婚調停を弁護士に依頼して、養育費を取り決めて離婚が成立したケースで弁護士費用を計算してみましょう。

分かりやすくするため、争点は「離婚するかどうか」と「養育費を支払うかどうか、支払う場合の金額」のみであったと仮定します。夫婦間には8歳の一人息子がいて、最終的に依頼者が親権者となり、養育費は月額6万円で合意できたとしましょう。

養育費の成果報酬は、「3年分の養育費の金額×10%」と仮定します。

費目

弁護士費用

相談料

 0円

(無料相談のみ)

着手金

40万円

(交渉の着手金20万円+離婚調停の追加着手金20万円)  

報酬金

41万6,000円

(離婚成立の基礎報酬20万円+養育費の成果報酬21万6,000円)                        

合計

81万6,000円

このケースでは、以上合計で81万6,000円となりました。この他に実費、日当、消費税も必要ですので、総額で90万~100万円程度は見込んだ方がよいでしょう。

なお、養育費そのものの相場についてはこちらの記事の解説をご参照ください。

(2)離婚後に話し合いで養育費を取り決めたケース

次に、養育費の取り決めを行わずに離婚した後で弁護士に依頼し、話し合いによって養育費を取り決めたケースで弁護士費用を計算してみましょう。

事案としては上記と同様、8歳の一人息子がいて、養育費を月額6万円とすることで合意できたとします。

費目

弁護士費用

相談料

0円

(無料相談のみ)

着手金

15万円

報酬金

21万6,000円

合計

36万6,000円

この他に実費・日当・消費税がかかりますが、話し合いのみで事件が終了した場合は、調停をした場合よりも実費・日当は少なくなるのが一般的です。

なお、離婚後に調停で養育費を請求するには、「離婚調停」ではなく「養育費請求調停」を申し立てます。こちらの記事では、養育費請求調停について詳しく解説していますので、参考になさってください。

(3)未払いの養育費を強制執行で回収したケース

最後に、離婚時に公正証書で養育費を取り決めたにもかかわらず相手が支払わないため、未払いの養育費を強制執行手続きで回収したケースの弁護士費用を計算してみましょう。

事案としてはこれまでと同じく、8歳の一人息子がいて、養育費を月額6万円で取り決めていたとします。そして、弁護士に依頼することによって1年間の未払い分72万円を回収したと仮定します。

 費目        

 弁護士費用

相談料

0円

 (無料相談のみ)

着手金

15万円

報酬金

7万2,000円

合計

22万2,000円

上記の報酬金は、「実際に回収した金額×10%」で計算しています。

なお、上記「2、(3)」でもご説明しましたが、養育費の取り決めについて公正証書・調停調書・審判書・判決書のいずれかがない場合は、新たに相手方と交渉するか裁判手続きが必要となります。

こちらの記事では、養育費を裁判手続きで請求・回収する方法を解説していますので、参考になさってください。

4、養育費の弁護士費用を払えないときの対処法

養育費請求にかかる弁護士費用の相場やシミュレーションをご紹介しましたが、やはり「高い」と感じる方も少なくないでしょう。

離婚して財産分与や慰謝料を獲得した場合は、その中から弁護士費用を支払うことが可能な場合もありますが、養育費は獲得できても月々数万円にすぎないこともあります。そのため、弁護士費用の負担が重く感じられるのも無理はないのかもしれません。

ここでは、養育費の弁護士費用を支払うのが難しいときの対処法をご紹介します。

(1)分割払いや後払いが利用できる事務所を探す

弁護士費用は費目ごとに支払うタイミングが異なるものの、いずれも原則的には一括払いです。しかし、分割払いに対応している法律事務所も少なくありません。

初期費用が準備できない場合は、着手金の分割払いに対応している事務所を探すとよいでしょう。その際には、報酬金も分割払いに応じてもらえるかどうかも確認しておくことをおすすめします。

また、先ほどご説明した「着手金無料」や「成功報酬型料金体系」を採用している事務所では、手数料が後払いとなるのが一般的です。後払いであっても、まとまった金額を一括で支払うのは難しい場合もあるでしょうから、分割払いが可能かどうかも確認しておきましょう。

(2)法テラスを利用する

法テラスには、資力が乏しい人を対象として弁護士費用を支援する「民事法律扶助」という制度があります。

この制度を利用すれば、一般の事務所の料金体系よりもリーズナブルな料金で弁護士に依頼できます。その上に弁護士費用は法テラスが立て替えて弁護士に支払い、利用者は法テラスに対して原則として月1万円ずつの分割払いで償還すれば済みます。

民事法律扶助制度を利用するには、収入や資産が一定の基準以下であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。詳細はこちらの記事でご確認ください。

(3)無料相談を活用して自分で養育費を請求する

どうしても弁護士費用を払えない場合は、自分で養育費を請求することも考えられます。その場合でも、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

ただ、無料相談は受け付けている事務所でもほとんどの場合は初回の30分~1時間程度に限られるという限界があります。

無料相談だけで対応するなら、その都度別の事務所へ相談しなければなりません。このやり方は効率が悪いので、あまりおすすめはできません。相談料が数万円かかってでも、同じ弁護士に継続的に相談した方がよいでしょう。

なお、この方法をとるのは、養育費について相手と大筋で合意はできているものの、金額やいつまで支払うかという問題について細かな意見の相違があるようなケースに限った方がよいでしょう。

相手が養育費の支払いを拒否している場合など、真っ向から意見が対立している場合には、弁護士費用を負担してでも弁護士に依頼する方が結果的には得策となることが多いと考えられます。

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