3、夫婦別姓は問題ばかりではない!考えられるメリットについて
夫婦別姓を選択するデメリットについてご紹介しましたが、夫婦別姓はデメリットばかりではありません。
夫婦別姓は結婚しても旧姓を使用できるため、夫婦別姓制度が実現すれば
銀行口座
運転免許証
パスポート
自分の名義で登録している手続き類
などの名前を変更しなくてもいいというメリットがあります。
現在では夫婦別姓にするために通称名で旧姓を名乗っている場合には、手続きなどでは旧姓と結婚後の姓とを使い分ける必要があるため混乱しやすくなりますが、そういった煩わしさもなくなります。
また、事実婚による夫婦関係を続ける場合には、事実婚を解消しても姓の呼称が変わらないことや、戸籍に履歴が残らないというメリットもあります。
4、夫婦別姓を選択する場合にすべきこと
夫婦別姓を選択する際には、まずはパートナーとの話し合いが必要になります。
互いの意見
価値観
などの擦り合わせを行い、両者が納得して夫婦別姓を選択すべきです。
そして、夫婦別姓を選択することになった場合には、夫婦別姓の際に起こり得るトラブルを回避するために次のことを行うようにしましょう。
(1)家族の証明ができるようにしておく
夫婦別姓にするために事実婚を選ぶ場合には、婚姻届けを提出しないので夫婦である証明をすることが難しくなります。
何らかのトラブルが生じた場合に家族の証明ができるように、互いの婚姻の意思を客観的に表明することが大切です。
結婚式を挙げるなどの方法もありますが、家族の証明として形に残すには次の方法がおすすめです。
住民票の続柄(世帯主から見た親族の関係)を変更する
公正証書(公証人の作成する証明力の強い文書)を作成する
①住民票の続柄を変更する
法律婚では住民票の世帯主に対する続柄は、
「夫」
「妻」
と記載されます。
事実婚の場合も、世帯主に対する続柄は手続きを行うことで変更することができます。
手続きを行えば、「夫(未届)」や「妻(未届)」と記載されるようになるため、事実婚関係が証明しやすくなります。
この手続きは、パートナーの社会保険上の扶養になる際にも必要になります。
②公正証書を作成する
事実婚を証明するためには、公正証書を作成するという方法もあります。
公正証書とは、公証役場において公証人が法律に従って作成する公文書です。
公正証書は法律の知識に基づいて作成されるため、記載内容も法律上で問題ないように作成されます。
そして、作成時には
身分証明書
印鑑証明書
などの確認も行われるため、書面としては法的な信頼性の高いものになります。
そのため、事実婚をするにあたって事前に決めた内容や、婚姻の意思がある旨を公証役場で公正証書として作成してもらっておけば、後から問題が起きた場合などでも事実婚関係を証明することができます。
(2)相続に関する問題の対策をしておく
夫婦別姓のために事実婚を選択する場合、パートナーは法定相続人にはなりません。
子供がいて認知している場合には子供が親の法定相続人になりますが、子供がいない場合にはパートナーは互いの法定相続人にはならないので遺産を相続することができなくなります。
この場合、遺産はパートナー自身の家族に相続されることになるでしょう。
そのため、相続に関する問題には事前に対策しておく必要があります。
遺産に関する問題の対策方法としては、1つ目に遺言書を作成しておくということが挙げられます。
遺言書は公正証書として残すことや、弁護士に依頼して法律に沿った形式で作成するようにしましょう。
相続に関する対処法の2つ目には、生前贈与が挙げられます。
生前贈与であれば本人が生きている間に行うことができ、年間110万円以内ならば贈与税も発生しません。
また、生命保険は事実婚でもパートナーを受取人にすることができる保険会社もあるので、生命保険を活用することも考えておきましょう。
(3)子供の認知や苗字の問題を解決しておく
事実婚の場合や、今後夫婦別姓制度が実現した場合には、子供の苗字に関する問題が生じるでしょう。
どちらの親の苗字を子供に名乗ってもらうことにするのか事前に話し合って決めておく必要があります。
また、子供が成長すれば親と苗字が異なることに対して不安を覚えることが予想されるので、子供の精神面へのケアも必要になります。
また、事実婚関係で子供が生まれた場合には、子供は母親の戸籍に入ることになり、父親とは父子関係がない状態です。
そのため、子供と父子関係を持つには認知する必要があります。
認知することを含め、どちらが親権を持つのかなど事前に話し合っておくことが大切です。
(4)パートナーとの関係性に悩んでいる場合は弁護士に相談する
法律婚の場合、配偶者との関係性に問題が生じた場合には
離婚
慰謝料請求
などを行うことができます。
事実婚では婚姻届けを提出していないものの、離婚や慰謝料請求においては法律婚と同様の扱いになることが大半です。
事実婚の場合は事実婚の解消という形になり、法律婚と同様に離婚における財産分与の請求を行えます。
また、パートナーの
浮気
モラハラ
などが原因で事実婚を解消するのであれば、慰謝料の請求も可能です。
ただし、法律婚とは異なり夫婦の関係性の証明が難しいようなケースなどもあり、複雑化してしまうことも少なくありません。
そのため、パートナーとの関係性に悩んでいる場合には弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで
関係性の証明に必要な証拠
今度の流れ
などを把握することができ、問題解決に向けて見通しを立てやすくなるでしょう。
配信: LEGAL MALL