大人がやりがちなジェンダー差別

第3回 LGBTと多様な性、子どもにどう教える?
「男の子が人前で泣くのは格好悪い」「女の子なんだからでしゃばらないの」。

“親”という立場になってから、無意識のうちにそんな言い方をしていないだろうか? だがそういった “性別による決めつけ”は、時として子どもを萎縮させ、才能ややる気を潰してしまう場合がある。

子育てをする上で気をつけておきたいジェンダーにまつわるNG言動について、『先生と親のためのLGBTガイド』の著者であり、LGBTの子ども・若者支援に長年関わっている遠藤まめたさんに話を聞いた。

「人間は“男の子”“女の子”という2通りだけに分けられるのではなくて、人の数だけ個人差があります。まずは、その子は何が好きで、何が嫌いなのかをシンプルに受けとめて大切にしてあげてほしい」(遠藤さん 以下同)

母と息子

●子どもの「好き」を認める積み重ねが自己肯定感になる

そのためにはまず、世間一般でいうところの「男の子らしさ」「女の子らしさ」という価値観をいったん脇によせてしまおう。戦いごっこより手芸が性に合う男の子もいれば、ままごとよりも木登りが好きな女の子だっている。そんなことは“当たり前”のことなのだ。

「子どもの言動は気まぐれに見えるかもしれませんが、どんな服がいいか、どんな遊び方を好むかといった、一つひとつの些細に見えるようなことの積み重ねこそが、その子の自己肯定感を育んでいく。それが結果として、人生にも大きな影響を与えていくのです」

あるがままのわが子を否定せず、受け止める。それが自然にできるようになるためには、実は親である自分自身がこれまでの人生を振り返ってみる必要がある。

「“女らしさ”や“良い母親/娘像”などの固定観念に縛られて我慢してきた人もいるでしょう。そんなときは叶わなかった願いを持っていた幼い自分、寂しかった過去の自分を『がんばってきたね』と認めてあげてください」

自分が味わったのと同じような我慢や苦労を、子どもには手渡したくない。そう思えば、きっと親としての行動は必然的に変わるはずだ。世間の「男/女はこうあるべき」という思い込みに縛られず、わが子が楽しいと感じることを応援しよう。
(阿部花恵+ノオト)

お話をお聞きした人

遠藤まめた
遠藤まめた
1987年生まれ横浜育ち。トランスジェンダー当としての自らの体験をきっかけに10代後半よりLGBTの若者支援をテーマに活動。著書に『先生と親のためのLGBTガイド もしあなたがカミングアウトされたなら』(合同出版、2016年)ほか。
1987年生まれ横浜育ち。トランスジェンダー当としての自らの体験をきっかけに10代後半よりLGBTの若者支援をテーマに活動。著書に『先生と親のためのLGBTガイド もしあなたがカミングアウトされたなら』(合同出版、2016年)ほか。