もしも「スマホ原因の飛行機事故」を起こしてしまったら…

第10回 インターネットメディア「STANDBY」
「機内モード」に設定したつもりができていなかった…ということも十分ありうる。万が一に備え入念に確認しよう 写真:ponsulak / PIXTA(ピクスタ)
「機内モード」に設定したつもりができていなかった…ということも十分ありうる。万が一に備え入念に確認しよう 写真:ponsulak / PIXTA(ピクスタ)

情報収集から暇つぶしまで、日常の多くをスマホに依存している現代人。気づけばスマホをいじってしまうという人も少なくないだろう。マナーやモラルを守れば何の問題もないはずだが、使う時と場所によっては「犯罪行為」に発展してしまう可能性もなくはない。今回は「飛行機でスマホを使用するリスク」について、アディーレ法律事務所に聞いた。

飛行機では離着陸の際、「電波を遮断するように」とのアナウンスが流れることが多い。これは、航空機の精密電子機器が、スマホなどの電子機器によって電波障害や誤動作を引き起こす可能性がゼロではないからだ。国土交通省が2014年より、航空機内での電子機器使用についての一部制限の緩和を実施したが、飛行機の機種や機器によって制限内容も変わるため、いまいちよくわかっていないのが実情。

たとえば、機内モードにするなど航空会社からの指示を守らなかったことが原因で離陸が遅れたり、事故が起こったりした場合、どのような罪に問われる可能性があるのだろうか?

「航空法第73条に定められている『安全阻害行為』にあたるおそれがあります。こうした安全阻害行為に対して、機長には該当者を拘束したり、飛行機から降ろしたりできる権利があります。もし、機長の命令に背いた場合は『航空法違反』とみなされ、50万円以下の罰金も定められています」(吉岡一誠弁護士、以下同)

そして、仮にだが、離陸後仮に自分のスマホが原因で事故が起こった・墜落してしまった場合、「過失傷害罪」や「過失致死罪」などの刑事罰が適用される可能性があるうえ、死傷者の治療費・交通費・休業損害・慰謝料・逸失利益など、払えないような額の損害賠償請求をなされる可能性もあるという。

また前述のような大事でなくても、たとえば「離陸が遅れて飛行機が遅延した」だけでも民事訴訟の可能性はあると吉岡弁護士は指摘する。

「スマホから発される電波が原因であると特定することや、損害の立証は難しいかもしれませんが、抽象的な可能性としてはあり得ます。遅延した場合、航空会社には乗客へのイレギュラーな対応にかかる人件費などの損害が発生する可能性があるからです」

そんなリスクを負うくらいなら、素直にスマホの電源を切ったり機内モードにしたりするのが懸命な判断といえるだろう。自分ひとりくらいなら、という甘い考えが予想外の事故に発展する可能性もあることを、一人ひとりが認識しておきたい。

(小野洋平/やじろべえ)

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アディーレ法律事務所

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世の中を切り取るインターネットメディア「STANDBY」が配信する記事です。
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