日常生活に欠かせないスマホだが、扱い方を間違えると「事件」に発展してしまうこともある。特に気を付けたいのが、知らず知らずのうちに「犯罪行為」に手を染めてしまうこと。たとえば、スマホの性能を向上させる目的で「改造」をすると、“違法端末”になってしまう可能性があるのだとか。アディーレ法律事務所に聞いた。
「改造行為により『電波法』に抵触してしまう可能性があります。スマホは電波を使った通信機器であるため、日本の電波法で定められた技術基準に適合するものでなければいけません。元々の電波法の趣旨は勝手に電波を飛ばすことを禁じ、公共の電波に影響を与えないようにするというもの。そのため、基本的なアンテナ、Wi-FiやBluetoothの部分に改造を加えなければ大丈夫かと思いますが、分解をした時点で電波に影響が生じる恐れがあるとみなされて、『電波法』違反になる可能性があるのです」(吉岡一誠弁護士、以下同)
これは故障の際の修理も同様。自分で修理することはもちろん、依頼する業者によっては違反行為に該当する場合があるようだ。
「登録修理業者制度に登録している正規の業者に出せば問題ありませんが、街の修理屋などの非正規の業者に出した場合はグレーです。たとえば、画面が割れて修理をお願いした場合、外装の他は特に何も手を加えていなくても、分解するためにスマホを開いた時点で『改造扱い』になってしまう可能性があります。ちなみに、スマホには技術基準に適合することを証明する『技適マーク』が付いています。これが付いていない端末で電波を発すると、電波法4条違反となり、電波法第110条の1号によって1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられます」
ということは、改造しても「技適マーク」を残せばいいだけの話なのでは?
「それも違反行為です。改造などをした場合『技適マーク』を除去しなくてはならないと定められているんです(電波法38条の7第4項)。これに違反すると、第112条の1号により50万円以下の罰金が科せられます」
つまり、非正規店で修理した場合に「技適マーク」を除去する・残す、いずれにせよ“違法端末”になってしまう可能性があるということだ。ただ、スマホ修理が正規店だけでは追いつかない状況もあり、非正規店の修理は“グレー”とされている。正規店が混んでいるから、修理費用を抑えたいから、と非正規店につい頼んでしまいたくなるが、違反になる可能性があることに変わりはないのだ。
「法律上では責任を負う可能性があるということです。あとは民事上の問題があります。前例はありませんが、各キャリアの契約の中で『改造をしてはいけない』という条項があれば、改造が判明した時点で一方的に契約を解除させられる、正規の業者でサポートを受けられない、下取りをしてもらえないなどの現実的なリスクもあるでしょう」
スマホの改造および非正規店での修理は「犯罪」に該当する可能性がある。ネットなどでノウハウなどが紹介されていたとしても、安易に手を出すことは避けたいところだ。
(小野洋平/やじろべえ)
スマホのカスタマイズ・修理、違法になる線引きは?
第11回 インターネットメディア「STANDBY」
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世の中を切り取るインターネットメディア「STANDBY」が配信する記事です。
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