仮釈放の要件と手続き~重要なのは家族のサポート

仮釈放の要件と手続き~重要なのは家族のサポート

3、仮釈放許可までの流れ

次に、仮釈放を許可されるまでの流れについてご説明いたします。

(1)保護観察官、保護司による生活環境の調査、調整

刑務所に収容されると、社会復帰に向けた本人の生活環境の調査、調整が行われます。

本人はもちろん、家族やその他の引受人、関係者との面接などを通じて、家族の状況、家庭環境、近隣状況、収容される前の生活状況・交友関係、釈放後の就職・生計の見込みなどにつき調査を受け、社会復帰後の生活環境の調整のための参考とされます。

調査の結果は、刑務所内での処遇にも生かされます。

(2)刑務所の長から地方更生保護委員会への申出

刑事施設の長は、有期刑については3分の1、無期刑については10年が経過し、かつ、「悔悟の情」「改善更生の意欲」「再び犯罪をするおそれ」「保護観察に付することが改善更生のために相当」「社会の感情」についてそれぞれを考慮し、本人を仮釈放し、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当と認めるときは、仮釈放の許可権限などを有している地方更生保護委員会に対し、仮釈放を許可すべき旨の申出をします(更生保護法34条)。

(3)地方更生保護委員会による調査、審理

地方更生保護委員会は一般的に3人の委員から構成される合議体によって調査、審理が進められます。

刑事施設の長からの申出を受けた地方更生保護委員会は、その委員をして本人と面接させたり、収容先である刑務所へ必要な事項を照会したり、保護観察所に対して社会復帰後の生活環境の調整を依頼するなどして、仮釈放を許可するか否か判断するための情報を集めます。

(4)地方更生保護員会による仮釈放の許否決定

こうして集まった情報をもとに、地方更生保護委員会は本人に対し仮釈放を許可するか否かの判断をします。

仮釈放を許可する場合は、同時に仮釈放をする日や帰住先も指定されます。

4、仮釈放は取り消されることがある

仮釈放は許可されたとしても取り消されることがあります。

どんな場合でしょうか?

(1)取り消される場合

どんな場合に仮釈放が取り消されるかについては刑法29条1項に規定されています。

刑法29条1項

1号 仮釈放中に更に罪を犯し、罰金以上の刑に処せられたとき。

2号 仮釈放前に犯した他の罪について罰金以上の刑に処せられたとき。

3号 仮釈放前に他の罪について罰金以上の刑に処せられた者に対し、その刑の執行をすべきとき。

4号 仮釈放中に遵守すべき事項を遵守しなかったとき。

典型的なケースとしては、1号、あるいは4号に該当する場合でしょう。

4号の「遵守すべき事項」とは上記「1」(4)でご紹介した「一般遵守事項」と「特別遵守事項」をいいます。

仮釈放を取り消すか否かも地方更生保護委員会が判断します。

(2)取り消されたらどうなる?

仮釈放されたといっても刑の執行は継続していますから、仮釈放が取り消された場合は、再び刑事施設に収容されます。

仮釈放が取り消された場合、仮釈放期間中の日数は刑期に算入されません(刑法29条3項)。

たとえば、懲役3年で刑務所に収容されていた者が、2年6ヶ月を経過して仮釈放されたとします。

仮釈放の期間は刑期満了の日までなので残り6ヶ月を経過すれば釈放となりますが、仮に、仮釈放の期間中に遵守事項を遵守せず、仮釈放から2ヶ月を経て仮釈放が取り消された場合には、そこからさらに6ヶ月間刑事施設に収容されることになります。

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