トキメキ SPOT03 > 畑 to Kitchen Cafe
江戸時代から続く農園の恵み
生態系を味わう絶品ピザ
上/『畑とキッチンカフェ』のカフェタイムの人気メニュー、農園野菜のマルゲリータ1540 円。生地は知人のイタリアンのシェフによる手作り。自家製トマトソースのうまみと酸味も絶妙 下左/囲炉裏のある部屋で、自家焙煎のコーヒーを堪能しながらオーナー・川田勉さん(左)に農園の歴史を聞く筆者 下右/コーヒーはかまどで沸かしたお湯で1 杯ずつハンドドリップ。かまど炊きごはんと農園野菜のランチも人気(要予約)
野菜の底知れぬ味わいをさらに知りたいと最後に向かったのは、『畑とキッチンカフェ』。そこはオーナーの川田勉(かわたつとむ)さんが地域の農園と連動的に経営しているレストランカフェで、採れたての野菜を使ったメニューが提供されている。
かつて養蚕の作業場所として使われていた蔵を改築した居心地のよい空間で、囲炉裏を前に試したのは、ルッコラやバジル、ミニトマトやベビーリーフがどっさりと乗ったピザ。口に運んでみれば、その野菜たちの軽やかで艶っぽい美味しさに驚く。舌の上で甘露がパッと咲いて、そして瞬間的にスッと溶けていくではないか。湧水を飲んでいるかのような感覚でピザを食べたのは初めてのこと。夢と魔法のテイストがそこにはあった。
上/暖簾が掛かった、白壁と瓦屋根の門が目印の『畑とキッチンカフェ』 下左/蔵を改修した「くらンピング」施設も準備中。完全なるプライベート空間で、サウナや中庭でのアウトドア料理を楽しめるほか、オーベルジュ利用も。年内開業を予定 下右/軒先では、朝に『豊土の里農園』で採れた新鮮な野菜を販売。野菜作りは、義兄の浅見正之さんの担当
こうした野菜の魅力から、どうして長いこと目を逸らしていたのだろうか。ごめんよ、ベジタブル。切なる情動を揺らしつつ、カフェの庭に飛んでいるミツバチに別れを告げて、私は東京へと帰路についた。センチメンタル・ベジタブル・ジャーニーはこれにて終了である。
自宅に戻り、一泊二日を共にしたピクルス瓶を開ける。ズッキーニたちはちゃんと酢に漬かっていた。甘酸っぱい風味が口の中に広がる。好きだ、野菜。
やり直せる、私と野菜は、やり直すことができる。互いの距離を近づけて、生活を新たに紡いでいける。それが旅の終わりの感慨だった。
畑 to Kitchen Cafe
築100 年超の蔵を改修した古民家農園カフェ。手がける『豊土(とよと)の里農園』は江戸時代から7代続く農家。貸し農園や食育、農育にも取り組み、畑と台所と人を結ぶ、コミュニティ的な存在
はたけとキッチンカフェ
TEL.なし
住所/埼玉県深谷市成塚231
営業時間/10:30 ~ 17:00 ランチ11:00 ~ 14:00(予約優先) カフェ14:00 ~ 17:00 エンジョイタイム18:00~ 21:00(金・土、要予約)
定休日/水・木・第4金 ※予約はWEBから
豊土の里農園 Instagram
配信: OZmall