●ネガティブな本音には、その先の“目的”があることを意識しよう!
「まず、本音には大きく分けて2種類あります。感謝や愛情表現など“ポジティブな本音”と、相手に改善してほしい、気持ちをわかってほしいなどの“ネガティブな本音”です。多くの人が課題としていることは、“ネガティブな本音を、相手にどう伝えるか?”ということではないでしょうか?」
そう話すのは、夫婦問題カウンセラーの高草木陽光さん。“本音を言う”ということは、相手のことを何も考えずにズバズバ言いたいことを言うことではないという。
●ネガティブな本音は“愛情”が含まれていないと伝わりにくい!
「“自分がしてほしいこと”だったり、“相手に直してほしいこと”だったり、要するに本音が言い合える夫婦というのは、“自分の伝えたいことが相手に伝わる”こと。それを“相手が素直に受け取ってくれる”ことが、大事なポイントになってくるのです」
本音を言いたくなる理由を考えてみると、
・改善してほしいから?
・望みを叶えてほしいから?
・気持ちを伝えたいだけ?
「そこには必ず“目的”があるはずですね。本音が言い合える夫婦というのは、その“目的”が果たせたら、相手にとっても自分にとっても良いことだという意識のもとで言っています。つまり、ネガティブな本音だからこそ、“愛情”がそこに含まれていないと相手に伝わりにくいのです。よくある“本当のことを言っただけなのに、ケンカになってしまった”というようなケースは、“言いっぱなし”や“指摘”になってしまっています。それでは、受け取る側も受け入れづらいですよね?」
●ネガティブな本音を伝えるコツは、“本音の言い換え”
そういう場合のコツが、“本音の言い換え”だという。
例えば、こんなケースの場合…
「夫が、汚いボロボロのお気に入りのカバンを大事に使っていて、妻としてはもうさすがに恥ずかしい。だから、買い換えてほしいと思っています。そんなときに、妻が“そんなカバン、もう捨てれば?”と言ったら夫は当然、“これはオレのお気に入りのカバンなんだ。勝手なこと言うな”と、素直に受け入れることなどできませんね」
そこで、“本音の言い換え”をすると…
「そのカバンも長いこと頑張ってくれたね。そろそろ休ませてあげて、二代目を考えてもいいんじゃない? と、夫の気持ちを気遣った言い方をすれば、“そうかもな、そろそろ引退させるか”などと、受け入れる気になってくれるかもしれません」
ほかにはこんなケースも…
「夫がいつも引き出しを中途半端に開けっ放し。こんなとき、“なんで閉めないのよ! いい加減にして!”や“何度言えばわかるのよ!”と本音をそのままぶつけてしまうと、夫も自分がいけないと自覚があっても、“開けっ放しで何が悪いの?”と、逆ギレしたくもなってしまいます。こんなときも、“引き出し開けっ放しだとホコリが入っちゃうから、閉めてくれると助かるわ~”と、言い換えれば、素直に受け入れやすくなりますね」
本音が言い合える夫婦は、ただイライラをぶつけ合うのではなく、本音のなかに相手を思いやる“愛情”を込めることで、揉めることもなく、さらには“目的”を果たすというメリットにもたどりつき円満な関係を築いているのです。ちょっとした意識で驚くほど相手の反応が変わるので、ぜひ、今日から実践してみてください!
(構成・文/横田裕美子)