将来分(これから先の加入予想分)の年金見込額の概算方法
ねんきん定期便を見て「これだけしか受け取れないの?」と勘違いする人もいるかもしれませんが、50歳未満の人に届くねんきん定期便の年金見込額はあくまでも「過去分」(これまでの加入実績に応じた年金見込額)です。
老齢基礎年金は、これから先、未納や免除の月が発生しない前提で、「将来分」が毎月増えていきます。老齢厚生年金も、これから先の報酬におおむね比例して、「将来分」が毎月増えていきます。
つまり、「過去分」にこれから先の加入予想分である「将来分」を足せば、将来、実際に自分が受け取れるであろう年金見込額を概算することができます。以下、「将来分」の年金見込額の概算方法を紹介します。
老齢基礎年金の将来分の概算方法
老齢基礎年金を65歳から受け取る場合の将来分は、国民年金保険料の納付義務がある期間に未納や免除の月が発生しなければ、以下の計算のとおり、毎月1656円ずつ増えていきます。
・1ヶ月ごとに増える年金額=79万5000円(2023年度の満額)÷480月(40年)=1656円
「将来分」の概算方法は以下のとおりです。
・1656円×(図表1「最近の月別状況です」表の最下行記載の月の翌月から60歳になるまでの月数)=老齢基礎年金の将来分の概算結果
老齢厚生年金の将来分の概算方法
老齢厚生年金を65歳から受け取る場合の将来分の概算には、これから先、厚生年金保険に加入する形で働く期間の月ごとの報酬(給与・賞与)を予想する必要があります。簡単な表を作って概算してみましょう(図表2参照)。
・行:図表1「最近の月別状況です」表の最下行記載の月の翌月を含む年から65歳になる年までの行を作ります。
・列:
→左端の列(A):65歳になる年までの年度を入力します。
→中央部(B):毎月の給与を入力する12個の列を作り(例:4月から3月まで)、賞与を入力する列を適切な位置に挿入し、セルごとの予想額を額面で入力していきます。
→右端の列(C):行ごとの給与と賞与の合計予想額(年収予想額)が自動計算されるようにしておきます。
・将来分の報酬予想合計(D):すべての行の年収予想額(C)の合計が自動計算されるセルを作ります。
・将来分の年金見込額(E):「将来分の報酬予想合計(D)×0.005481」が自動計算されるセルを作ります。これが老齢厚生年金の将来分の概算結果です。
【図表2】
筆者作成
ただし、作成時には以下のような注意点があります。
・図表1「最近の月別状況です」表の最下行記載の月の翌月のセルから入力します。
・65歳から受け取る前提のため、最長で65歳になる月の前月のセルまで入力します。
・1ヶ月の給与(額面)の上限は65万円です。
・1回の賞与(額面)の上限は150万円です。
まとめ
50歳未満の人に届くねんきん定期便で見るべきポイント、最低限知っておきたい注意点、将来分(これから先の加入予想分)の年金額の概算方法について紹介しました。
将来分を概算して過去分(ねんきん定期便)に足せば、実際に将来自分が受け取れるであろう年金額の目安(見込額)をある程度予想することができます。
この機会に将来分を概算し、ライフプランニング、リタイアメントプランニングの一助にしてみてはいかがでしょうか。
出典
執筆者:福嶋淳裕
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
配信: ファイナンシャルフィールド
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