前回時間を上手に使うために「優先順位をつける」練習をしましたが、もうひとつ時間を上手に使うためのコツがあります。それは「段取りよく進める」ことです。「段取り力」といった言葉はビジネスシーンではよく使われますが、物事がうまく運ぶように準備する力とでもいいましょうか。社会で生きていくうえで、とても大切な力ですので、幼いうちから身体で覚えていけるといいですね。
家事には、段取りが必要なことがたくさんあります。特に料理は、段取りのトレーニングにうってつけです。「○○を作ろう!」というゴールに向かって手順や方法を考えます。洗ったり刻んだり、その間に炒めたり盛りつけたりの作業を時間配分しながら行うことで、効率よく作るにはどうしたらいいかを学びます。幼児なら、洗濯をたたんで所定の位置にしまうといったことも段取りのトレーニングになります。はじめは手際が悪くても、そこはぐっと我慢して手伝わせることが大切です。日常のお手伝いが、子どもの段取り力を自然に養いますから。
また、お出かけのプランニングをさせることも、段取りの練習に向いています。例えば、家族でテーマパークに行くことにします。その場合どんな準備をすれば、当日の時間を有効に使えて、楽しく過ごすことができるでしょうか。
① まず、その遊び場について、本やインターネットを使って調査します。どこにあるのか、どんな乗り物があるのかなどの下調べをします。
②時刻表やインターネットで行き方を調べます。
・ 目的地までどうやっていくのか、電車のルートと移動時間は? 家から駅までかかる時間、駅から目的地までかかる時間も忘れずに。
・ 何時頃着いたらいいか、移動時間はどのくらい必要か、時間を予想し、逆算して出発の時間を決定。交通費も計算。
③目的地の周りで行きたい店などがあるか、本やネットで調べます。行きたい場所があったら、その時間も予定に入れさせます。
④持っていくものを考えます。「何を持っていったらいいかな? お弁当は? 服装は?」などと声をかけ、子どもの考えを促しましょう。
これまでステップを追って子どもの時間感覚を育てるトレーニングをしてきましたが、時間を無駄なく有効に使えることだけが重要なわけではありません。とりとめのないことを考えてぼうっとすることや、大人から見ると無駄に思える時間も子どもの成長過程にとっては必要なことです。ぜひ、楽しんで子どもの時間感覚を育ててくださいね。