強制わいせつ罪の弁護士を選ぶ前に知っておきたい6つの重要事項

強制わいせつ罪の弁護士を選ぶ前に知っておきたい6つの重要事項

「息子が強制わいせつ事件に巻き込まれてしまった。弁護士のアドバイスがほしい」
「合意のつもりだったが相手から告訴された。どうすればよいのか弁護士に相談したい」

このような状況に直面した際、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。 強制わいせつ罪は非常に重い罪であり、警察に逮捕される可能性や、初犯でも実刑となる可能性が高まります。

しかし、適切な対処を早急に行えば、逮捕回避や不起訴処分の可能性が広がり、起訴されても軽い判決を勝ち取ることができます。そのため、強制わいせつ罪の専門家である弁護士のサポートは不可欠です。

この記事では、

強制わいせつ罪の弁護士への依頼の重要性
弁護士が提供する支援内容
優れた強制わいせつ罪弁護士の選び方

などについて、ベリーベスト法律事務所の刑事弁護専門チームの弁護士が詳しく解説します。あなたやご家族が強制わいせつ罪の疑いでお困りの方へ、この記事がお役に立てれば幸いです。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

1、弁護士を探す前に~強制わいせつ罪とは

強制わいせつ罪とは、暴行または脅迫を用いて相手の同意なしにわいせつな行為をすることで成立する犯罪です。

「暴行または脅迫を用いること」が成立要件ですが、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度のものであれば「暴行または脅迫」であると認められるので、殴る・蹴るなどの明確な暴力を振るった場合でなくても強制わいせつ罪は成立し得ます。

わいせつ行為の相手方が13歳未満の場合は、暴行や脅迫がなくても、また相手の同意があっても、強制わいせつ罪が成立します。

相手が眠っているときや泥酔しているとき、薬物の影響などで意識を失っているときにわいせつな行為をしたときは「準強制わいせつ罪」という別の犯罪が成立します。

強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪の法定刑は、どちらも同じく6か月以上10年以下の懲役です。また、これらの罪にあたる行為によって相手が死亡または怪我をした場合は刑が加重され、無期または3年以上の懲役となります。

では、どのような行為が「わいせつな行為」に該当するのかについてみていきましょう。

(1)合意なく体に触れる

「わいせつな行為」にはさまざまな行為態様がありますが、代表的なものとして、相手の合意なく体に触れることが挙げられます。

女性の胸や陰部、お尻などを触る行為が代表的ですが、その他にも太ももやお腹など、触られて羞恥心を感じるような部分を触ることは「わいせつな行為」に該当します。

以上の行為は、痴漢行為にも該当します。痴漢行為は、迷惑防止条例違反または軽犯罪法違反として処罰されますが、刑罰は強制わいせつ罪よりも格段に軽くなっています。

痴漢行為と強制わいせつ行為の区別については、公共の場所又は公共の乗り物において、衣服その他につける物の上から又は直接に人の身体に触れた場合には痴漢行為に当たり、暴行脅迫を用いたわいせつ行為が行われた場合は強制わいせつ罪になります。

実務上においては、行為の悪質性をみて、痴漢行為にあたるか強制わいせつ行為にあたるか、判断される傾向にあります。

たとえば、女性の下着の中にまで手を入れて身体を触る、振り払われても執拗に触る、暴力や脅迫によって抵抗不能にさせて触るなどした場合は、痴漢行為ではなく強制わいせつ罪に問われる可能性が高いといえます。

(2)合意なく抱きつく

相手の合意なく抱きつく行為も、「わいせつな行為」に該当するとされています。したがって、いわゆる「ハグ」をしただけでも罪に問われる可能性があります。

強制わいせつ罪は、人の性的自由を保護するために規定されている犯罪です。現在の日本では、合意なく異性に抱きつかれると性的羞恥心を感じ性的自由が害されると考えられていますので、このような行為についても「わいせつな行為」に当たり得るのです。

抱きつく行為について、強制わいせつ罪が成立するか否かは、抱きつき行為の態様と、相手方の合意の有無によって決まることになります。

(3)合意のないキス

「キス」はハグよりも相手に強い性的羞恥心を与える行為ですので、合意なくキスをした場合は強制わいせつ罪が成立します。

(4)合意のない性行為

合意のない性行為も強制わいせつ罪の対象となります。

なお、性行為のうち、「性交」、「肛門性交」、「口腔性交(口を使って性器に対する行為を行うこと、および行わせること)」は、強制性交等罪(旧「強姦罪」)の対象となり、より重い処罰の対象となります。

なお、以上のとおり、相手の「合意」のない行為が「わいせつな行為」の対象となりますが、合意は必ずしも明示のものではなく、黙示の合意であってもかまいません。

2、強制わいせつ事件を弁護士に依頼すべき理由

犯罪には数多くの種類があり、その解決に向けた弁護士の関与の必要性や弁護活動の内容も様々です。

数ある犯罪の中でも、強制わいせつ事件を起こしてしまった場合は、弁護士に依頼する必要性が特に高いといえます。その理由は、以下のとおりです。

(1)痴漢や盗撮より刑罰が重い

強制わいせつ罪と同じく性犯罪に分類される「痴漢」や「盗撮」は各自治体の迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反に該当し、多くの場合は迷惑防止条例違反として処罰されます。

迷惑防止条例違反に対する刑罰は、自治体ごとの条例の規定内容や問題となる行為の態様によっても異なりますが、東京都の場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と規定されています。

これに対して、強制わいせつ罪に対する刑罰は6か月以上10年以下の懲役であり、痴漢や盗撮に比べて格段に重いといえます。

しかも、強制わいせつ罪には罰金刑がありませんので、有罪となった場合、事案によっては初犯でも実刑となってしまう可能性があります。

このような重い判決を回避するためには、弁護士の力を借りる必要性が高いといえます。

(2)逮捕・勾留される可能性が高い

強制わいせつ罪は刑罰の重い犯罪であるだけに、発覚すると逮捕・勾留といった身体拘束を受ける可能性も高い傾向にあります。

逮捕・勾留をすべきか否かを決定するにあたっては、逃亡や罪証隠滅のおそれが認められるかどうかが重要な視点となります。一般的に、逮捕・勾留を請求する立場の警察官や検察官は、刑罰の重い罪であるほど被疑者が逃亡や証拠隠滅を図る可能性が高いと考えるため、刑罰の重い罪であるほど逮捕・勾留がされる可能性は高くなるのです。

また、強制わいせつは被害者に対する危険性の高い行為ですので、警察官や検察官は被害を拡大させないためにも、身体拘束をしようと考えるのです。

身体拘束を回避するため、あるいはすでになされてしまった身体拘束から早期に解放されるために、弁護士によるサポートを受ける必要性が高いといえます。

(3)実名報道される可能性が高い

強制わいせつ罪は社会に対する危険性が高い犯罪であるともいえますので、逮捕された場合は実名で報道される可能性も高いといえます。

実名報道されるかどうかはマスコミ各社の判断によりますが、強制わいせつ罪で逮捕されたことで実名報道されると、仕事上の人間関係や友人関係も壊れてしまい、今後の社会生活に支障をきたすおれがあります。

(4)えん罪のケースも少なくない

強制わいせつ罪には、えん罪のケースも少なくないという特徴もあります。

たとえば、相手が行為当時は合意していても、後日に行為をしたことを後悔して報復のために告訴をすることもあります。また、彼氏やご主人の手前、「無理やりわいせつ行為をされた」という形を取るために本意ではなくても告訴をすることも考えられます。

さらに、電車内での強制わいせつのようなケースでは、被害者による人違いによってえん罪が発生するケースも少なくありません。

そのような場合、たとえ自分が無実であっても、捜査機関になかなか言い分を聞き入れてもらえずに有罪となってしまうおそれがあります。

えん罪を防止するためには、弁護士によるサポートが不可欠といえます。

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