辛いものを欲するには、ワケがある⁉血行促進とストレス解消で肩こりの原因を改善

腰痛と並び、身体の悩みの筆頭に上がる「肩こり」。原因には肩関節の血行不良があるといいます。今回は血行に良い影響を与える辛味料理と肩こりの関係を、医学博士の尾都野 信子先生にお聞きしました!

肩こりの原因は「血流」にある

古来から多くの人々が悩まされてきた肩こり。昨今の国民生活基礎調査においても、有訴者率は腰痛に次ぐ第二位で、医療技術が発展した現代でも多くの人々が経験する痛みでもあります。肩こりの原因を尾都野先生に聞くと、ずばり「血行不良」という言葉が返ってきました。

「肩関節周りの筋肉がこわばることで血流が滞り、筋肉に必要な酸素の運搬がうまくいかなかったり、老廃物が除去できず蓄積することで、肩の痛みやだるさといった『肩こり』が発生します」と尾都野先生。

血流は、筋肉の収縮と弛緩によって維持されています。筋肉が緊張すれば血管が圧迫されて血流が滞り、緩めば血流が改善しますが、長時間のデスクワークなどで姿勢が固定されると自ずと筋肉が緊張し、血行不良につながっていきます。

元々の姿勢や体幹の弱さが肩こりの原因となることも…

その他には、姿勢の悪さや体幹の弱さも肩こりの一因になるそう。

「背骨はゆるやかなS字カーブを描き、その上に頭が乗っている状態です。この背骨のカーブが乱れると、肩関節にかかる負担も増えていきます。人の頭部は6〜7kg、両腕も体重の10%程度の重さがありますから、これらを支える肩周りの筋肉はそもそも負担が大きいのです。体幹が整っていて、背骨に歪みがなければその重量も均等に分散できるのですが、姿勢が悪かったり体幹が弱い場合は、重みを支え切ることができないことも」と尾都野先生。

こりの原因にアプローチする!?肩こりと辛みの素「カプサイシン」の関係

それでは、肩こりの原因となる血流にアプローチするためにはどうしたらよいのでしょうか?

「大前提として、身体を温めることが大切です。湯船につかって温まったり、タンパク質を積極的に摂取する方法もありますね。たとえば辛い食べ物で、身体をあたためる方法もありますよ」。

尾都野先生によると、生姜やスパイス類のような辛味のある食材には身体をあたためる効果があるそう。

「とうがらしの辛味成分であるカプサイシンは、食べるとアドレナリンの分泌が増えます。その結果、骨格筋に栄養を与える比較的太い血管の血流が改善するといわれています。逆に抹消血管はアドレナリンが出ることで閉まる可能性あるので、全身の血流が改善するとは言い切れないのですが、肩まわりの血管には良い作用があるかもしれません」。

辛味が血流を改善する!?

辛いものが無性に食べたくなったことはありますか?
この“無性に食べたくなる”という現象に理由はあるのでしょうか?

尾都野先生によると、ストレスの原因となる外部からの刺激(ストレッサー)に対する生理的な反応の可能性があるそう。

「ストレッサーを感じたときに、それに適応しようとする身体の反応を“ストレス反応”といいます。科学的に証明されているわけではありませんが、普段よりも辛いものが欲しいと感じるときは、ストレス反応として身体が辛いものを欲しているのかもしれません。実際に、カプサイシンなどの強い刺激を摂取することでアドレナリンが分泌されます。身体がストレッサーに打ち勝つための反応ですが、結果的に身体はあたたまりますし、一時的に血行も促進されます。

さらにアドレナリン分泌による高揚感のあとには、気分がスッキリした感じを受ける方も。そういった意味では、辛いものは血行促進だけでなく、気分転換につながるという人もいるでしょう」。

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