“つもりみがき”にご用心!歯周病を予防・改善する歯みがきとは?

全身の健康への影響が大きい歯周病。歯周病対策には、 “正しい歯みがき”がマストのようです。今回は深沢ガーデン歯科の遠藤けい子先生に、歯周病の予防・改善する歯みがきの方法についてお聞きしました!

虫歯よりもこわい!?歯周病の本当

40歳以上の約8割の人々が歯周病だと話す遠藤先生。近年の研究で歯周病は歯を失う原因の第1位というだけでなく、全身の健康にも影響する厄介な病気であることがわかってきました。歯周病の原因は、歯周病を起こす菌の影響や、ストレスや生活習慣、体調の良し悪しなどの条件が複合的に交わって引き起こされるといいます。

「たしかに歯周病は原因菌が存在することが条件になりますが、その時々の身体の状態によっても引き起こされます。ストレスコントロールができていたり生活習慣が整っている場合は、口内に歯周病菌がいても自身の免疫力で健康を保つことができるのですが、ひとたびこのバランスが崩れると、歯周病菌の影響が強まり症状が出てくることも」と遠藤先生。

10代の頃から、歯周病を患っている場合も…

また、かつては中年以降の病気と考えられていた歯周病ですが、最近は低年齢化の傾向があるそうで、思春期の2割の方々が歯周病の一歩手前である歯肉炎になっているという統計も。その他、女性は妊娠中のホルモンバランスの変化で歯周病になる場合もあります。

「特に、1日の歯みがきの回数が2回未満の方や、喫煙をする方は要注意です。歯みがきの回数が少ない時点で汚れが落ちる可能性が低くなりますから。また、喫煙は血流を阻害するので、歯周病のリスクは当然高まります」。

歯周病を改善・予防する歯みがき!バス法とスクラビング法とは?

とはいえ、厄介な歯周病を前に、為す術なし…というわけではありません。正しい歯みがきで、確実に食べかすを取り除くことで、歯周病の主要な原因である歯周病菌の繁殖が防げるといいます。

「1日3回以上の歯みがきをする方でも、みがいている“つもり”になっているかもしれません。正しい歯のみがき方をおさらいしましょう!」

「うがい&バス法、スクラビング法を合わせる歯みがきの方法」で歯周病を予防!

うがいをして、口内に残っている大きな食べかすを落とす
フロスや歯間ブラシを通す。フロス類は、歯と歯の間にすべらせ、さらに、歯間の歯周ポケットまで入れる
再度うがいをする
手鏡などで口元を見ながら、歯みがき粉をつけた歯ブラシを歯と歯茎のさかい目の斜め45度に当て、軽く小刻みにみがく(バス法)。フロスでアプローチできない歯周ポケットにも毛先を入れ、みがいていく

歯の表面は、毛先を垂直に当てて、横に小刻みにみがく(スクラビング法)

歯の裏は歯ブラシを縦に起こし、一歯ずつみがいていく
最後に軽くうがいをして終了

「上記の方法1〜7は、1日1回、できれば就寝前に取り入れてみてください。理由は、睡眠中は唾液の分泌が減り、細菌の量が増えるため。時間がない朝や昼は、食後のうがい、ブラッシングだけ行うなどでもOKです。うまくライフスタイルに取り入れ、習慣化していくのがよいでしょう」。

斜め45度に歯ブラシの毛先を当てるバス法は、特に歯周病の改善と予防に効果的です。ぜひ取り入れてみましょう。また、毛先が歯周ポケットに入って痛みを感じる場合は、ラウンド型でやわらかい毛先の歯ブラシを使うのがおすすめです。バス法とスクラビング法を掛け合わせる理由は、人の歯の形状や生え方は異なり1つのみがき方で完結できるものではないから。自分の歯やみがきやすさを考え、うまく組み合わせていくことが大切です。

みがき残しの癖を意識する

「特に歯の裏側はみがき忘れの多い場所。利き手側の上下の歯の裏側は、みがき残しが多くなりがちなので、意識するとよいでしょう。また、最後のうがいは軽めでOK。歯みがき粉に含まれるフッ素の成分を少し残すイメージです。水の量を少なくし、歯みがき粉の味が少し残るぐらいがよいでしょう」。

最後の軽いうがいは欧米では一般的なのですが、しっかり水で流したいという方も多いかもしれません。その場合はがまんせずゆすいで、うがい専用のマウスウォッシュで仕上げるなどするとよいでしょう。

関連記事: