金銭を貸し付ける時の利息の額は、利息制限法で決められた限度内でなければなりません。
今回は、「利息制限法の目的と規制内容」と題して、利息制限法に関する詳細な解説をお伝えします。利息制限法の目的は、借り手の経済的負担を軽減することにありますが、違反行為には罰則も存在します。さらに、本文では具体的な規制内容をかみ砕いて解説し、返済シミュレーションも行います。これにより、利息発生の仕組みを始めて学ぶ人々にとっても理解しやすい情報となるでしょう。
利息制限法に関心をお持ちの方や借り入れを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
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1、利息制限法とは
利息制限法とは、消費者金融や銀行の融資商品に代表される「金銭貸借契約」につき、上記のような貸す者(=債権者)を規制する法律です。名称の通り、借りる者(=債務者)に支払ってもらう利息につき、限度を決めて債権者に守らせるためのものです。
(1)金銭貸借契約における利息の種類【基礎知識】
実際に金銭を貸し付ける取引では、返済時に「契約金利に応じた利息」と「遅延損害金」を上乗せして支払います。
上記どちらも利息制限法による規制対象ですが、契約上の扱いが異なれば、定められた限度にも違いがあります。
ここで基礎知識として利息の種類を整理し、お金を貸し付ける契約のどの部分に利息制限法が関わるのか、整理しておきましょう。
①契約金利(利率・年利とも)
ATMで出金操作する等の借入取引を行うと、翌日から利息の計算が始まります。
計算のベースになるのは、当初の契約内容にある「元本につき年●%」とのような取り決めです。
上記の定めは「利率」や「契約金利」と呼び、年単位としている点で「年利」と表現することもあります。
利息制限法では、第1条で年利の上限を定めています。
②遅延損害金(延滞利息とも)
期日を過ぎても返済がないと、利息の代わりに「遅延損害金」が毎日加算されます。
取引上の見かけは利息の呼び方を変えただけですが、法律上の扱いは、債務不履行によって債権者が負った損害額です(民法第419条)。
上記の扱いと結び付けて理解しておきたいのは、遅延損害金には「契約で利率を定めなくても発生する性質」がある点です。
もちろん、利率についてあらかじめ合意するのは自由ですが、その際は利息制限法第4条または第7条の限度を守らなくてはなりません。
(4)出資法と利息制限法との関係
債権者が受領できる利息に限度を設ける法律として、別に「出資法」もあります。
金銭貸借をするなら利息制限法も出資法もどちらも遵守しなければなりません。
2つの法律は、互いに債権者に対する規制を補完し合う関係にあります。
利息制限法は貸借取引そのものにルールを課すのに対し、出資法は金銭貸借取引を含む営業活動全体にやっていいこと・やってはならないことを定めるイメージです。
▼利息制限法の内容
利息の制限
遅延損害金の制限
債務者負担額のうち利息として扱う部分(=みなし利息)の定義
→融資取引の契約時は、出資法の利息制限規定と合わせて必ず確認する
▼出資法の規制内容(一例)
利息制限法の最高利率を超える場合の罰則
特定金融機関(=銀行等)以外の預り金の禁止
不特定多数の者に対する元本保証の上での出資受け入れの禁止等
2、利息制限法の上限を超える金利の扱い〜違反した債権者はどうなる?
債務者から受け取った利息のうち、利息制限法の上限金利を超える部分は「超過利息」と呼ばれます。
ひとたび超過利息が認められると、当事者の問題では済まされません。少なくとも行政処分は避けられず、刑事訴追されて二度と営業できなくなる場合すらあります。
超過利息の例は以下の通りです。
2022年1月に5万円貸し付け、翌年1月になって迷惑料込みで10万円支払ってもらった場合
→上限利息は1万円(5万円×20%)
→受領して良いのは元本5万円+利息1万円=6万円まで
→実際の受領額は10万円で、うち4万円が超過利息となる
貸金業者が融資額ごとの上限金利を上回る取引をしていたと分かった場合、営業を制限する行政処分が下されます。
(3)法律上の処罰規定【刑事上の責任】
年20%以上の契約金利を課していた債権者は、刑事訴追される可能性があります。
罰則の内容は出資法第5条で明示されており、整理すると表のようになります。
取引上の利率
貸金業者である場合
貸金業者ではない場合
(1回限りの取引等)
年20%以上109.5%未満
5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または併科
なし
年109.5%超
10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金、または併科
5年以下の懲役
もしくは1000万円
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