5、利息制限法&出資法の改正を巡る問題│過払金の仕組み
金銭貸借契約に関わる機会があるのなら、なるべく頭に入れておきたい問題があります。
貸金業界で見られるようになった「過払金返還請求」を巡るトラブルです。
トラブルのきっかけは、平成22年(2008年)にあった利息制限規定の見直しです。
法改正で撤廃された「グレーゾーン金利」を巡り、当時の取引当事者の間で、支払済の利息の返還について話し合わざるを得なくなっているのです。
(1)グレーゾーン金利とは【平成22年6月に完全撤廃】
グレーゾーン金利とは、利息制限法の規制を超え、かつ旧出資法の罰則の対象にならない範囲で定められた高金利を意味します。
利息制限法の最高利率(年20%)を超えると刑事罰が科される仕組みは、法改正で整えられたものです。
上記法律の内容は改正以前から据え置かれているところ、刑事罰を定める出資法側の基準がより緩やか(年29.2%超)で、高利貸し規制のシステムは実効性に欠けていました。
実際、一定の要件を満たして旧出資法の適用を受け、年20%超かつ年29.2%未満の契約金利=グレーゾーン金利で営業する業者が多数存在したのです。
元本の額
①利息制限法の上限
②旧出資法で刑事罰の対象となる金利
③改正出資法で刑事罰の対象となる金利
10万円以内
年20%
年29.2%超
年20%超
10万円以上
100万円未満
年18%
100万円以上
年15%
グレーゾーン金利は、現在、廃止されているため、利息制限法の上限金利を超えて支払ったお金は「過払い金」として取り戻せる可能性があります。
まとめ
契約金利を定める時は、利息制限法で定められる上限を守らなくてはなりません。
融資担当者として誤案内でトラブルになったり、債務者として損になる取引をしたりすることのないよう、法律の理解をしっかり深めておきましょう。
最後に改めて上限金利を整理しておくと、次のようになります。
▼みなし利息を含む契約金利の上限
10万円未満…年20%
10万円以上100万円未満…年18%
100万円以上…年15%
※融資額に関わらず、契約金利が年20%を超えると刑事罰に処される恐れあり
▼遅延損害金の上限金利
契約時に合意がない場合…年3%
契約時に合意あり+営業的取引の場合…年21.9%~年29.2%※
契約時に合意あり+営業的取引でない場合…20%
※融資額で異なる
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
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また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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