小学校高学年の止まらない学級崩壊、クラスを荒らす子の特徴は?

第2回 小学校高学年の深刻な学級崩壊。その実態とは?
全国の小学校で問題となっている“学級崩壊”。なかでも、高学年の学級崩壊は深刻化しているといいます。授業中に寝ている、マンガを読んでいる、ヘッドフォンで音楽を聴いている…こんな光景が現実に起こっているというから驚きです。しかも、中心になってクラスを荒らしている子たちは、意外にも塾でも成績優秀であるような“勉強ができる子たち”であるケースが多いそう。いったい子どもたちに何が起こっているのでしょうか?

●日々の勉強漬けの生活のストレスを学校で発散

「勉強ができる成績優秀な子たちが中心になって学級崩壊させるケースは非常に多いです。その原因としては、大きく分けるとふたつ考えられます」

そう話すのは、これまで多くの学級崩壊の立て直しに奔走してきた白梅学園大学教授・増田修治先生。子どもたちが荒れる理由は、彼らがいま置かれている環境、状況が大きく影響しているという。

「ひとつめは、子どもたちは毎日毎日勉強漬けの生活でキツい状況を強いられ、ものすごくストレスを抱えているということです。今どきの小学校高学年といえば約半数以上、都心では8割が塾に行っているという状況です。つまり、平日は学校と塾のダブルスクールで遊ぶ時間もゆっくり休む時間もなく、塾から帰ってきて宿題をやって寝るのは遅い子は2時過ぎ。土日は模擬テストといった生活です。こんな生活をしていたら、誰だってキツいですよね?」(増田先生 以下同)

つまり、そのシワ寄せはどこにいくかと言えば学校にいくわけだ。

深刻な小学校高学年の学級崩壊

「ふたつめの理由は、学校の授業は塾で習ったことなので、授業を聞く必要もないし、聞いてもつまらないわけです。しかも、進学塾は少しでも気を抜けば順位が下がったりして死活問題になるためさぼれない。ならば、学校で気を抜く、またはストレスを発散しようとなるわけです」

さらに、成績が優秀な子は、ほかにもさまざまなストレスを抱えているケースが多いという。

「成績優秀な子となれば、塾からの期待、親からの期待も高いわけです。親御さんが高学歴のケースも多くなるため、“わが子も高学歴に”という“高学歴バトン”で追い詰められている子も非常に多いです」

成績優秀な子たちは、荒らし方にもある特徴があるそう。

「受験に影響が及ぶことを恐れるがゆえに、自分が前面に出て荒らすことはしません。なぜなら、内申書に響いたり親にバレたりしたら困るからです。そうなると、やんちゃな子やちょっと荒れている子を後ろから焚きつけてわざと騒がせたりして、それを見て楽しんでいるのです」

彼らの深刻な“心の闇”は、本音を聞いたときに確信したと増田先生は話します。

「以前、学級崩壊の中心になっていた成績優秀な子に“なんで学級を荒らすの?”と本音を聞いたことがあるんです。その答えは驚きでした。“ボクたちは塾で勉強は習ってるからいいし、授業を壊しちゃえば、みんなが授業を受けられなくなる。そうすれば、そいつらが落ちこぼれるでしょ? だからやる”と。競争、競争、と日々強いられている子がここまで追い詰められているということを確信しましたね」

勉強ももちろん大事だが、社会性を犠牲にして知識だけを詰め込むことの弊害は想像以上だという。

「子どもというのは、何かを得ようとすれば何かを犠牲にしなければなりません。そのバランスがとても重要なのです。競争に追いまくられている子どもたちは、周りを思いやるどころか、競争を強いられることで大切な友達を敵視するところまで追い詰められています。まさに生きていくうえでもっとも大事な社会性を犠牲にしているのです。こういう感覚を持った子たちが親になったときにどんな恐ろしい社会になってしまうのでしょうか?」

学級崩壊は、まさに子どもたちが自分たちの状況にもがき苦しんでいるというメッセージだという。

「子どもたちの心のコップに水が並々とたまっていて水面がチャプチャプいっている状態なのです。学級崩壊は、それがバーッとあふれ出てしまった状態。もっと人間らしく生きたい、人間らしい学びをしたいという叫びだということを、
大人たちが気づかなければ、この問題は解決しないと思います。親御さんにお願いしたいのは、どうか何があってもお子さんのありのままを受け止めてあげてください。“がんばれ!”という言葉に果てはないのです。果てのない闘いほどつらいことはないのです。もっと大人が子どもを何よりも大事にする社会にしないといけないと、私はそう思います」

子どもたちは、未来を担っていく大切な宝。今一度、大人たちは現状を真摯に受け止め、人を育てることの重要性について考える必要があるのではないでしょうか。
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

増田修治
増田修治
白梅学園大学 子ども学部子ども学科教授
埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。
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