【アサヒが販売縮小】「ストロング系チューハイ」が体に悪い理由3選 健康リスクを医師が解説

【アサヒが販売縮小】「ストロング系チューハイ」が体に悪い理由3選 健康リスクを医師が解説

「アサヒビール」がアルコール度数8%以上の缶チューハイ、いわゆる「ストロング系」として人気だったチューハイの販売を控えていくことが報じられています。これまでにも健康リスクが報じられていました。そこでストロング系チューハイは本当に体に悪いのか、「SUGAR LLC」の佐藤先生に回答してもらいました。

※この記事はMedical DOCにて【「ストロング系チューハイ」が体に悪い理由3選! ストロング系チューハイがやばい理由を医師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

監修医師:
佐藤 将人(SUGAR LLC)

東北大学医学部医学科卒業。2021年、健康的に豊かに生きることを理念とするスタートアップ企業のSUGAR代表医師。宮城県仙台市を中心に企業の産業保健や心理的安全性を高める組織運営の支援事業を展開。産業医と中小企業診断士の視点から企業と社員に寄り添い、創業2年で20社以上の企業と提携。日本肝臓学会専門医、日本外科学会専門医、日本医師会認定産業医、中小企業診断士、仙台市食育推進会議委員。

ストロング系チューハイの危険性①過量のアルコール摂取による健康障害

編集部

ズバリ、ストロング系チューハイは体に悪いお酒なのでしょうか?

佐藤先生

結論として、ストロング系チューハイは体に悪いお酒の可能性が高いですね。医師によっては、ストロング系チューハイは体に悪いどころか依存性の高い危険な薬物並みにやばいお酒であると主張する人もいます。

編集部

なぜ、ストロング系チューハイは体に悪いのでしょうか?

佐藤先生

ストロング系チューハイが体に悪い理由の一つは、ストロングなだけに「アルコール度数が高いこと」が挙げられます。具体的には、ストロング系チューハイはアルコール度数が8%前後と高くなっています。そのため、1日の適量とされるアルコール量を簡単に超えてしまう危険性があります。

編集部

では、アルコール度数8%前後のストロング系チューハイを飲むと、実際にどのくらいのアルコール量を摂取することになるのでしょうか?

佐藤先生

1缶500mlのストロング系チューハイを飲むと、7%アルコールの場合には純アルコールで28g、9%アルコールの場合には純アルコール36gを摂取する計算です(※)。日本では節度ある適度な飲酒量としては、純アルコール量で男性は20g、女性は10gとされているので、500mlのストロング系チューハイを1缶飲むと、男性は1日の限度の1.4〜1.8倍、女性は1日の限度の2.8〜3.6倍ものアルコールを一度に摂取してしまいます(1)。そのため、お酒の飲み過ぎにより肝機能障害はもちろん、さまざまながんや生活習慣病のリスクが高くなります(2)。

(※)純アルコール量(g)=お酒の量(ml) × アルコール度数/100 ×0.8(アルコールの比重)として計算

ストロング系チューハイの危険性②アルコール依存症になりやすいかもしれない

編集部

ストロング系チューハイのアルコール度数の高さが危険なことはわかりました。しかし、ウイスキーや日本酒などさらにアルコール度数が高いお酒もある中で、ストロング系チューハイはより体に悪いお酒なのでしょうか?

佐藤先生

ほかのお酒と比較して、ストロング系チューハイがより危険なお酒かどうかについては、現時点では研究結果が多くないのではっきりとはわかりません。しかし、ほかのお酒と比べてストロング系チューハイは一般的に飲み切るサイズの1缶350〜500mlの時点で1日の節度ある適度な飲酒量を超えてしまうため、単純に多量のアルコールを一度に摂取できてしまう容易さという点では、ほかのお酒より体に悪いかもしれません。

編集部

では、アルコール依存症のリスクという視点では、ストロング系チューハイはほかのお酒よりも危険性が高いのでしょうか?

佐藤先生

ほかのお酒と比較して、ストロング系チューハイを飲むとアルコール依存症になりやすいかどうかについてもはっきりとはわかっていません。しかし、あくまで可能性ですが、ストロング系チューハイを飲む人の多くは、お酒自体を楽しむ目的よりも手軽に酔っ払う目的で飲む人が多いかもしれません。例えば、仕事や家庭のストレスを解消したい、夜眠れないからお酒を飲んで寝たい、イヤなことを忘れるために手っ取り早く酔うために飲みたいなどですね。要するに、お酒を楽しむというよりもお酒の力で色々なことから楽になりたいという欲求でストロング系チューハイを飲んでいるケースです。このような場合には、お酒の良くない力にどんどんと引き込まれて、物質依存症の一つである「アルコール依存症」になりやすい可能性があります(3、4)。

編集部

では、ストレスや嫌なことから逃げる目的で手っ取り早く酔うためにストロング系チューハイを飲むのはやめたほうがいいでしょうか?

佐藤先生

はい、ストレスや辛いことから一時的に楽になりたいと思って、手っ取り早く酔うためにストロング系チューハイを常用することはやめたほうがいいでしょう。もちろん、ストレスや嫌なことから逃げることは恥ではなく、時には人生に役立ちます。しかし、お酒に逃げてしまうとアルコール依存症になって人生がよりつらいものになってしまうかもしれません。そのため、逃げるなら趣味や筋トレに没頭したり、気軽に話せる人に相談したりするなどして、くれぐれもお酒に頼らないように気をつけてください。

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