「高齢者は水分摂取が大事」と言われますが、なぜ重要かご存知でしょうか。介護福祉士の千葉さんによると、水分が不足することで脱水症・熱中症だけでなく、寝たきりのリスクも高まるといいます。詳しい理由を伺いました。
監修介護福祉士:
千葉 拓未(介護福祉士)
1983年生まれ。札幌市在住。専門学校卒業後、社会福祉士資格を取得し高齢者介護の道へ。通所介護、特別養護老人ホーム、認知症対応型通所介護にて介護士として従事する。現在は、Webライターとして、介護問題を中心に執筆している。
編集部
そもそも高齢者の水分摂取が大切な理由はなんでしょうか?
千葉さん
高齢者の水分摂取が大切な理由は、2つあります。1つ目は、若い人よりも脱水症や熱中症にかかるリスクが高いためです。高齢者の場合、食欲不振や嚥下障害などにより、必要な水分量を摂取できない可能性があります。
編集部
もう1つの理由についても教えてください。
千葉さん
2つ目は、寝たきりのリスクです。脱水症や熱中症になると安静にしなくてはいけませんが、その間に運動不足により筋力や体力が低下してしまいます。その結果、寝たきりになるリスクが発生するのです。
編集部
脱水症を防止するための高齢者の最低水分量の目安はどのくらいでしょうか?
千葉さん
個々の高齢者にあわせた水分量を設定することが大切です。「体重×30ml」という計算式もありますが、こちらはあくまで目安として捉えてください。高齢者に限らず、水分を取り入れる能力、水分を外に出す能力は人それぞれによって異なります。そのため、その人にあった最低水分量を設定しましょう。かかりつけの医師、ケアマネジャー、介護スタッフなどの専門家に相談して、本人のアセスメントを実施してもらい、適切な最低水分量を見つけましょう。
編集部
それでは高齢者の水分補給は何がおすすめですか?
千葉さん
水分は、食べ物からも摂取できますので、食欲のある方はバランスの取れた食べ物にみそ汁などを用意するのがおすすめです。果物やゼリーなど水分が含まれているデザートも効果的でしょう。ジュースやコーヒーでも水分は摂取できますが、砂糖やカフェインのとり過ぎにつながるため、注意が必要です。また、コーヒーには利尿作用があるため、尿量増加や夜間帯の覚醒につながる可能性もあります。本人の希望や体質と相談して、調整してみてください。
配信: Medical DOC