「急性心不全の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!

「急性心不全の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!

急性心不全の前兆とは?Medical DOC監修医が急性心不全の前兆・なりやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
丸山 潤(医師)

群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

「急性心不全」とは?

急性心不全とは、心臓が血液を体中に十分送り出すことができなくなる状態を指します。これにより、各臓器が必要な酸素や栄養を受け取れず、さまざまな症状が発生します。本記事では急性心不全の特徴やその予防法について詳しく解説します。

急性心不全の前兆となる初期症状

動いた時の息切れ

心不全では心臓のポンプ機能が低下し、体中の組織に十分な酸素を送り出すことができなくなります。これにより、ちょっとした運動でも、全力で走った後のように息切れが起きてしまうことがあります。重症の心不全では安静にしていても息が苦しく、酸素投与が必要な状態となりますが、急性心不全の初期は階段の上り下りなど、日常動作の中では少し負荷のかかる運動をした時だけ息切れが出現します。階段昇降や散歩などの際に息切れを自覚した場合は「年のせいかな?」と放置せず、一度医療機関を受診しましょう。息切れの原因は心不全のみではないため、まずはかかりつけの内科への受診を検討してください。心不全が疑われる場合は循環器内科への受診が適しています。

胸痛

心臓の病気といえば「胸痛」が起こるイメージがあるかもしれません。しかし、正確には急性心不全の症状そのものというより、同時に起こっている急性心不全の原因となる病気が胸痛を起こしている可能性があります。
少し負荷のかかる日常動作をした時にだけ一時的に胸痛が出現する場合は「狭心症」が考えられます。狭心症は、心臓への血流が一時的に不足することで発生し、胸の圧迫感や痛みが現れる病気で3種類に大別されます。運動した時だけ発生するものは「労作性狭心症(安定狭心症)」と呼ばれます。これは動脈硬化で心臓への血管(冠動脈)が狭くなっており、運動で酸素の必要量が増えた時に血液供給が追いつかず、胸痛が出現します。対して、「異型狭心症」は夜寝ているとき(特に明け方)などに、運動とは関係なく胸痛が出現します。多くの場合、異型狭心症では冠動脈が一時的にけいれんを起こして収縮し、血流が途絶えることで症状が起こります。最後に、最も危険な状態は「不安定狭心症」です。不安定狭心症は完全に閉塞していないものの、冠動脈の動脈硬化が進行し、血管が非常に狭くなっている状況で、動いたときだけでなく安静にしている時さえも症状が出現することがあり、心筋梗塞の一歩手前の状態と言えます。胸痛を自覚した時点で早めに医療機関を受診すべきですが、特に安静時に突然胸痛を自覚するようなことがある場合は、すぐに循環器内科を受診しましょう。

浮腫

急性心不全では心臓のポンプ機能が低下しているため、全身に送られた水を引き戻す力も弱まっており、その結果、体の浮腫が出現します。特に心臓から遠い下腿(膝より下側)の浮腫が出やすいです。浮腫がひどくなると、歩きにくくなるだけでなく、うっ滞性皮膚炎によって潰瘍ができたり感染しやすくなったりと生活の質が大きく下がる原因となります。
長時間の立ち仕事後や夜間にのみ浮腫を自覚する程度であれば、様子を見て、市販の弾性ストッキング着用程度のセルフケアをすれば良いですが、慢性的に浮腫が続く場合は心不全が背景に隠れている可能性があるため医療機関を受診しましょう。浮腫の原因はさまざまなので、まずはかかりつけの内科を受診してください。

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