卵巣がんについて多くの女性に知ってほしい
編集部
3年半以上の闘病生活を経験した谷井さんが、もし過去の自分に伝えるならどんな言葉をかけますか?
谷井さん
「辛いことを我慢しすぎるな」と言いたいです。腹痛や下痢を我慢せず、もっと早くちゃんと調べてくれる病院に行けばよかったと後悔しています。告知を受けた日に医師から「我慢強いですね」と言われましたが、いらない我慢をしてしまったと思います。
編集部
闘病体験を乗り越えるために、谷井さんの心の支えになったものは何ですか?
谷井さん
夫と愛犬、そして友達です。特に入院中はコロナウイルスも流行していて、面会禁止のせいで誰にも会えなかったのですが、そういう時に思い出すのは当たり前の日常でした。夫と犬の散歩をしている時のこと、友達と笑って喋っている時のことなど、日々の普通の景色が思い浮かび、そこに戻りたいと思っていました。当たり前だったことが当たり前ではなくなった時、元の暮らしを取り戻したいという思いそのものが支えになりますね。
編集部
卵巣がんという病気を知らない人、普段意識していない人に伝えたいことを教えてください。
谷井さん
私もそうでしたが、子宮がん検診を受けていても、卵巣がんとわからないことも多いようです。本当に見つかりにくいがんで、見つかる頃にはステージ3以上という方が多いとも聞きます。「何かおかしい」と思った時には、迷うことなく婦人科や医療機関へ早めに受診してください。
編集部
谷井さんから医療従事者の方に希望することはありますか?
谷井さん
自分自身が患者になったことで、不安を誰かに相談できることや訊きたいことを訊けることが安心に繋がるのだと実感しました。お医者さんや看護師の方は忙しく、大変な仕事をされていると思いますが、患者さんが話しやすい環境を作っていただけるともっと安心につながると思いました。
編集部
谷井さんがご自身の闘病体験を通して感じたこと、伝えたいと思ったことを教えてください。
谷井さん
これまでSNSで発信をしてきて、たくさんの同じ病気の方と知り合いました。みなさん自分が卵巣がんになるまで、ほとんど知識がなかったそうです。腹痛や下痢、お腹が張ること、トイレが近くなることなどが、卵巣がんの症状の1つとは知りませんでした。だからこそ、卵巣がんという病気があり「こういう症状がある時は疑ったほうがいいんだ」ともっと広まってくれればと思います。
編集部
最後に本記事の読者へのメッセージをお願いします。
谷井さん
私が卵巣がんになった3年半前には使えなかった薬が、今では保険適用で使えるようになっています。まずは早期発見できるのが一番大事だと思いますが、私のように少し発見が遅れても希望はあります。自分ががんになった時も、大切な人ががんになった時も、悲観しすぎることなく、周囲の助けを堂々と借りて向き合ってください。
編集部まとめ
卵巣がんは初期の自覚症状がほとんどないため、谷井さんのようにステージが進行してから発見されることも珍しくありません。どの種類のがんにも言えることですが、早期発見するほど再発率は下がり、根治の可能性が高くなります。日頃からがん検診を受けるとともに、体調の違和感がある時には早めに医療機関を受診してください。
なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。
配信: Medical DOC
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