同じようでこんなに違う!「我が家の味噌汁」座談会

お互いの味噌汁の食べ比べからスタート

奥の左が井原さん、右が白央さん、手前の左が有賀さん、右が髙山さんのお味噌汁

今回はまず、みなさんの「普段の味噌汁」を持ち寄って、食べ比べるところから始めてみたいと思います。他のお宅の味噌汁を飲む機会って、なかなかないので楽しみですね。まずは東京出身、有賀薫さんの味噌汁からいただきましょう。

私が普段使っているのは米味噌(熟成した茶色っぽいタイプ)なんですが、今日は白味噌を少しブレンドしています。豆腐を小さく切って口にサラサラッと入るようにしたかったので、やさしい感じのお味噌が合うかなと思って。出汁はいりこと昆布です。

その日の気分で合わせ味噌にしたり、豆腐の切り方も変えているんですか?

うちは豆腐の味噌汁をめちゃめちゃ食べるんですよ。週3は必ず。普通はもっと大きく切っているんですが、気分で小さくしたり、あるいは崩して入れたり。

バリエーションをつけているんですね。

吸い口(※汁物に浮かせて香味をつけるもののこと)も今日は三つ葉ですが、青ねぎ、白ねぎ、みょうがなど気分で変えてます。春ならふきのとうをそのまま刻んで入れたりも。


アクセントの付け方がいろいろあるのも味噌汁のおもしろさですね。次は井原裕子さん、お願いします。ああ、かつお節のいい香りだ。

私は愛知県出身なので豆味噌が日常の味。苦味もある味のしっかりした味噌なので、普段は厚削りを使った濃い出汁を使っています。今回は手軽に出汁パックを使いましたが、袋から出して煮るんですよ。そうすると出汁の風味が強くなります。

具材感も増して、いいですねこれ。

粉っぽくなるかと思いきや、全然そんなことなくて、おいしくなる!

これは発見でしたね。お次は大分県出身の髙山かづえさん、地元のお醤油屋さんが作っている麦味噌を使われているとか。

甘めでホッとする味わいで、ここの味噌が大好きなんですよ。柚子胡椒を加えてもおいしいんです。手づくりしてきた柚子胡椒、少し加えてみてください。

すごくいい!


香ばしい麦味噌と柚子胡椒の辛み、いい組み合わせですね。日本酒にも合いそう(笑)。

分かります、“ぬた”を作りたくなる…って話が逸れました(笑)、味噌汁に戻ります。

お出汁はいりこなんですね、麦味噌といりこ、やっぱりいい相性。

かつおと昆布の出汁でもいいんですが、やっぱり私がホッとするのはいりこ出汁ですね。実家の味です。

地元のお味噌の味、家の味って体がホッとしますよね。私は転勤族の子なので「地元の味」というのはないんですが、富山県を旅して知った魚津の『宮本みそ店』の米味噌に惚れ込んでしまい、ここ数年ずっと使っているんです。


わ、甘めだけれど塩味もパチッときいてますね。

麹感がしっかり、まろやかでいいお味噌。つぶつぶがまたいい感じね。

北陸から東北にかけては麹味噌が多いですね。米どころというのもあるし、寒いから甘めの味噌が好まれるのかな。出汁は何ですか?

ここ数年はいりこと昆布の組み合わせが気に入っています。髙山さんもいりこ出汁でしたが、麦味噌との組み合わせでこれだけ味が違うし、有賀さんとは米味噌と出汁の両方が同じだけど、味わいが全然変わってくる。

いりこや昆布の種類でも味は変わるしねえ、味噌汁のおもしろさですね。

味噌の好きなポイント、そのおもしろさ

私の愛用味噌は「溶けやすさ」も気に入っています。鍋に入れて数回かき回すだけでサーッと溶けて、味噌漉し不要。

味噌漉しを使うと一手間増えるし、洗い物も増えてしまう。

私はごはん作りの最初に味噌汁を作るんですが、その時点では最後まで作らないんです。というのは出汁をとって具材を煮たら味噌を汁に沈めておく。その間に他の物を作って、最後に味噌汁の鍋をかき回すと、簡単に溶けるんです。

それ私もよくやります!味噌が緩んで、簡単に溶けますよね。味噌漉しって花嫁道具の一つで買いましたが(笑)、使ってない。というのは麹のつぶつぶ感もおいしいから、取り除くのはもったいなくて。

私、味噌漉しを使っても粒をまた入れる(笑)。手作り味噌の大豆の潰し残しみたいなつぶつぶもおいしいよね。

そういう粒感や、出汁の煮干しがそのまま入ってるようなおいしさって家庭料理ならではですよね。私は結婚して夫に作ったら、煮干しやつぶつぶが入ってる味噌汁は嫌がられてしまって。味噌汁一つにしても相容れないものはいろいろありますね(笑)。

味噌屋さんにお話を聞くと、今、一般家庭で味噌離れが進んでいるんですって。味噌漉しが必要だったり、なかなか溶けなかったりというイメージがあって、料理に使ってもらいにくいと。

先の有賀さんのやり方が伝わるといいな、この記事の宣伝がんばります(笑)。でも溶けにくいというのはハードルですよね、だから最近は粉状や液状の味噌もスーパーに並んでいる。味噌の形も時代で変わっていくな、と。

関連記事: