「男性乳がんのステージ分類」はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】

「男性乳がんのステージ分類」はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】

ステージごとの乳がんの標準治療

ステージごとの乳がんの標準治療について解説します。乳がんは、ステージが同じでも、患者の体調や進行状況によって治療が異なる場合もあるため、担当医と相談してください。

ステージ0(0期)の治療

ステージ0(0期)の乳がんは、非浸潤性であり、がんが乳腺の内側に限局している状態を指します。この初期段階の乳がんの治療には、主に以下の方法が含まれます。

乳房部分切除術:乳房部分切除術では、がんのある部分のみを切除し、残りの乳房を保持します。乳房部分切除術の後、残った乳房組織に隠れたがん細胞を破壊し、がんの再発リスクを減らすために放射線治療を実施します。また、部分切除の他にも乳房全切除術もあります。乳房全切除術は、乳がんが全体に広がっている場合や離れている場所にがんがあるときに、乳房を全切除する手術です。

腋窩リンパ節郭清:腋窩リンパ節郭清は、腋窩リンパ節にがんが転移していると判断されたときに実施されます。転移している範囲によって、切除するリンパ数が決まります。腋窩リンパ節郭清は、リンパ浮腫が起こるなど体に負担が多い治療であるため、転移がない場合や転移している箇所が少ない場合は実施されません。

ステージ1~ステージ3A(Ⅰ~ⅢA期)の治療

ステージ1からステージ3A(I〜ⅢA期)の乳がん治療は、がんの大きさ、広がり、リンパ節への転移の有無などに基づいて、以下のような異なる治療が取られます。

乳房全切除術:がんが大きい場合や広範囲に広がっている場合は、乳房全切除術が選択されます。この手術では、乳房全体が切除されます。

リンパ節郭清(リンパ節切除):腋窩リンパ節への転移がある場合、リンパ節郭清、つまりリンパ節を切除します。

薬物療法:手術前に薬物療法(新治療または化学療法)を実施することで、がんを縮小させ乳房部分切除術が可能になる場合があります。手術後にも、放射線治療やホルモン療法、化学療法などの薬物療法が必要な場合があります。

ステージ3B~ステージ4(ⅢB~Ⅳ期)の治療

ステージ3B〜ステージ4(ⅢB〜Ⅳ期)の乳がんでは、がんの進行度が高く、治療はより複雑で多角的な治療となります。

手術と放射線治療:ステージ3Bと3Cでは、薬物療法の効果に応じて手術や放射線治療を追加することがあります。手術は、がんの局所的な制御を目的とし、放射線治療は、残存がん細胞の破壊や再発防止を目的としています。

症状緩和とサポーティブケア:ステージ4では、薬物療法に加えて、転移したがんによって生じる症状を和らげる治療も重要です。痛みや他の不快な症状を管理するため、緩和ケアが施されることがあります。症状の緩和が見込まれる場合、手術や放射線治療も検討されます。

男性の乳がんの予後と生存率

Ⅰ期:生存率は95.2%です。この段階の乳がんは早期であり、適切な治療によって治癒の可能性が高いことを示しています。

Ⅱ期:生存率は90.9%です。がんがある程度進行しているものの、依然として高い生存率を維持しています。この段階では、治療の成功率は高いですが、Ⅰ期と比較して若干低下しています。

Ⅲ期:生存率は77.3%です。このステージでは、がんはより広範囲に広がっており、リンパ節に転移している可能性が高いです。生存率の低下は、がんの進行度が高まり、治療がより困難になることを示しています。

Ⅳ期:生存率は38.6%です。ステージ4の乳がんは、遠隔転移を伴う進行したがんを示しており、治療が非常に複雑で、予後が不良になりがちです。この段階では、治療の主な焦点はがんの進行の管理と生活の質の維持になります。

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