「神経膠腫(悪性脳腫瘍の一種)の原因」はご存知ですか?症状や治療法も解説!

「神経膠腫(悪性脳腫瘍の一種)の原因」はご存知ですか?症状や治療法も解説!

神経膠腫の治療

神経膠腫の治療法にはどのような方法があるのでしょうか?以下に四つの方法を解説します。

外科手術

神経膠腫の治療には、可能な限り腫瘍の摘出を目指す外科手術が行われます。これは、腫瘍の摘出が予後の改善になるとの報告が多くあるためです。しかし、腫瘍が運動神経や言語、意識に関連する部位に存在する場合、手術による摘出は困難を伴います。また、全摘出が重篤な合併症を引き起こし、予後を悪化させる可能性があるため、一部の腫瘍だけを取り出す部分摘出術や生検術が選択されることもあります。
さらに、神経内視鏡技術を用いた低侵襲手術も行われています。これは、内視鏡を使用して腫瘍を確認し、必要最小限の侵襲で手術を行う方法です。低侵襲手術は、神経内視鏡技術認定医によって行われ、患者さんの病状にあった治療を提供します。神経膠腫の手術は、患者さんの病状と腫瘍の位置により、その方法と範囲が決定されます。

放射線療法

神経膠腫の治療は手術だけでなく、放射線療法や化学療法も行われます。
放射線療法では、腫瘍とその周囲に放射線を照射します。放射線療法は患者さんの状態と腫瘍の性質により適応され、神経膠腫の管理に重要な役割を果たすとされています。

化学療法

神経膠腫の治療には、以下の三つの化学療法が用いられます。

テモダール(テモゾロミド):これは抗がん剤で、飲み薬として利用されます。副作用が比較的少なく、放射線治療中は毎日服用し、治療後は4週間休薬します。その後は、1カ月に1度の外来通院で、5日間服用し23日間休薬するサイクルで投与が続けられます。

アバスチン(ベバシズマブ):これは分子標的薬で、特定の体内分子をターゲットにした治療を行います。新生血管の増殖を抑え、腫瘍の成長を抑制します。初発時と再発時の両方で使用可能ですが、主に再発時に使用されます。

ギリアデル(カルムスチン):これは手術時に腫瘍摘出部位に置かれる円盤状の抗がん剤です。数週間にわたり薬剤が染み出し、効果が期待できます。ただし、腫瘍が全て摘出されていない場合や、感染や脳浮腫、傷のトラブルが起こる可能性がある場合は、使用は制限されます。
これらの化学療法は、患者さんの状態や腫瘍の性質により、適応が決定されます。神経膠腫の治療は、これらの化学療法と手術、放射線療法の組み合わせにより行われます。

電場療法

神経膠腫の新たな治療法として、腫瘍治療電場療法(オプチューン)が開発されました。この治療法は特殊な電場を脳内に発生させ、腫瘍の増殖を抑制します。初回手術後に膠芽腫と診断され、初期治療の放射線療法と化学療法(テモゾロミド)を終了した患者さんに対して、維持療法として使用されます。
日本では2017年12月に初発膠芽腫の成人患者さんへの保険適用が承認され、それ以降、累計で1,000症例以上が治療を受けています(2022年6月時点)。

神経膠腫についてよくある質問

ここまで神経膠腫を紹介しました。ここでは神経膠腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

神経膠腫の生存率について教えてください

勝木 将人 医師

神経膠腫は、周囲の正常脳組織に浸潤する性質を持ち、しばしば正常神経細胞と共存します。生存率は神経膠腫の種類や腫瘍の場所によって異なり、2000年の日本の全国集計によると、退形成性星状細胞腫の5年生存率は約30%、膠芽腫は約7%でした。

神経膠腫と神経膠芽腫の違いは何ですか?

勝木 将人 医師

神経膠腫は、脳や脊髄の神経膠細胞から発生する腫瘍の総称です。対して、神経膠芽腫は神経膠腫の中でも特に悪性度が高いタイプを指します。神経膠腫はその成長が周囲の脳組織に広がる傾向があり、腫瘍と正常脳の境界が不鮮明になることが特徴です。これにより手術による完全摘出が難しく、放射線療法や化学療法を併用する必要があります。

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