がんについてきちんと知って、「正しく怖がろう」
編集部
がんは2人に1人がかかる時代と言われる中で、リスクへの対策を取られるのは素晴らしいと思います。がんについて広く理解してもらうために、がん患者さんやがんサバイバーの周囲にいる人に、どのようなことを知ってもらいたいですか?
西田さん
私は今、普通に生活していますが、がんは完治したわけではなく、摘出した胸も元には戻らなければ傷跡も消えません。再発・転移への不安が心から消えることもありません。だからといって、「かわいそう」とは思われたくもないという複雑な感情を持っています。元気そうに見える人の中にも、こういう病気を持った人はたくさんいるのだということを知っていただけると嬉しいです。
編集部
西田さんから医療従事者に希望したいことはありますか?
西田さん
主治医を信頼できれば、患者は大きな安心感を持って治療を受けることができることを実感しました。大きな病院ではゆっくり時間を取るのは難しいと思いますが、しっかりと目を見て温かい態度で話してもらえると、より安心感が増すと思います。また、診察室では話せないこともあるので、がん専門看護師やカウンセラーなどに繋いでいただいたり、がん相談センターなども気軽に使えるようになったりするといいなと思います。
編集部
西田さんの経験を通して、一番強く感じたこと、伝えたいことは何でしょうか?
西田さん
前向きな患者じゃなくてもいいこと、泣いてもいいことです。そして、がんについてきちんと知って、正しく怖がることが大切です。
編集部
ありがとうございます。最後に読者向けにメッセージをお願いします。
西田さん
元気だと思っていたのに、ある日急に「がん患者」になり、闘病が始まるのががんという病気です。痛くもかゆくも苦しくもないのに、手術を受けて抗がん剤をしなければなりません。私はネットの情報に踊らされ、食べ物も受け付けられなくなりました。がんとはどんな病気で自分の状態はどうなのか、治療の方法が分からなかった時が一番怖いと感じていました。がんはいつ、誰の身に起こっても不思議ではありません。当時はなかなか前向きになれませんでしたが、今は弱音は吐いてもいいし泣いても構わない、前向きになれない自分を責めないようにしてください。
編集部まとめ
乳がんの中でもまれな化生がん(紡錘細胞がん)を経験した西田さんへのインタビューでした。西田さんのお言葉にあった通り、がんはある日突然告知され、痛みも辛さも感じない中で治療をすることも珍しくありません。がんについてさまざまな情報が手に入る時代になりましたが、現代医学は日々進歩しており、正しい情報を取捨選択していくことが「がん」について知る第一歩です。本記事を読んで、がんという病気について正しい知識を身に付けることの大切さを多くの方が理解してくださることを願います。
配信: Medical DOC