「涙道手術」の適応やリスクを眼科医が解説 涙目・目ヤニが気になったら受診のサイン!?

「涙道手術」の適応やリスクを眼科医が解説 涙目・目ヤニが気になったら受診のサイン!?

涙道手術のリスクについて

編集部

涙道内視鏡検査が不安です。どのようにおこなわれるのですか?

嶺崎先生

まず、検査の所要時間は片側5~10分と非常に短く、目頭に麻酔の注射をしておこないます。術後、一時的にものが二重に見えることがあるので、片側に眼帯をします。また、チューブの刺激により、術後に涙や目ヤニなどの症状が悪化することもありますが、多くの場合、1~2週間で改善するのであまり心配はいりません。

編集部

涙管チューブ挿入術のリスクはありますか?

嶺崎先生

非常に安全性の高い治療法ですが、リスクがあるとしたら、再発する可能性があることです。また、閉塞の程度によっては手術が適さない場合もあります。研究によると、罹病期間が長いほど、再発が多いことがわかっています。

編集部

一方、涙嚢鼻腔吻合術はいかがですか?

嶺崎先生

手術時間は片側1時間程度で、医療機関にもよりますが、日帰りでおこなうこともできます。鼻外法、鼻内法ともシリコンチューブを挿入して迂回路を作り、3カ月程度で抜去します。鼻内法と比べて鼻外法の方が、視野が広く、狭窄や閉塞部位に関係なくほとんどの症例で適応となりますが、鼻外法は皮膚を切開するため、切開創が若干残ることもあります。

編集部

それぞれの治療法にメリットやデメリットがあるのですね。

嶺崎先生

鼻外法、鼻内法とも90~95%と成功率が非常に高いのですが、鼻外法の方が若干、手術時間が長かったり、鼻内法の場合には鼻内視鏡などの装置や鼻内操作の習得が求められたり、どちらも欠点や必要な条件があります。自分の症状に応じて、適切に治療法を選択することが大切です。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

嶺崎先生

日本では、涙目を専門的に診察している眼科医は非常に少ないのが現状です。そのため、もし涙目で困っていることがあったら、「日本涙道・涙液学会」のwebサイトをチェックしてみてください。そこに医師の一覧が掲載されているので、お近くの医師を訪ねるといいと思います。鼻の疾患が原因で涙道閉塞症が起きている場合もありますが、涙目で困っている場合にはまず眼科を受診し、必要に応じて耳鼻科での治療を受けましょう。

編集部まとめ

涙目や目ヤニは緊急性の高い疾患ではないかもしれませんが、たえず涙や目ヤニが出ている状態が続くと、生活の質を著しく下げてしまうこともあります。困っていることがあったら、早めに医師に相談を。発症してから治療までの期間が長いと、根治まで時間がかかることもあるので、早めの対処が肝心です。

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