「前立腺がんの検査方法」はご存知ですか?費用・症状・原因も解説!【医師監修】

「前立腺がんの検査方法」はご存知ですか?費用・症状・原因も解説!【医師監修】

男性のみが発症するがんでありながら罹患率が上昇傾向にある前立腺がんは、すべての男性が決して見過ごすことのできない疾患です。

しかしほかの臓器がんとは異なり、羞恥心から検査をためらったり、どのような検査をするかがわからない不安から受診を遅らせたりする方もいるでしょう。

そこで、この記事では前立腺がんの検査について詳しく解説します。原因・症状を含め、前立腺がんに関する疑問解消にお役立てください。

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監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

前立腺がんとは

まず前立腺がんという疾患についてご紹介します。発症する条件・部位・罹患率の点から、前立腺がんの特徴をチェックしましょう。

細胞が異常な発生で増えたことにより起こるがん

前立腺がんとは、膀胱の真下に位置する前立腺内の細胞が正常に増殖する働きを失い、異常に増殖することでがん細胞が発生する疾患です。65歳以降の高齢層が多く発症する傾向にあります。
60歳を過ぎると前立腺内に微細な潜伏がんを有する方が3割ほどに増えますが、実際にがんに進展するのはおよそ100分の1です。進展する前にほかの病気を発症するケースがほとんどの方で見られます。

発症の7割は外腺部分にできる

前立腺は栗の実に似た形をした約20gほどの器官で、尿道をとりまく内腺とその外側に存在する外腺からなっています。前立腺がんはどちらにも発症しますが、その内の7割ほどは外腺に発症します。
よく似た疾患として前立腺肥大症がありますが、前立腺肥大症の場合は内腺に好発する点が大きな違いです。外腺は尿道から離れているため、がん腫瘍が大きくなるまで自覚症状が出にくいという特徴があります。

近年罹患者が増加傾向にある

前立腺がんは欧米の男性が発症しやすく、かつてはアジア人には発症しにくいとみられていました。しかし高齢層で発症しやすいこともあり、高齢化社会の真っ只中にある日本でも罹患率・死亡率ともに増加傾向にあります。
2010年における人口10万人あたりの前立腺がん年齢調整罹患率は、胃がん・肺がん・大腸がんに次いで第4位です。将来予測では、男性がんの罹患率第1位が前立腺がんになるとの見方も強まっています。

前立腺がんの検査方法

普段見えない部位であるだけに検査をためらう方もいますが、決して放置してはいけません。前立腺がんの診断に欠かせない3つの検査について詳しく解説します。

PSA検査

最もよく用いられる検査が、腫瘍マーカー測定を行うPSA(前立腺特異抗原)検査です。PSAは前立腺で作られるたんぱく質で、精液の一部である前立腺液に含まれる物質です。
前立腺にがんが発生すると組織が傷つき、血液中にもPSAが漏れ出します。血液検査を行い、PSA値が基準値を超える4.0ng/ml以上であれば前立腺がん、あるいは前立腺肥大症の可能性が高いといえるでしょう。
この時点ではどちらの疾患が原因かは定かではありませんが、値が高いほど前立腺がんの可能性が高まります。

経直腸エコー

経直腸エコー(経直腸的超音波断層法)は、前立腺の大きさ・形状を正確かつ客観的に判断できる精度の高さが認められています。
超音波を発するプロープと呼ばれる器具を肛門から挿入し、画像で前立腺の状態を観察する検査です。通常の前立腺は画像上で白く描出されますが、がん腫瘍があると黒く描出されます。
浸潤率診断にも大きく貢献しており、前立腺癌においては約90%の正診率を誇ります。

前立腺の生検

上記の検査で異常が見られた場合、確定診断をするための精密検査として行われるのが前立腺の生検です。エコーによって直腸内を観察しながら、針で前立腺を10箇所ほど刺し組織を採取します。
生検には肛門内に挿入した機器から針を刺す経直腸式と、肛門の上部に皮膚を通して直接針を刺す経会陰式の2種類があります。
検査自体は10分程度で終わりますが、発熱・出血などの合併症を引き起こすリスクがあるため、1泊2日の入院で行われるのが一般的です。

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