『朝食の味噌汁』がおすすめな理由とは? 減塩のコツも管理栄養士が解説

『朝食の味噌汁』がおすすめな理由とは? 減塩のコツも管理栄養士が解説

日本食の代表である味噌汁は、朝食に取り入れることで心身にメリットがあるのはご存知でしょうか? お味噌に含まれるアミノ酸や、味噌汁の具材に栄養学的メリットがたくさん詰まっています。一方で、塩分の摂りすぎを気にする方もいらっしゃると思います。そこで今回は、味噌汁を朝に摂ると良い理由や適量、おすすめの組み合わせについて管理栄養士の佐久間さんに解説してもらいました。

監修管理栄養士:
佐久間 愛子(管理栄養士)

管理栄養士として介護・医療業界を渡り歩く。病院経験を経て予防医療の大切さに気付き、現在はICTでの特定保健指導に従事。また、糖尿病への理解を深めるため2021年に日本糖尿病療養指導士を取得。今までの経験を活かし、栄養・健康分野のライターとしても活動中。

味噌汁は朝食に食べるのが良い? 健康的におすすめな理由

編集部

味噌汁は朝に食べると良いと聞いたのですが、本当ですか?

佐久間さん

はい、味噌汁は朝に摂るのがおすすめです。朝に味噌汁を飲むことのメリットとしては、「血行が良くなる」「体温が上がる」「具材次第でたくさんの食材を摂取できる」などが挙げられます。温かい飲み物を飲むことで血流が良くなると同時に、味噌に含まれるアミノ酸や微量栄養素によって血管が拡張され、血の巡りがさらに良くなります。また、味噌汁1杯で具材に含まれるさまざまな栄養素が摂れます。野菜に含まれるビタミンB群やビタミンCは水に溶けやすい性質があり、味噌汁にすることで余すことなく摂れますよ。

参考: 文部科学省 食品成分データベース「01.一般成分表-無機質-ビタミン類」

編集部

朝に味噌汁を足した朝食を摂ると、どんな健康のメリットがあるんですか?

佐久間さん

まず、食事を摂ると栄養素の分解によって熱が発生します。これを「食事誘発性熱産生」と呼び、体温・代謝を上げる作用があります。たんぱく質を中心とした食事ほど熱の発生量が増えるので1日の消費カロリーもアップします。また、味噌や具に含まれるトリプトファンというアミノ酸は、気持ちを安定させるセロトニンの材料です。ダイエット中や仕事で忙しいという人は朝食を抜きがちですが、実は朝食こそ体づくりに欠かせない食事なのです。

編集部

コンソメスープなどほかの汁物もあるのですが、味噌汁が良いのはなぜですか?

佐久間さん

味噌汁をおすすめする理由としては、味噌自体にアミノ酸が多いためです。アミノ酸は体内で筋肉や酵素などの材料として使われますが、食事からしか摂れないアミノ酸(必須アミノ酸)が味噌には多く含まれています。ほかにも、味噌には麹や乳酸菌などの腸に良い菌が存在しています。腸内環境を整えることで、お通じや免疫力の向上に寄与するので、味噌汁はそういった面からも良いメニューです。また、味噌のアミノ酸にはうまみ成分である「グルタミン酸」が多いので、ほかの具材と合わせるとうまみが増します。

味噌汁を食べる時の注意点とは 塩分の摂りすぎは大丈夫?

編集部

味噌汁は塩分が高いイメージがあります。塩分の摂り過ぎにはなりませんか?

佐久間さん

確かに味噌汁の塩分量は、種類や量によりますが1杯あたり1.2〜2.0gです。血圧が気になる方の1食の目安塩分量は2g未満なので、味噌汁1杯で1食分近い塩分量を摂取することになります。ですので、味噌汁は1日1杯、最低でも2杯で留めましょう。

編集部

味噌汁1杯あたりの味噌の量はどれくらいですか?

佐久間さん

味噌汁1杯は、水200mlに対して大さじ1/2〜1杯(9〜18g)の味噌が目安です。また、味噌の種類によって使用量が異なります。味噌は米・豆・麦が代表的ですが、文部科学省の「食品成分表」によるとそれぞれ大さじ1杯あたりの塩分量は2.2g・2.0g・1.9gであり、麦みその塩分量が一番低くなります。このように、使う種類でも塩分量が変わるので、普段使用している味噌の種類を確認してみてくださいね。

編集部

塩分が気になる人向けの工夫があれば教えてください。

佐久間さん

塩分が気になる人は減塩味噌を使いましょう。通常の味噌よりも塩分が30%程度カットできる商品がたくさんあります。そのほかの方法としては、具だくさんにすることや、顆粒だしを使わずにかつお節やにぼしなどの天然だしにすることも、減塩につながりますよ。

編集部

具沢山にすることや天然だしがなぜ減塩になるのでしょうか?

佐久間さん

味噌汁の具を多くすることで具材のだしが出てうまみが増すので、味噌の使用量を減らしてもおいしい味噌汁を作ることができます。また、野菜などの味噌汁の具材に含まれるカリウムが、塩分(ナトリウム)の排出を促してくれます。かつお節やにぼしなどの天然だしを使うのは、塩分量がほぼ0gだからです。顆粒だし小さじ1杯(4g)あたりの塩分量は約1.5gですが、一方で天然だしの塩分量はほぼ0gです。さらに、天然だしにはグルタミン酸やイノシン酸などのうまみ成分があるので、塩分を抑えつつおいしく食べられますよ。

関連記事: