●「『私は薬物を辞めたい』と言ったのを信じたのに残念な思いです」
弁護人からの被告人質問では改めて無罪を主張した。Aとの関係も、連絡先を伝えてきたのはAからであり、交際開始時も「まっとうになるならいいよ」ということで了承したもので、一方的に思いを募らせた上での行為でないことを主張。
伝えた情報については、騒動があるとの通報があった上で伝えたものや通報された内容を確かめるためのものであって、秘匿性がないとも主張した。
Aへの思いを聞かれて「前刑のとき『私は薬物を辞めたい』と言ったのを信じたのに残念な思いです」と声のトーンを落として答えた被告人。今回の事件で、20年以上勤務を続け、家族からも天職と呼ばれていた警察を依願退職することとなった。
被告人による最終陳述では「検察官の主張もわかるが、私は更生して欲しかっただけで、人として間違っていないと今でも思っている」と陳述していた。
しかし、判決は、被告人側の主張を退け、懲役1年・執行猶予3年の有罪判決を下した。理由については以下のように説明した。
職務上知り得た秘密というのは、一般には出ていない非公知の事項であり、今回も広く知られることで各事件の関係者の名誉を侵害し、捜査に支障がある恐れがあった。警察、行政の信頼が揺らぐのは明らかであった。また、交際相手の身を案じる意図はあったとは言え、警察組織内において、交際相手が嫌疑をかけられていることを知られるのを防ぐ自己保身目的もあったと認められ、その刑事責任は軽微とは言えないとされた。
配信: 弁護士ドットコム