「眼底検査」と「眼圧検査」の違いとは?検査でわかること・検査費用も医師が解説!

「眼底検査」と「眼圧検査」の違いとは?検査でわかること・検査費用も医師が解説!

眼底検査と眼圧検査の違いとは?Medical DOC監修医が目の検査の流れや緑内障・白内障など見つかる可能性がある病気・対処法まで詳しく解説します。

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監修医師:
栗原 大智(医師)

2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。

眼底検査と眼圧検査の違いとは?

眼科検診を受ける人が増え、人間ドックでも眼科の項目を検査する方が増えています。しかし、どっちがどんな検査か分からなくなり、混同してしまう方がいます。そこで、今回の記事では眼底検査や眼圧検査について、実際の検査のやり方、何のためにやるのかを解説します。

目の奥を調べる眼底検査とは?

眼底検査は、目玉の奥にある眼底を観察する検査です。眼底には視力に重要な網膜や視神経乳頭、血管などの組織があります。これらの組織は、目の病気の影響を受けて変化します。眼科のある医療機関では、瞳孔を開く目薬を使って直接眼底を観察することもあります。一方で、検診や人間ドックでは眼科医が不在な場合もあり、眼底カメラと呼ばれる器具を使って、眼底を撮影します。

眼球の硬さを調べる眼圧検査とは?

眼圧検査は目の硬さを調べる検査です。一般的な眼圧検査では、機械から空気が出るため、びっくりする方も多いです。その風が角膜(黒目の表面にある透明な膜)に当たると、角膜はへこみます。そのへこみ具合から眼圧の数値を計算します。この空気を3回以上当てて、得られた数値の平均値を出します。この平均値が眼圧の数値として計測されます。この眼圧検査の結果は、緑内障などの目の病気の診断や治療の効果判定などに用いられます。

眼底検査・眼圧検査の費用は?

眼科で眼底検査を行うと、3割負担の方で片目450円、両目900円となります。散瞳薬を使う場合はまた別途費用がかかります。一方、眼科で眼圧検査を行う場合、眼圧検査自体は820円ですので、3割負担であれば約250円となります。
しかし、初診料や診察料、散瞳薬代などの費用が別途かかる場合があります。また、眼底検査に加えて、他の検査や治療を行う場合は、その費用もかかります。具体的な費用は、受診する医療機関や検査方法によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

眼底検査・眼圧検査前日や当日の注意点

眼底検査は人間ドックであれば、特に注意することはありません。しかし、眼科を受診する場合は瞳孔を開く検査を行う可能性があるため、車やバイクなどでの受診はしないでください。公共交通機関や誰かに運転してもらうようにしてください。
眼圧検査は裸眼であればいつでも行うことができます。ただし、コンタクトレンズを着けている場合は正確な測定ができません。眼科で検査を予定している場合は、コンタクトをせずに来院するか、すぐに外せるようにケースを持参するのが望ましいです。

眼底検査・眼圧検査にかかる時間

眼底検査、眼圧検査はいずれも数十秒で終わる検査です。ただし、目を大きく開けている必要があります。み、侵襲性がなく、何度も検査することができるため、判定できるまで何度も検査を行うことがあります。その場合は少し時間がかかることもあります。

眼底検査でわかる病気・疾患は?

ここではMedical DOC監修医が眼底検査でわかる病気・疾患について解説します。

緑内障

緑内障は、成人の中途失明原因では上位の目の病気です。特に、眼圧が高い場合は緑内障がないかを調べます。緑内障では、視野が欠ける症状が現れます。進行すると大きく視野が欠け、視力が出づらくなり失明してしまう方もいます。もし緑内障であれば、治療は眼圧を下げるために、目薬を使ったり、手術を行ったりします。しかし、初期の場合は自覚症状がありません。そのため、定期的な眼科受診が必要です。特に、強い近視がある、高齢である、血縁関係者に緑内障がいる場合は緑内障のリスクが高くなるため、眼科を受診して検査をすることが望ましいでしょう。

網膜剥離

網膜剥離は、目玉の内側にある網膜が剥がれて、視野が狭くなったり、視力が低下したりする病気です。網膜剥離の主な原因は、網膜に裂け目(網膜裂孔)ができ、そこから目の中の液体が入ることです。原因は近視が強かったり、目をぶつけたりすることなどが原因となります。網膜剥離の症状は、ゴミや糸くずが飛ぶような飛蚊症や光が視界の端に見える光視症などから始まり、視野が欠けてきます。放っていると、視野はさらに狭くなり、視力が下がることもあります。網膜剥離の範囲が狭い場合はレーザー治療などで対応できる場合もありますが、範囲が広くなると手術が必要となります。特に、飛蚊症が増えたり、視野が欠けたりする場合はできるだけ速やかに眼科を受診しましょう。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で網膜に障害が起こり、視力低下や失明につながる病気です。糖尿病網膜症の初期は自覚症状がありませんが、進行とともに見えづらさを生じたり、目の中で出血や網膜剥離が起こるとほとんど見えなくなります。治療は、病気の進行を抑えるため、レーザーや目の中に注射を打ったり、手術を行ったりします。糖尿病と診断されている方は、糖尿病網膜症の早期発見のために、年に1回の眼科検診を受けることが大切です。

高血圧性網膜症

高血圧性網膜症は、高血圧によって網膜の血管が損傷を受け、視力低下などを引き起こす病気です。初期には、視力低下などの自覚症状はありません。高血圧性網膜症が進行すると、以下のような症状が現れます。視力低下などの症状をきたします。治療は、高血圧の治療が中心となります。高血圧をコントロールできれば、視力低下などは改善することが多いです。網膜剥離や出血などの合併症を生じることもあり、レーザー治療や硝子体手術を行うこともあります。高血圧がある方は、定期的に眼底検査を受け、早期発見、早期治療を心がけましょう。

黄斑変性

加齢黄斑変性は、加齢に伴って網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、視力が下がるなどのさまざまな症状が出る病気です。日本の失明原因の第4位となっています。原因は加齢やタバコなどとされています。加齢黄斑変性が進行すると、視野の中心が暗くなる、視野の中心がゆがんで見える、視力が下がるなどの症状が出てきます。加齢黄斑変性の治療は、その程度や種類によって異なります。目の中に注射をしたり、特殊なレーザーをすることもありますが、中には有効な治療がない種類もあります。年齢が50歳以上の方は、定期的に眼底検査を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。

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